第22話
『くだらない?!』
目の前にいる鎧は俺の頭を掴み上げた。その手は怒りからか震えていた。
(あぁ、くだらない。何でお前がそんなことを決める)
『え?』
俺の頭を掴む力が僅かに弱まる。
(だから、何でお前が人の人生を勝手に評価してるんだと聞いているんだ)
『別に評価してなんか…』
そこまで言って口を紡いだ。
(別に俺の知り合いじゃないから好きにすればいいと思うけどな。どうせなら詳しい話を教皇からでも聞けばいいだろ)
柄にもなく説教じみたことをしてしまった。それも生きている時間が俺よりも遥かに長い相手に対してだ。
でもそのほとんどの時間。殺された後は人と喋る機会もなかったはずだ。それなら精神的に幼くても仕方がないのかもしれない。
いや。勇者という過度のストレスを浴び続け、過度に抑圧されたことでメンタル面が成長する暇がなかったと考えるべきかもしれない。
『そうだね』
再び口を開いた時には明るい声に戻っていた。それは空元気からくるものではない。何か吹っ切れたようなそんな声に変わっていた。
鋼の腕は俺を首の位置に置いた。
『教皇にストリヤについて聞いてみるよ』
部屋を飛び出して走り始める。
そうだった。完全に忘れていた。
今、俺とこいつは文字通り一心同体。こいつが話を聞くと言うことは俺も話を聞かなければいけないと言うことだ。
かなり面倒くさいことをしてしまった。
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