第5話「S級冒険者」

 実力者として名の広まったアルバートは、毎日のように高難易度の依頼を受けていた。

 彼の昇格と同時に、同じパーティーであったカルミアのランクもS級へと上がったため、彼もまた実力者として名を連ねることとなった。

 そのことに恩を感じたのか、カルミアは常にアルバートと共に行動している。

 ルーナは元々S級だったため、昇格の話はなかったが、今まで固定のパーティーを組んでいなかったことを理由に、アルバート達と行動をするようになった。


 ただひとつ問題があるとすれば、他の冒険者からのやっかみだ。

 彼らを非難するのは、主に一度も魔獣の群れと遭遇したことのない若い冒険者達が多い。更には、要約すると「自分たちは一つずつ昇格試験を受けたのに、ずるい」というような声がギルドに多数寄せられたのだ。

 実力のない者は、喧嘩を売っていい相手の区別すらつかないらしい。

 アーシャはそんな冒険者達の様子を、あざ笑うかのように冷たい目で見ていた。

 アルバート達も相手にすることなく、ため息交じりに相手をするものだから、火に油を注ぐ結果を招いてしまっている。

 彼らは、基本的に外面が良いのだが、何度も言いくるめるほどの必要性を感じなかったらしい。

 ギルドの決定は二度と覆ることはない。だからこそ、本人に文句を言うしかないのだろう。


「アルバート様! カルミア様! あの……。これを」

「ああ、ありがとう」

「おう! サンキューな」


 ギルドを出たアルバートとカルミアに可愛らしい女性が声をかけた。差し出された手作りの弁当らしき包みを受け取り、にこりと事務的に微笑む彼らに、黄色い金切り声が上がる。

 そして、彼の隣にいるルーナへ恨みがましい視線を向けるまでがセットだ。

 S級に上がった彼らにはファンができた。

 アーシャはそれを利用して、ファンに混じってアルバートを監視している。

 美形の前では一般常識までもが覆るようで、カルミアやアルバートの、忌み嫌われるはずの黒に近い髪色や、漆黒の髪を全く気にしていない彼女らを、熱狂的と言わずなんというのだろうか。

 創造神が創りたもうた「美」という魔性の媚薬に脳まで溶かされたような顔で、うっとりとアルバート達を見つめる女性たちに、少しばかり狂気を感じる。

 もし彼らと恋仲にでもなってしまったとしよう。壮絶で陰湿な蹴落とし合いが始まるに違いない。

 自分には関係のないことではあるが、そんな想像しただけでも、アーシャは身震いをしてしまった。


 アーシャがそのように思うのも無理はない。

 なぜなら、その標的となって一身にやっかみを引き受けているのが、ルーナだからだ。

 ファンの女性たちは、ルーナが見目麗みめうるわしい彼らと共にいるのが気に入らないようで、アルバート達の目を盗んでは毎回のように恨みがましい視線を、彼女に送っていた。

 ルーナが根暗に見えるから余計に攻撃的に出てきやすいと言うのもあるが、当の本人が全く気にしていないのも一つの要因だろう。

 自らが冒険者になる勇気もなく、釣り合う努力すらしない女性たちに、ルーナが臆することなどありはしない。

 一番怖いのは、必要とされなくなることだと、ルーナは言っていた。

 そんな内側に秘める炎を知らない彼女らは、ある意味幸せなのかもしれない。


「そろそろ行かないと。遅れる」

「そうだな。じゃあ俺たちはこれで」


 残念そうな声が上がるが、有無を言わせずに、城門へとアルバート達は歩いて行った。

 今日は彼らだけのペースで依頼を進めるわけにいかないからだ。


 アーシャはいつものようにアルバート達を追い、城門の外へ出た。




  ◇◆◇




「よう。来たな。あんまり遅いんで逃げ出したかと思ったぜ」


 アルバート達を待っていたのは、一年ほど前にS級へと上がった五人組のパーティーだった。五人はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべている。

