秋
新しい図書館ができたと親友からメールが届いた。
俺は、本が読むのが好きで近所の図書館によくいく。しかし、そんな新しい図書館が完成するっていう話を聞いたことが無かったので疑問に思ったが、詳しい話を聴くため、親友と喫茶店で会う約束をした。
喫茶店の扉を開けると、すぐに親友が
「おっ、きたきた、ここだ」と手を振りながらわたしを呼んでいる。
「ひさびさだなー」と俺が言うと
「いやー、今忙しくてさー、ようやく休みがとれたよ」と笑いながらコーヒーを口にした。
「オイ、もう注文していたんかーい!」と切れ味鋭いツッコミをいれた。
「だって遅いんだもん」
「遅くはないだろう?ちゃんと10分前には来ただろう」
ちゃんと小学校の時代から先生がよく言っていた10分前行動をしましょうという精神は今でも身体に染み付いている。
俺も店員にコーヒーを注文すると、親友が
テーブルにパンフレットを出して来た。
わたしは思わず「何これ」と口にしてしまった。
親友曰く、新しい図書館の全体図が記載されたパンフレットのようだ。
1ページから読むと一つ気になる点が、「この本の世界へ行けるVR映像ってなんだ?」
「あー、これな、本を読むのが苦手な人を対象にしていて、本の世界の中にVRで入って肌で本の面白さを体験してもらおうと作った最新技術だよ」
「すげーな!本好きの人もさらに楽しめるじゃん、けど図書館にある本全部は流石に無理だろう?」
「そうだよ、いまのところは新しく入荷した本だけを予定しているよ」
「ん?予定しているって、図書館完成してるんだよな?」
「あぁ、その内アップデートするよ」
「アップデートってゲームじゃないんだからさ」
「いや俺が作ったゲームだよ」とカバンからゲームソフトを取り出してテーブルに置いた。
「えっ!ゲームの話かい!それなら俺は帰る」と立ちあがろうとすると、
「待ってくれよ、これがある程度売れなければ俺は会社クビになるんだよ、最後まで話を聞いてくれ」といつになく真剣な表情の親友。
「ああ、わかったよ」
「ありがとうな、俺今まで売れないゲームばかり作っていたから、今度は売れるものを作るって頑張ってようやく完成したんだ」
親友はゲームソフト会社に勤務しているが、毎回コアなファンの方しか買わないから売れ行きが芳しくない、だから売れ残りをいつも抱えている。
俺も今までに何個も頼まれて買わされたことか。
「しかしだな、そのゲーム一般向けじゃないだろう?」
「そう、業者や役所向けだ、でも数社は手応えはある」
「そんなにバンバンと売れる商品じゃないから内容で勝負して会社の知名度をあげる作戦か?」
「そうだよ、だからちょっと協力してくれないか?ちゃんと会社に働きかけて賃金は出してもらう方向にしてもらっている」と頭を下げる親友。
「わ、わかったよ、そこまでしてもらっては断れないしな、俺のいる会社副業OKだし」
「ありがとう、やっぱりお前は俺の心の友よー」と涙目な親友に抱きつかれた。
「オイ、いつ俺が◯び太になったんだ」とツッコミを入れた。
その後2人で笑いあったことは言うまでもない。
親友とは、これからも良い意味でも悪い意味でも付き合っていくことだろう。
だってそれが【親友】ってもんだろ?
終わり
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