女子が苦手な僕が知らない後輩から告白された!

クヨミ

第1話 後輩女子が僕に告白を

俺、江頭凪はごく普通に高校生活を送っていた。

しかし一つできないことを挙げるとすれば女子と関われないことだ。

女子と関われない理由は自分でもわからないが

なんでか近づこうとすると怖くなってしまう。


「凪、女子が怖くなったのは何故なんだ?」

「あのな〜〜陸さん、それが分かれば俺も苦労はしないよ!」

俺が話しているのは羽山陸 俺の親友だ。

こいつは小学生からの仲だ。

「お前意外とモテるんだからなんとかその女子嫌い治せよ俺だったら嫌でも治すね」


「僕はそんな彼女とか欲しいわけではないし別にぼちぼち治していければいいよ」


「か〜こんなにも俺らは青春のど真ん中にいるのによくそんなことが言えますね。

やっぱりモテるやつは言えることが違うな〜」


「別に僕はモテてね〜よ」


そんな中、高校では最初の恒例行事体育祭が行われた。


俺は運動はそこそこできるのでリレーなどでは活躍することはできた。

体育祭も無事何事もなく終わり片付けをして帰ろうとしていると

急に女子から声をかけられた。


「あの、、先輩?少しいいですか?」


俺はびっくっとして後ろに退いてしまった


それを見た後輩が何故か驚いたような顔をしていたのですかさず隣にいた

親友の陸が説明する。


「ごめんな!こいつちょっと女子が苦手でさ、許してくれるか」


「そうだったんですね!何も知らず、すみません」


後輩の子はなんだか申し訳なさそうな感じで謝ってきた。


「大丈夫だよ、こちらこそごめんね急に驚いちゃったりしてで僕に何か用?」


もじもじしながら後輩の子は体育祭で全校生徒が巻いていた鉢巻を解き手に取ると


「あの、先輩の鉢巻と私の鉢巻交換しませんか?」

「えっ?」

「私、先輩が好きなんです!」

「えーーーーー!」


この時、凪は混乱していた。


全く知らない女子からの告白そして鉢巻の交換と身になれないことが

重なってプチパニックを起こしていた。


僕が目を回していると、様子がおかしいと気付いた陸がフォローに入る


「ごめん、こいつちょっと運動の疲れで体調が悪くなったみたいだから

保健室連れていくわ」


「えっ!あっはい!」


「あとこれ、あいつの鉢巻一応交換しとくから告白の返事は待ってくれ」


「わっ、わかりました」

強引だったが陸は会話を終わらせて急いで保健室に向かった。


 「ここは?」

僕が気づくと保健室のベットの上だった。

「やっと気がついたか」


少し呆れ顔の陸がベットの横に座ってこっちを見ていた


「陸、俺はなんで保健室に?」


陸は今までの一部始終を話し始めた。


「要するにお前は告白されたりして女子嫌いのせいでぶっ倒れたと言うわけだ」


「そうか、それで、その後輩の対応はどうしたのか?」


「あ〜、お前の鉢巻とその後輩の鉢巻を交換して告白の返事は待ってくれって言ったぞ」


「何やってんだよ!陸!」


「まあまあいいじゃん。女子慣れするチャンスだし付き合ってみたら?」


「そうかもだけど」


確かに陸の言う通りこんなふうに女子が苦手だと迷惑をかけてしまうかもしれない


「俺が思うにお前に好意を寄せてくれる人と治していった方がいいんじゃないのか」


そうだ陸の言う通りだ。


確かに今までは避けてきてばっかりだったが今回の件が続くようならそれを無くさないと!