 銃を使う遠距離武器が二人。片手剣が一人。遠距離を守る盾が一人。補助要員が一人といった、お手本通りで、ひねりも、面白みもない構成をしている代表的な冒険者たちだ。


「いやぁ、悪いね。帝都の可愛いお姉さん達が離してくれなくてさぁ。有名になるのも考えものだな!」


 人の良い笑みを浮かべたカルミアが挑発する。

 彼の安い挑発に、五人の冒険者は少し青筋を立てたが、リーダーらしき人物が静止をかけた。


「とりあえず、自己紹介といこうや。おれはナーダ」


 大柄で髭をたずさえ、屈強で無骨な、背中に大きな盾を背負った男性が一番に名乗った。

 彼はリーダーらしく気が強そうで、自信に満ちた顔をしている。


「ウーデンだ。よろしく」


 カービン銃を背負い、パーティーの中でも一番気さくそうな感じで、刈り上げた髪に、泣きぼくろが印象的な青年だ。


「僕はプスター」


 五人分の野営用の荷物を背負った彼は、簡易な弓を持っていた。

 その弓は攻撃のためでなく、おそらく護身用程度の性能しかないのだろう。攻撃用の弓よりも軽そうだ。

 彼は優男といった感じの見た目をしており、男性にしては長めの、淡い金色の髪を風になびかせていた。


「リヤンだ」


 一番身長が高く、足が長い青年だ。

 彼は腰に片手剣を装備しているだけで、荷物はウエストポーチだけという、身軽さに重きを置いた格好をしている。


「自分はウェルス」


 彼の顔には左目の眉から頬にかけて傷跡が残っており、痛々しい。傷跡を気にする素振りのない彼は、少し神経質そうな見た目で、ウーデンと同じカービン銃を携帯している。


 彼らが名乗り、アルバート達も知っていると思うがと前置きをして名乗った。そして今回の依頼について話し始める。


「依頼は、魔獣の住処と化した森小屋の魔獣を一掃すること。S級なら簡単だろ?」


 ナーダがそう言えば、そうだなと周りが同意をする。一々嫌味を挟まなければ喋れないらしい。「そういやぁ」と声を上げたウェルスがニヤリと笑う。


「その森小屋は元々、反皇帝派を口にした奴が住んでたって噂だぜ。まぁ、真偽は知らねぇが、事実なら、魔獣の餌になったんだろうなぁ、そいつ。まっ、皇帝に歯向かおうとした天罰だよな!」


 アーシャの聞いたことのない情報だった。彼女が知らないなら、その噂はデマの可能性が高い。

 きっと彼らは、アルバート達を怖気づかせようとしたのだろう。だが、その効果は全くと言っていいほど効き目はなかった。

 森小屋と言われ、魔獣の討伐依頼も出ていることから、その小屋の持ち主は生きている可能性が高い。少し考えれば分かるはずのことも分からないなんて、一般の冒険者達は脳みそまで筋肉になっているのだろうか。

