第十八話: 弾けて消えて
水と風の精霊への必死に頼み込みにより、
カーゴを跳ね上げた風の精霊術【
……いや、まぁ、この状況でそんなことを詳しく語る必要はないか。
月子と共にどうにかして車体を着地させることに成功し、ずいぶんと近付いた前方の
計算通りに行けば、この場にまで危険が及ぶかも知れない。
もはや
そこで、凄まじい轟音が大地と大気を揺るがし、反射的に振り返ってみれば、映像の中でしか見たことがない本物の火山噴火を
だが、前方の
高温のマグマ溜まりに落とされた巨大な水塊が、一瞬のうちに気化して千数百倍もの体積へと膨れあがり、凄まじいエネルギーで周囲を吹き飛ばす――いわゆる水蒸気爆発である。
「ふぅ……、どうやら上手くいったみたいだな。大噴火になってしまったらと心配だったが」
「私は爆発が起こらない方を心配していました」
想像以上にマグマ溜まりが大きかった場合、大規模な噴火を誘発してしまう可能性があったし、水蒸気爆発の規模によっては僕らまで一緒に吹き飛ばされていたかも……と思っていたのだが。
「いえ、あの程度のクレーターで、いつまで経っても溶岩が
「そうなのか――ん? あれは?」
ガッション……ガッション……と、
灰色の噴煙に交じる
いや、小さな……と言っても、おそらく数メートルほどはあるだろう、頭が二つ、その姿――。
「ヌッペラウオ!? あの爆発で生き残っているだと……?」
だが、確実にまだ生きており、上空からこちらを見つけたのか、残った頭を向けてくるも。
「まさか、もう終わっていますよ」
と、月子が微笑みながら呟いた瞬間、巨大な二つの首が揃って小さな胴体から切り離される。
半月状の口に不気味な
更に、それぞれの頭が一瞬で四分割され、胴体もあっという間に輪切りに刻まれていく。
噴煙に巻き上げられ、空高く飛ばされていた奴の近くには、他に動く物など何も見えない。
「ああ、相当
「ぐるるるぅ……んなあぁあああお!」
それは、僕らに何があろうと隠れたまま奴を仕留める機を
戦闘中、幾度かヌッペラウオの攻撃頻度が弱まる瞬間があった。
おそらくヒヨスが何かしら仕掛けてくれていたのだとは思うが、いかんせん、最後の最後までまともな出番がなかったものな……。
あれで意外と情が深い奴だから、僕らのやられっぷりには相当やきもちしていたはずだ。
その様子に「やれやれ」と肩をすくめ、視界の外へと追いやりつつ、僕はカーゴがゆっくりと向かっていく先に目を向ける。
まだ見たくはない、今すぐ目を
そこには、全身を無惨な赤色に
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