第25話

「それで、坊主はどんな家具がほしいんじゃ?なんでも作ってやるぞ」源じーさんは自信に満ちた笑顔で笑う。


「それなんだけど、実は俺今、この咲希と一緒の家に住むことになって新しい部屋にまだ家具がなくて部屋に必要な家具を一式頼みたいなと思ったんだけど、まさか源じーさんがそんな凄い人だったなんて今知ってしまってどうしたものかと」


「ほー、坊主はおれがどんな人か知らずにそれでもきてくれたんだな?なんで俺のとこにきてくれたんだ?」

 おれは、以前源じーさんの作った本棚をみて、素人ながら心を奪われてしまったことを話す。


「ふっ嬉しいじゃねえか、名工の名前だけでチヤホヤするようなやつより、坊主のほうがよっぽどおれの作ったものを見てくれてる。職人冥利に尽きるってもんだ。よし、坊主任せろ。お前さんの部屋の家具を一式俺が面倒見てやる。それに家具一式なんて今まで誰にもしたこと無いからな。わかるやつが見たら驚くような部屋にしてやるよ」


「うっ羨ましいです。源様のつくる家具に囲まれた部屋なんて本来ならいくらの値がつくか」


「そうだな、嬢ちゃんもせっかくここまで来てくれたんだ。小さくても構わないなら嬢ちゃんにも一つ送らせてくれ。ただしだ一つ条件がある。これからも坊主と仲良くしてやってくれ。

 この坊主はな、辛いことがあっても泣き言一つ言わず頑張っちまう我慢強いやつだ。だけどな、我慢ばかりしていたらいずれ限界を超えて壊れちまうかもしれねぇ、だからなそうならないようにだれかがそばで支えてやってほしいんだ。

 どうやら嬢ちゃんはその年の割にはずいぶん大人っぽいときた。無理を言ってるのが頼まれてくれねえか。その分嬢ちゃんにつくる物も渾身の一品物に仕上げると約束するからな」


「源様大丈夫です。私にとって御兄様は今も、昔も大切な人であるに変わりません。御兄様からもう離れてくれと言われるまでは、私がしっかりそばで支えて見せます。それと、出来たら作っていただけるなら、小物入れなどをお願いします。デザインはお任せいたしますので。」


「そうかそうか、嬢ちゃんの大切な人か、なら坊主なんて呼ぶのはあれか?坊ちゃんにでも変えるか?」


「源じーさんやめてくださいよ、今まで通り坊主で大丈夫ですから。これからも仲良くしてください。」


「もちろんだ、これからもよろしくな坊主。お前さんの家具作り楽しみにしてな。渾身の作品に、してやるから」源じーさんは、子供みたいにワクワクした顔で笑っていた

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