 アルバートは話を聞き、眉を潜めた。物も言わない彼は、きっとアーシャと同じようなことを思っているのだろう。


「ねぇ、連名で依頼を受けた理由は?」

「ああ、それな。こいつらがな、どっちのパーティーが早く掃討出来るか勝負したいって言ってきてな。オレ達が勝てば、実力を認めるんだと」

「そう」


 ルーナは自分たちの実力を認めない冒険者達がいることは知っていたものの、ここまで後先考えずに突っ走ってきた彼らに、何とも言えない顔をしていた。


「お前らが何日かかるのかは知らねぇが、おれらは三日で終えるぞ。んじゃあな」


 言いたいことを言い終わると、彼らは早々に森小屋へと去っていた。


「俺たちも行くか?」

「そうね。でも、ゆっくり行ってあげよう?」

「あぁ。なんか、可哀想だもんな」


 彼らはそう頷きあって、森小屋へと歩いて行った。

 ゆっくりと、のんびり景色を楽しむように進む彼らは、尾行するのにはあまり適さない広い草原を進んでいく。アーシャは彼らに悟られぬよう、慎重に後を着いて行った。




 森は彼らの様子を覗き見るには絶好の場所だ。

 アーシャは森の木々の上を伝い、彼らに見つからないよう慎重に様子を伺う。


 森の入り口からかなり離れた場所に森小屋はあった。

 その森小屋は、アーシャが想像していた物よりも三倍は大きく、何百人と人が集まっても余裕がありそうなほどだ。

 森の木々を支柱とすることで、大きな建造物を作ることに成功しているこの小屋は、森と同化していた。

 きっと、貴族がお遊びで作らせたものだろう。

 石造りが基本のこの国で、全てを木で作ったこの小屋は、単なる貴族の気まぐれの産物だろうことが伺える。

 その証拠に、貴族が好む、火の守護神と知られる女神の紋様が描かれていた。


 幸いにも、森に魔獣はおらず、どうやら森小屋にのみ、魔獣はいるらしい。

 アルバート達が着いた時には、すでに日は傾き、月がこんばんはと顔を覗かせ始めていた。

 先に到着していたナーダ達はすでに野営の準備が整っている。ここで一夜を明かすつもりのようだ。


「今からやれば、今日中には帰れると思うが、どうする?」

「あちらさん、野営の準備もしてるんだし、それはいくらなんでも可哀想だろ」

「一般的にS級の任務は一週間前後かかるって、受付の人言ってたよ」


 ルーナの言葉に、アルバートは驚きに打たれたかのように黙ってしまう。

 そんな彼の様子に、カルミアはけらけらと声を上げて笑い転げていた。

 一般的な共通認識としては、S級は時間がかかるものなのだ。

 アーシャもS級になってから言われたことがあった。「依頼の達成が早すぎる」と。

 そのため、極力目立たないよう、早く終わらせた後、二〜三日はのんびり野宿をしてから、依頼の達成報告をするようにしていたぐらいだ。


「じゃあ今日は野宿だな。……悪い。俺、何も道具持ってきてないんだよ。カルミア。一緒に入らしてくれないか?」

「オレかよ。こういう時はどさくさに紛れて、ルーナにお願いするだろ、普通」

「いや、一応、男女だしな……。悪いだろ」

「かー!! 枯れてんなぁ! しゃーねえ。いいぜ。だけどな、今日はお前のタイプの娘聞くまで寝かさねェからな!」


 勘弁してくれよと言うアルバートを引きずって野営の用意をし始めるカルミアは、意外にも大きめのテントを持ってきていた。彼曰く、どうせ持って来ないだろうと思ったから持ってきたらしい。

 テントを張り終え、三人は寝床についた。


「それじゃ、ルーナ。おやすみ」

「おやすみなさい。いい夢を」

「こういうところが女って感じするよな。って、いてェ! 石投げんな! 地味に痛いわ!」


 そんなふざけたやり取りをした後、彼らは眠りについた。アルバートは宣言通り、カルミアに質問攻めにされていたが。

 アーシャも今日は木の上で休息をとることにした。






 夜が明け、太陽が顔を覗かせる頃に、彼らは起床した。

 意外にも早起きで驚いてしまう。

 