「わかった、陸、僕頑張るよ!」


「その調子だ!」


次の日に鉢巻に書いてあった名前、一年生森山あかりを訪ねてみた。


「あっ昨日の先輩達!なんでここに!」


朝の休み時間に急に訪ねたので驚いたのも無理はない。


「急に訪ねてごめんね。ちょっとこいつが言いたいことがあるから

 ついてきてくれないか?」


「はっはい!」


あかりは驚いたようについてきた。

俺たちはあかりを人気のない空き教室に連れてきた


「あの〜もしかして告白の返事ですか?」


「あ〜それは全部こいつから聞いてくれ!邪魔な俺は外から見てるからさ、凪頑張れよ!」


「ちょっと!陸それは話が違!」


陸はそれだけ言うと教室を出て行った。


「先輩?大丈夫ですか?」

僕とあかりは向き合って話し始めた。


「あかりさん、僕はあいつが言ったように女子が苦手なんだ、

でもこんなちょっとずつしか関われない僕でもいいなら返事をしてくれないか、

 僕の返事はyesだから」


あかりはパッと顔を明るくして抱きついてきた


「もちろん私からの返事もオッケーですよ、これからゆっくりでもいいから

慣れていきましょう先輩!」


そう言って嬉しそうに飛びついてきた。


「ちょっと!あかりさん抱きしめるのはまだ、、、」

「きゃっ!」


バタンと僕とあかりが倒れる。

大きな音がして教室に陸が入ってきた。


「何が起こったんだ」

「私がつい嬉しくてちょっと抱きしめちゃったらバタンと、、」


陸はため息をついて


「じゃ保健室に連れてくか」

「私も手伝います!」

「森山さん、一つお願いがあるんだけどいいかな」

「はい、なんですか?」


陸は真剣な顔であかりに話し始めた。


「こいつは本当に女子が苦手で最近やっと少し話せるようにもなってきて

治ってきてるんだが明らかに遅すぎる。

だから少し恋人になったけどスキンシップは段階を踏んで欲しいんだよね」


「段階を踏むですか」


「ああ、少しでも君を通してあいつの女子嫌いがなくなってくれたらいいなと

 俺は思ってる。 だから少し協力してくれないか?」


「わかりました。先輩!

 これから凪先輩の女子嫌いがなくなる手伝いをさせていただきます!」


「それならこっちも安心だ」


「でも先輩はなんでこんなにも凪先輩を気にかけてるんですか?」

陸は少し考えて


「俺は小学生の頃あいつに色々と助けられてな、

それで中学からそんなことがないように

イメチェンもして助けがいらなくなるまでになったんだが、

中学に上がった頃からあいつ女子嫌いが始まってて、

俺が何か助けになれるなら俺はそれで恩を返したいんだ」


あかりはちょっと驚いたような顔をしていた


「なんかすみません、変なこと聞いちゃって」


「いいよ、そのくらい」


「あっ着きましたね」

そんなことを話しているうちに保健室についた。


保健室に入り凪をベッドに下ろすと陸は


「じゃあ俺は教室に帰るわ!」


「えっ!なんでですか!」

陸はにやけて

「せっかく恋人になったんだから見たやらないとでしょ!それじゃ!」


そう言うと陸は小走りで教室に帰って行った。


「あっ行っちゃった」


「まあ、起きて誰もいないよりはいたほうがいいよね」


と自分なりの解釈で凪の横にいることを決めた。

それから何分か経ち、凪の目が覚めた。

「先輩!起きたんですね!」


「ああ、やっと目が覚めたよ、何度も倒れてごめん」


「いえいえ、倒れる原因を作っているのは私ですので」


「それと、なんでそんなに離れてるの?」


見るとベッドから三メートルくらい離れたことから話している


「これ以上先輩を倒れさせるのは私も嫌なので」


「ああ、ありがとうな」


あかりはもじもじしながら喋り始めた。


「あの先輩、急にとは言いません、これから少しずつ距離を近づけていきましょうね」


「あかりさんは、そんな時間が掛ってもいいのか?」


「ええ、私はそんな先輩のことが好きですから!」


真っ直ぐに向けられた好意にはまだ答えれそうにないが

これから時間をかけてでも返していきたいと僕は誓った。


 


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