第28話

昼ご飯も食べて一段落してから、フードコートをでる。咲希はデザートにクレープを食べたからか上機嫌だ。クレープをほうばりほっぺにクリームをつけた顔が可愛くつい写メを撮ってしまったが、また咲希に怒られてしまった。なぜなんだ?せっかくかわい姿を撮れたのに。


うー今日の御兄様はちょっと意地悪です。私の恥ずかしい姿ばかり見て笑って、こうなったら私も恥ずかしい姿を見ないと納得出来ません。なにか、仕返しする方法ないもんでしょうか?でも、御兄様と二人きりでの買い物これは、やっぱりデートになるんでしょうか?周りからはやはり幼い妹の面倒をみる御兄様にしか見えないですよね。私は、こんなに御兄様のことを想っているのに、

 ですが、兄妹になるとはいえ、血の繋がりはありませんし、今後もしかしたら。この気持ちは、今は隠さないといけませんね。今は、御兄様には色々環境に慣れてもらわないといけませんから、余計なことは考えないですむようにしないと。


「さて、御兄様お昼もいただきましたし次は、どちらに、むかいましょう?ちなみに、家具は源様に頼みましたが、届くまでは一緒に、寝ることになりますから良ければマクラでも見に行きませんか?快適な夜を過ごすためにマクラは重要ですから、どうやらマクラの専門店がこちらにはあるみたいですのでそちらに行ってみませんか?」


どうやら、俺のしばらくの寝床は今強制的に決まってしまったらしい。源じーさんに家具を頼んだことに後悔は無いが、ベッドだけは、別に買ったほうが良かったかもしれない。今更ベッドは、別で買うと源じーさんに伝えるのも悪いし、咲希に言ったらきっと嫌な顔をするんだろうな。諦めるが肝心ともいうしな。

 それにしても、マクラか。確かに快適な夜の眠りには大事だよな、せっかくだし見に行ってみよう。

「せっかく咲希が提案してくれたし見に行こうか、休みで人もますます増えて来たみたいだし、はぐれないように手を握ろうか?」手を握るなんてお子様扱いみたいで嫌がるかな?


おっ御兄様から手を握る催促だなんてはっハレンチです。私達はまだ会って日も浅いのにいっいきなり手を握るなんて、まったく御兄様は天然の女たらしなんでしょうか?でも、人が増えているのもわかりますし、せっかくですから握らせてもらいましょう。


咲希は若干躊躇っていたが、一瞬なにかを考えていたかなと思ったら、手をこちらに出してくれたのではぐれないように握ってあるきだした。

 しかし、手を握って歩くなんていついらいだろう?彼女とかもいなかったから女の子と触れ合う機会も無かったし、小さい頃なんて気になんてしないからまったく分からないが咲希の手は小さく暖かく、そして若干だが震えを感じた。それが、緊張なのか別の理由からなのかは分からないが、顔を見ようとしたら赤くして顔をそらしたので恥ずかしかったから、なのかもしれない。


店に着くと、手を離し店の中を見て回りだす咲希だが、その小さくも温かい手が離れてちょっと寂しく思う。

 俺も、せっかくなんでゆっくり店内を見ることにした。マクラの専門店なんてはじめて来たから楽しみだ。専門店だけあって色々こだわりがあるようだ。中の素材から高さの調整に硬さまで色々あって悩んでしまう。マクラの高さは人によって合う合わないがあるので測定してくれるそうだ。


しっかり測定をして、体に理想に、高さもわかり中の素材も、厳選して理想的なマクラが完成した。しかし、最後に問題が発生してしまった。支払いの為に咲希がカードを出したんだが、店員がカードを受け取るとなんか揉めだしていた。


「お客様こちらの、カードは使えません。現金か他のカードはございませんか?それと保護者の方はどちらに?いくらカードの支払いが出来るとはいえ黒いおもちゃのカードは使えませんよ?」


「おもちゃなんかじゃありませんから、そちらで支払いをお願いします。保護者は今はいません。」


「ですから、こんな真っ黒なカードなんか見たこと無いですよ。おもちゃのカード何でしょ?まったくこんなので冗談半分に来て」


なんか、分からないが支払いに出したカードで揉めているようだな。しかし、なんか不吉なキーワードが聴こえたような気がする。見たこと無い黒いおもちゃみたいなカードとか。もしかして、咲希に渡されたカードって選ばれた者のみがもつことを許されるブラックカードなんじゃ?それなら、店員も見たこと無いが納得出来るからな


「あのすみません店員さん試しにそのカード通すだけとおしてもらえないですか?多分おもちゃじゃないので」


「あなたは、さっきのマクラを買いに来たやつね?あなたがこの子の保護者?ならこのおもちゃのカードじゃなくお金をお願いします?おもちゃのカードじゃ支払い無理ですよ」


なんだろうこの店員話が通じないな。だんだん騒ぎも大きくなってきたしちょっと言ってみるか

「この子はとある会社の令嬢でこの、カードはそこの社長から、渡されたものでいわゆるブラックカードと言われるものかと、なんで騙されたと思って試してみてください。もし、後で話を聞かなかったとか言われてみてください?簡単にクビ飛びますよ」俺は、店員にだけに聞こえるように囁いた。

 店員は渋々ながらカードを、通すと当然問題なく使え、店員はあまりの衝撃に体を固まらせ冷や汗を一気にかくと、咲希の方をむいて、態度を180度変えて対応をはじめた。


「大変お待たせしてしまい申し訳ありません。こちらの勘違いでした。支払いは無事すみましたので商品の梱包が終わるまでぜひあちらでドリンクを用意いたしますのでお待ち下さい。」なんとも見事な変わり身だ。咲希がこっちをみて、なにかを悟ったようにクスッと笑い何事も無かったかのように用意された席に向かっていった。


俺も、案内された席に向かいドリンクを頼み梱包が終わるまで待つことにした。

 「御兄様ありがとうございます、あの様子を見るに私がいいとこのお嬢様だから、カードがおもちゃでは無いと言ってくれたってところでしょうか?」

 咲希はなんでもわかっちまうな。まっ別に隠すことでもないしいいけど。


「あのままだと騒ぎが酷くなりそうだったし、せっかくまだまだふたりで楽しみたいのに余計な時間は、もったいないだろ」おれは、咲希の頭を撫でながらゆっくり届いたドリンクを飲んだ

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