「ゆうべはお楽しみでしたね?」


 ルーナがそう言えば、心底嫌そうな顔のしたアルバートが否定の言葉を口にした。


「ルーナ、よかったな。アルバートはお前に一ミリも気がないらしい」

「おい。それは本人の前で言うことじゃないだろ! っていうより、ルーナの見た目が好きなのはお前だろうが」

「ちょ、それは言わねェ約束だろ!?」


 彼らの言い争いにため息をついたルーナが呟く。


「動き出すみたい」

「お、じゃあお手並み拝見といきますか」


 森小屋に近づいていくナーダ達の少し後ろから、見学するように近づいていく彼らは、まさしく不審者だ。

 やはり、プスターは補助要員のようで、戦いに巻き込まれないよう、アルバート達とは反対の木の陰に隠れている。


「お前ら! 気ぃ引き締めろよ!」


 ナーダが険しい顔で声をかければ、ウェルス達は無言で頷いた。

 小屋の扉の四歩ほど前にかがんだ姿勢でカービン銃を構えたウェルスとウーデンがおり、その二人の前には、盾を持つナーダが腰を落として守りを固めていた。

 片手剣を構えたリヤンがゴクリと唾を飲み込んで、扉を開け放ち、間髪入れずに小屋の中へと飛び込んだ。

 片手剣のような近接武器の役割はただ一つ。

 囮となること。

 小屋からリヤンが犬の魔獣を一匹引き連れて扉から飛び出てくる。

 器用にも開け放った扉を閉めながらだ。


 それと同時に金属的な発砲音が鳴り響いた。


 リヤンを追っていた魔獣は、攻撃を仕掛けてくる方へと方向転換し、ナーダの構える盾へと、重い音を立ててぶつかった。


 ウェルスとウーデンが交互に弾の補充をする様子を見たアーシャは、攻撃の手を休めないよう工夫しているのだと、その行動の意味を正しく理解した。

 それはアルバート達も同じだったようで、感心した様子で彼らが討伐を終えるのを待っていた。


 三十分ほど経っただろうか。

 随分と一匹の魔獣にトドメを刺すのに時間がかかった印象だったが、ナーダ達は誇らしげな顔で、アルバート達を見た。


「どうだ? あの魔獣は並のパーティーじゃ、討伐に一時間はかかるぜ?」


 ウーデンの自慢げな声に、やれやれとアーシャはため息をつきたくなってしまった。

 犬の魔獣ほど相手にしやすい魔獣はいない。

 元が犬なだけあって、群れを作ると少しやっかいだが、そこまで大した魔獣ではなかったはずだ。

 ただ、アーシャの認識が一般とズレている事を考えると、並の冒険者はそうは感じていないのかもしれない。


「えーと、そうだな。なんて言えば良いのか……。正直、どうだと言われてもな、この程度かって感想しか出てこないかな」


 にっこりと笑ったアルバートが爆弾を落とす。

 それを聞いたルーナが盛大に吹き出した。


「あぁ!? おれらよりも早く討伐できるってのか!? 冗談はよしてくれよ、なぁ?」


 そう言ったナーダが高らかに笑い、それに釣られてリアン達も同じように笑った。

 感じは悪いが、彼は自らの勝利を確信しているようだ。


「まぁまぁ。オレ達の討伐を見るために一匹しか引きつけて来なかったんだろ?」


 その言葉にぴしりと石のようにナーダ達が固まる。

 そのようなつもりはなかったらしい。


「次は俺らの番ってことで良いんだよな? あんた達は帰る準備をしてたらいい。すぐに終わる」


 絶対的な、揺らぐことのない自信。

 それが自惚うぬぼれでないと知っているのは、アーシャと彼の仲間だけだ。

 乾いた唇を舐めるアルバートは、好戦的な笑みを浮かべている。

 彼の言葉を信じられないナーダ達は、木の陰に隠れて様子をうかがうことにしたらしい。


「扉を開け放てば、魔獣は一匹残らず出てくると思う」

「よっしゃ。じゃあオレが扉開けるわ」

「あとは各自、適当に殺るか」


 作戦らしい作戦もなく、小屋の扉を開け放ったカルミアに、ナーダ達が短い悲鳴を上げた。大の大人が出す情けない声はひどく滑稽こっけいだ。


