9階 3

あるサイトにアップされた動画の文字起こし

※現在は削除されています。


こんばんは!いっちゅうチャンネルのケンジです!○○第一中の3人でお送りしています!

(拍手音)

今日の企画は、なんと!心霊スポット突撃!カメラマンはタクヤでお送りします!タクヤファンのみんな、今回はタクヤ映らなくてごめんね!


え、こんな東京のど真ん中に心霊スポットなんかある?


そっかー、スグルは引っ越してきたばっかだから知らんよな。実はこのビル、心霊スポットなんです!昔、このビルで自殺した人が居るんやって!


いや、自殺って……言っちゃ悪いけど、東京ってどこもかしこも事故物件みたいなもんやん?そんなんで心霊スポットやったら俺のマンションも心霊スポットになるし


そうなんやけどな?このビルの9階はマジのやつなんよ。事件から数年経った今でも9階は空っぽって噂があるんよ。


普通に入りたくないだけやろ。どうせなんもないって。


お、スグルは怖くない感じ?良いじゃん良いじゃん!そういうわけで、親父から拝借してきたカードで入っていきまーす!


完全に泥棒やん。えー、まだ働いてる人と鉢合わせなきゃいいけど……


(エレベーターの到着音)


ほら、フロア表見ろって!9階、何も入ってないぜ!


いや、他の階もいくつか空いてるし。でもこのHって会社、8, 10, 11階って変な入り方してるよな。9階に入れば3つ続けて使えたのに。


だからやっぱヤバいんだって!


はいはい、……お、着いた。あれ?電気ついてるんだ。


はい、そういうわけで、ここが今回の舞台!○○ビルの9階になります!タクヤ、どう?なんか変なの映ってない?


いや、早いだろ。今んとこ、ケンジとスグルしか居ないけど。


よーし、じゃあオフィスの中に入ってみようぜ!俺のピッキング力が光る時……!


普通に空いてるけど。


えっ、スグル早くない!?冷静すぎない!?てか全然怖がってなくない!?


どうせ何も居ないんだから怖がる必要ないだろ。


もっとテンション上げてこーぜ!つーわけで、はい!本邦初公開!○○ビル9階の中に突入していきます!


やっぱ電気ついてるんだな、オフィスってこんなもんなの?


えー、学校じゃあんなに節電!って言われんのに?大人はずりーな。


ウォーターサーバーあるぜ。水出んのかな。


え、紙コップも置いてあるじゃん。ここほんとに誰も使ってないの?階数間違えてない?


え、うわ、ちょ


なになに、どうしたタクヤ


いや、なんか花飾ってある。不気味じゃね?


ほんとだ、しかも綺麗だし。え、何、弔い的な?


うわー、俺たちも花買ってこなきゃいけなかったかな。確かに事故現場って花供えたりするよな。


スグル、さっきから黙ってどうした?


いや、めっちゃ綺麗に残ってるなと思って。自殺って何年前なの?


えー、5年前くらい?俺らまだ小学生だったし。


なんかこう、廃墟って感じじゃないにしても、もっと寂しいのかなって思ってたんだけど……机とか椅子とか全部残ってるんだな。


あはは、まだ死んだのに気付いてなくてずっと仕事してるとか?社畜かよ!


お、机に引き出しついてんじゃん。こういうのも中に何か残ってたりすんのかな。


めっちゃ乾燥した輪ゴム出てきた。うわ、グミとかあんじゃん。ヤバい色してね?


そのグミ、Bさんが好きだったんだよね。


あれ、こっちにも花が置いてある。この机の人が自殺したとか?


引き出しオープン!……え、何、手紙?


『今日も机にお花が咲きました。ありがとうございます』


何これ、どういうこと?


うわっ


毎日、お花が置かれていたから。みんなの机にも置かなきゃと思って。


え、何、タクヤ!?


待て、急に走り出すなって!


なになになに


え、もう降りんの?確かにさっきのは気味悪かったけど……


は?椅子になんかいた?


なんか……なんか、首、首が、


だから、君たちにもあげるね。


うわっ、なんか聞こえなかった!?


エレベーターの開閉音だろ、


おい!お前たち何をやってる!?!?


やべ、警備員さんじゃん!逃げろ!!!


-----------

以下不明瞭な音が続く。

-----------


あの子達、あんまりお仕事してないみたいだから。お花、渡したほうがいいかなって。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る