第22話 陸からの誘い
熱でここ数日休んでました。byクヨミ
学校生活も半ばに入ってきた頃、ここ神南高校では文化祭に向けての雰囲気になってきた。
「なあ、凪、お前なんか楽器できない?」
「なんだ、急にそんなこと聞いて」
「今度の、文化祭でちょっとしたバンドを組みたくてな、
ほら、高校生活でバンドをする!これを俺はやりたいんだよ」
そう言うと陸は目を輝かせていた。
実際、僕はギターが少しできるのだが力になれるのだろうか
「陸、ギターならできるけど」
「おお!そうか!ならぜひ、参加してくれないか」
「じゃあ、参加するよ、ところで今何人くらい集まっているんだ?」
そう聞くと陸はバッと指を顔の前に突き出して
「凪と俺も含めて三人だ」
「三人?もう一人は?」
「ああ、小春だぞ、でも、俺は五人は欲しいんだよな〜」
「五人か〜そんな当てはないぞ」
「そうだよな〜」
そんなことを昼休み話していると、いつものいつものようにあかりがやってきた。
「先輩っ、お昼食べましょう」
「ああ、ところで、今日は陸も一緒にいいか?」
「はい!もちろんいいですよ」
「じゃあ、行こうか、陸も」
「おう」
三人でいつもの広間に向かい弁当を食べながらバンドのことについて
あかりにも話してみた。
「バンドですか、なんかそういうの憧れますよね」
「そうだろ〜だから、人を集めたいんだよ〜」
そう陸があかりに対して話しているとあかりは
「じゃあ、私もやりましょうか?少し歌は下手ですが鍵盤くらいならできますよ」
「いいのか!」
陸は目を輝かせてあかりに近づいてお礼を言った。
「じゃあ、いったん曲を弾けるまでは揃ったから明日から練習しないか?」
「いいぞ、じゃあ楽器も明日持ってくるわ」
「あっ森山さん鍵盤はあるから、大丈夫だよ」
「はい、わかりました」
そう言って昼食を食べ終え、教室に戻った。
次の日の放課後
「よし、全員揃ったし、音楽教室に行きますか」
「そうだね」
音楽室に向かっている途中にギターの音が聞こえてきた。
「ギターの音?ねえ、陸、誰か他のバンドが使っているのかな」
「いや、先生に申し込んだ時にバンドの申し込みは初めてだって言ってたし違うだろ」
音楽室の扉を開けると引き込まれるようなギターの音色が響いてきた。
その音は窓際に座る一人の男子生徒が奏でていた。
その男子生徒は、僕らが入って来たことも気づかずに引き続けていた。
僕らもその演奏を扉の前で圧倒されるように聞いていた。
演奏が終わると、その男子生徒に対して無自覚の拍手していた。
すると陸がすぐに男子生徒に駆け寄って
「なあ、君すごいな!名前なんて言うんだ、もしよかったらバンド組まないか?」
すると、やっぱり陸のマシンガントークに男子生徒はびっくりしてタジタジになっていた。
「陸、ちょっとたじたじになっているから」
「おお、そうか、ごめんな」
男子生徒は立ち上がり、自己紹介を始めた。
「あっ、僕の名前は鶴見蓮太って言います、
今は一年生で特にクラスにも馴染めないままいたので
あまり人が来ない音楽室で趣味のギターをやっていたところです」
「私と同い年だったんですね」
「確か、二組の森山さん?」
「えっ、なんでわかるの!」
「よく、噂が耳に入るので」
「あかり、やっぱり、別のクラスまで噂広がってるんだな」
僕らはたまたま出会った、一年生の鶴見くんと話をし始めた。
「へ〜、この四人でバンドを組むんですか、面白そうですね!」
「だろ、でも、今集まってるのがギター、キーボード、ドラム、ボーカルで
あと一人欲しいんだよね」
「そうなんですね」
「そこでだ!鶴見くん、君も入らないか?」
「えっ!?」
鶴見は驚いた声をあげてもう一度確認した。
「僕がですか!?」
「そうだよ、あんなにすごい演奏できるんだから、どう?」
鶴見はちょっと考えて
「誘ってくれたのはとても嬉しいんですけど、
僕、大勢の前で引くのが少し苦手でそれにクラスにも馴染めてないですし。ちょっと」
陸はそれを聞くと鶴見の手を取り
「鶴見くん、周りの人のことなんか気にするな、
自分ができることをすればいいじゃないか」
と声をかけた
その時何かを決めたように鶴見が立ち上がった。
「陸先輩!ありがとうございます、僕やっぱりやってみようと思います」
「よーし、その意気だ!」
と言って、鶴見をバンドメンバーに迎え入れた。
僕は珍しく陸がいいこと言っていた気がするので感心したように話しかけた。
「へ〜陸にもあんな言葉かけれるんだ」
すると陸はちょっと笑って
「いや、漫画の受け売りだよ、なんかぽんって浮かんだからちょっとカッコつけてみた」
「おい、せめてそのかっこいいをここまで貫いたらどうだ」
「俺はそんなタイプじゃね〜よ、でもまあ、
やっとメンバー揃ったし明日から練習始めるか」
「そうだな」
こうして、新たに一年生鶴見蓮太がバンドに加わった。
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