 わらわらと虫のように湧いて出る魔獣に、彼らは臆することなく立ち向かって行く。

 それだけでも称賛に値するのか、ナーダ達は声も出ない様子だった。


 アルバートが銃を使う様子はなく、いつも腰に帯刀している刀を使い、魔獣の相手をしていた。

 彼が銃を使うのは、魔獣が鳥型だった時だけだ。それ以外の魔獣は全て、己の剣撃のみで倒してきた。

 彼の剣に迷いはなく、正確に魔獣の首を落としていく。

 その太刀筋は、主な武器が刀だと言われても信じてしまうほどだ。


 カルミアは辺りにいる魔獣を踏み台にして上へ飛び、上空から次々に斬撃を繰り出す。

 彼は高い身長を物ともせず、パーティーの中でも一番身軽な戦い方をするのだ。

 その光景は、ネコ科の動物がしなやかな動きで獲物を狩っている光景や、鮮やかな剣舞を踊る旅芸人のようで、その美しさに惚れ惚れと見入ってしまう。


 一方ルーナは、犬の魔獣とくないの相性が悪いことを早々に悟り、彼らと同じく刀で応戦していた。

 彼女はアルバートの獲物より十センチ短い刀で、器用にも魔獣の首を切り落としている。

 無駄な動きがなく、洗練された剣技は見るものを魅了する。


 またたく間に終わった魔獣の討伐に、ナーダ達は腰を抜かしていた。驚きで声も出ないようだ。

 彼らの化け物を見るかのような顔に、アルバートは少し困った顔を見せる。


「俺らはもう戻るよ。依頼の達成もしておく。報酬は折半でいいか? 連名だしな」

「は? 折半でいいのか? ほとんどお前らが倒しただろ」

「いいってことよ! なにせ、オレらは別でちゃんと稼いでるからな」


 嫌味を感じさせない声で笑うカルミアに、ナーダ達は頭を下げ礼を述べた。

 どちらの実力が上か、やっと理解が及んだらしい。

 木の上でアーシャが安堵すれば、ルーナが小さくくしゃみをした。


「早く帰ろう。そろそろ雨が降るよ」


 ルーナはそう皆に声をかける。

 しかし、澄んだ空模様に雨が降る様子はない。

 だがルーナがそう言うのなら、すぐにでも降り出すのだろう。


「じゃ、帰るか」

「そうだな。それじゃ、俺たちはこれで」


 軽く挨拶を交わし、彼らは帰路に着く。

 それを追うように、アーシャも帰路に着いた。

 アーシャ達が森から出てすぐに、湿気た空気が吹き始めた。それは今から雨の降る前兆だ。

 彼女の言った通り、それから五分と経たないうちにポツポツと雨粒が振り始めた。

 彼らはすでに城門まで戻ってきており、そこで雨宿りをしている。


「言った通りだな」

「百発百中とは……。すごいな」


 ふふふと笑うルーナの頭をわしゃわしゃとかき混ぜたカルミアは、屈託のない笑顔をしていた。


 アーシャはそんな様子を城門の外の茂みから眺めていた。

 どうでもいいが、早く城門から立ち去ってほしい。

 彼らが城門から離れなければ、彼女は城門へ行けない。なぜなら、彼らの前に姿を現すわけにはいかないからだ。

 ここには濡れ鼠になっているアーシャを気遣う人はいない。

 じっとりと水分を含んで張り付く服は気持ちのいい物ではない。早く乾いた服へと着替えたいと、そればかり考えてしまう。

 ふと見れば彼らが城門から立ち去るところで、やっと城門で雨宿りが出来ると息をついた。


 城門へ走っていけば、門番に呼び止められてしまった。

 何か呼び止められるような事をしただろうかと、アーシャは内心首を傾げながらも門番へ視線を向けた。

 門番は「先ほど、雨宿りされていた方からです」と言って、アーシャに大きなタオルを渡す。

 アーシャはルーナが気を使ってくれたのだろうと、門番に礼を言って受け取り、タオルを広げれば、アーシャ一人なら余裕で包めるほどの大きさがあった。

 その大きさに目を丸くした彼女だったが、遠慮なくふかふかの温かな感触を楽しむように包まったのだった。

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