第2話 弁当は距離が近まる練習です
体育祭が終わりあかりと付き合い始めて一週間が経った
うちのクラスでは意外にも付き合ったことが広まって結構女子の話題にも上がっていた
「あの女子嫌いの凪くんと付き合うってどんな人かな?」
「やっぱり、女子が苦手なんだしボーイッシュ系なんじゃない?」
「でも聞いた話だとこの学校の後輩らしいよ」
「いったい誰なんだろうね」
これを聞いた陸はにやけながら肘で俺の脇腹をちょいちょいと突いてきた。
「なっ!案外、人気あるだろ」
「これはただクラスメイトが付き合ったってことで盛り上がってるだけだろ
別に僕以外が付き合ってもこうなるだろ」
陸と話していると後ろの方から男子が色々と嘆いてる姿もあった
「凪は俺たちの仲間だと思ってたのにどうしてだ〜」
「これで女子からも話が来たりするんじゃないか」
「だといいけどね。ところで陸は彼女いるのか」
「凪、喧嘩売ってる💢?売ってるなら買ってやってもいいぜ!」
指をポキポキ音を立たせながらガチの怒ってる顔で言ってきた
「ごめん、ごめんそんな感じで言ったんじゃないから」
そんな感じで昼食の準備をしていると少しトーンの高い声が教室に響いた
「あの〜凪先輩いますか〜」
その瞬間クラスの視線が一人の後輩に集まる。
「えっ、え?」
呼びかけに気づいた凪と陸は小走りであかりの元に向かった
「あかり、どうしたんだ、わざわざ2年の教室まで来て?」
あかりはニコニコしながら
「先輩お昼一緒に食べません?」
「ああ、いいよ。陸はどうする?」
「俺は、、いいや二人で食べておいで」
凪はちょっと残念そうな顔をして
「そうか、ならまた後で!」
「おう!」
二人が行った後一瞬教室は静かになったが
また二人の話題が飛び交うようになった
「えっ!凪くんの彼女ってやっぱり一年生」
「全然ボーイッシュ系じゃなかったよね〜意外だった!」
「それな〜」
「凪の野郎、あんなに可愛い彼女作りやがって次あったらタダじゃ済まさね〜」
(これはしばらくは二人の話題で持ちきりだろうな)
そう思いながらも自分も楽しんでいる陸なのであった。
二人はちょっと人がこなさそうな校舎の中庭で弁当を開いていた。
「先輩は弁当は自分で作るんですか?」
「まあ一応、一人暮らしだし自分で作ってるよ」
あかりは目をキラキラさせて
「あの!先輩のおかずと私のおかず交換しませんか?」
「ああ、いいぞ。口に合うといいんだが」
そう言って僕は自信作の卵焼きを箸で取りあかりの弁当に入れようとしたのだが
「何やってるんだ?」
あかりは口を開けて入れてくださいのような状態になっていた
「先輩、、てっきり私、あ〜んしてくれるのかと、すみません早くも飛ばしすぎました!」
頬を赤らめながら謝ってくる。
「びっくりしたけど、でも、食べさせるのちょっとやってみたいかも」
「えっ、いいんですか」
「これも女子になれるための特訓と思えば、うんやれる」
「じゃあ口開けて、、あっ あ〜んっ
箸をあかりの口に近づけていき パクッ頬張った。
「どうかな?」
あかりは嬉しそうに
「美味しいです!あと食べさせるのできましたね」
「ああ、それは良かったよ」
無事、食べさせるのが終わり二人とも自分のお弁当を食べようとしてあかりは気づいた
(あれっこれって間接キスじゃないかな?先輩気づかないといいんだけど、)
凪の方を見るが気にせずにお弁当を美味しそうに食べていた。
(良かった、間接キスって気付いてたのは私だけで
でももし先輩が気づいてたらちょっとパニック起こしただろうな)
そんなあかりはハラハラさせられていたが当の本人は何にの気にせず弁当を食べ終わった。
食べ終わり二人で何を話そうか気まずくなっていると僕は気になったことを聞いてみた。
「あの、あかり、なんで俺に告白しようと思ったんだ?」
あかりはもじもじと、え〜話すんですか〜などとためらっていたが
「引かないでくださいよ」と前置きを置いて話し始めた
「体育祭の時、リレーで活躍している先輩を見てカッコいいなと思い始めたんです」
何秒か沈黙が続いた
「えっと、、それだけか?」
「いえいえ、その後、先輩私を助けてくれたじゃないですか!」
「その後?」
あかりはちょっと残念そうな顔をしたが忘れたんですねと呟いて話し始めた
「先輩は体育祭の時、私が場所で迷ってる時教えてくれたじゃないですか」
「あっあ〜ね」
体育祭の時確かに凪は体育祭の時、困っている後輩を助けたりしていた
その時の一人にあかりがいたわけだ。
「でも、流石に唐突すぎじゃないか?」
「いいじゃないですか。
別に唐突でもこれからお互いのことを知っていくって決めたじゃないですか」
「そうだな、ありがとう、あかり」
「先輩は私に感謝しすぎです」
「そんなことないと思うけどな」
そんな二人の間を刺すように昼休み終了の鐘が鳴った。
「時間になっちゃいましたね、教室に戻りましょうか」
「ああ、そうしようか」
「それと先輩、今日の放課後空いてますか?」
「うん、空いてるよ」
「じゃあ放課後どこか行きましょう!校門で待ってますからね!」
それだけ言うと小走りで教室に戻って行った。
教室に戻ると陸が急いで駆け寄ってきた。
「陸どうしたんだ。そんな青ざめた顔して?」
「凪、、恨むぞ」
陸は俺の肩をがっしり掴んで言ってきた
「何があったんだよ?」
「お前らのことを知りたい奴らが俺に対してずっと質問攻めしてくるんだよ
おかげで昼休みずっと話さないといけなくなったんだぞ」
「あははは、それはごめん」
「許せるものか〜!」
陸の悲痛の叫びが教室に響いたが午後の授業の鐘によってかき消されるのであった
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