〜地下迷宮レストラン〜 パーティー編


〜地下迷宮レストラン〜 パーティー編


「店長、おはようございます!」

澄江は、店の入口で、見かけない看板の前に立っていた店長のマーヤに挨拶した。


「おはよう、澄江さん!」

店長は、笑顔で返した。


「今日は、結婚式の2次会があるんですよね!わたしは、2次会のナレーション係なんて、はじめてだから、セリフ練習して、よく眠れてないんです。もうドキドキして。」


「それがね、澄江さん、さっき連絡があって、結婚式の2次会は、キャンセルになったの。練習してくれてたのに、本当に残念なお知らせでごめんなさい。」

店長は、申し訳無さそうだ。


澄江は言った。

「店長が謝ることはないですよ!それより、なんで2次会がキャンセルになったんですか?」


「なんでも、詳しく聞かなかったんだけどね、新婦が新郎を罵倒したみたいで、新郎が結婚式場から出て言ったみたい。帰ってこないんだって。新郎。」


「相当、ひどいことを言ったんですかね?」


「ドワーフには、言ってはならない言葉らしいわ。新婦は、リザードだから、わからなかったのかしらね。お見合いらしいし。」

店長は、看板を畳みながらつぶやくように言った。


「ドワーフとリザードって、珍しいカップルですね。」

と澄江。


「ドワーフ族は、なにがあっても動じないようなイメージがあったから以外です。新婦、かわいそう。パーティー中止だなんて。」

澄江は、同情した。


すると後から、声がした。

「ケーキのケータリングです。会場のアンダーグラウンド12階に運んでよろしいですか?」

ケーキを搬入しているパーティー専門の仕出し屋だった。


「あっ、そうだったわ。ごめんなさい、ケーキは使わなくてよくなってしまって。」

店長は、仕出し屋に言った。

「そしたら、店の入口に置いてください。フリードリンクと一緒に、ケーキを振る舞いましょう。」

ケータリング屋に指示すると同時に、澄江に言った。


ケーキ代をケータリング屋に支払う店長を待って、澄江は聞いた。


「ケーキを誰に振る舞うんですか?」

と澄江。

 

「今日ね、パーティーだから、1日だけの、アルバイトを40人頼んでいるの。でも、仕事なくなってしまったから、1日分のお給料渡して、このケーキ食べてもらおうかな。」


次々に店の前に置かれるケーキをみて、澄江は言った。

「そうですよね。250人分でしたよね。」


「そう。店の入口に置いても、道にあふれるかもしれないわね。」


「テーブル出します!あ、フォークとナイフも用意しないと。」

と澄江。


店長は、申し訳無さそうに言う。

「あ、それなら、アルバイトさんにセットしてもらおうかな。」




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