第十四話: 征する者たち
周囲のどの方向に対しても即座に攻撃・防御へ転じることができる
今のところ、防戦一方に見える奴らだが、こちらが隙を見せれば先ほどのようなカウンターを即座に仕掛けてくるのだろう。
なにせ、ヒヨスの奇襲にも反応するような連中だ。
僕が正面切って攻撃しても絶好の
ならば、奴らの予想も付かない方向から攻めさせてもらおう。
「ヒヨス、やるぞ! 跳べ!
大きく叫び、ヒヨスへ指示を出すと同時に願うのは、風の精霊術【
ただし、跳ばすのは僕自身でも声を掛けたヒヨスでもない。
それは僕から見て
「ギャギャーッ!?」
地上を歩いて生きる者が宙に浮かされ、自在に動けるわけがない。
当然、元弓Cも例外ではなく、空中で手足をばたつかせて慌てふためくことしかできず……。
そんな常識に
半透明の白い影が、まるで見えない階段を駆け上がるかのように空中高くまで登っていく。
そして、地上
重力に従い、すぐに再落下し始める元弓Cだが、またも尻尾で浮かされ、牙で切り裂かれ……。
延々と宙に浮かされたまま、一切の抵抗も許されず、打ち付けられ、斬りつけられていくCを
「
火の精霊術【
残念ながら
そのとき、背後より響いてきた
「
僕は、二つ目のダルマが完成したことを確信し、後ろへ手を伸ばして彼女を呼ぶ。
「月子! こっちも決めに行く!」
「はい、
伸ばすと同時、その手に触れた彼女の手を掴むと、軽く引っ張り、
見上げてくる気配に視線を送れば、宝石を思わせる美しい瞳の中に信頼の色が見えた。僕は、しっかりと目を合わせてから深く
「さぁ、終わらせようか」
「ええ」
やることは
願うは、地の精霊。
「
「
例によって、月子の
【
そして、遅れて効果を発揮し始める僕の請願は、声に出した通り、その穴を埋めるものだ。
胸の辺りまで穴に埋まった元弓ケオニたちは当然ながら脱出しようと
自分の意志で動けるケオニはもう一人も残っていない。
こうして、戦いはようやく終わったのである。
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