第5話 姉妹で俺の世話をする!?

 今回の女慣れは、玲奈れいなさんの家でやる事になった。リビングで彼女のお母さんである玲美れみさんに挨拶し、玲奈さんの部屋に行こうとした時だ。


俺のクラスメートの白鷺しらさぎ 玲那れなさんがリビングに入って来た。これをきっかけに、玲奈さんの苗字は“白鷺”であることがわかる。


白鷺さんは、俺が来た理由を訊いてきた。真面目な彼女に説明できるだろうか?



 「姉さんが誰かを連れてくるのは珍しくないけど、部屋に行く前にリビングに寄ったのが気になったのよ。それで様子を見に来たら須藤すどう君がいるんだもん。2人でどうやって知り合ったの?」


玲奈さんの前に座った白鷺さんが問う。現在4人掛けのダイニングテーブルに腰かけており、玲奈さんの隣に俺がいる状況だ。


高2の俺と大学1年の玲奈さんの接点は、そう多くないよな。


「綾…貴弘君のお姉さんを通してよ。私と綾は同学年なの」


「ふ~ん。…それじゃあこれから、須藤君は姉さんとHする訳ね?」

とんでもない事を言い出す白鷺さん。


「どうしてそんな話になるんだ?」

玲奈さんは〇ッチだけどさ…。


「だって、アタシと姉さんの部屋は隣同士なんだけど、時々聞こえるのよ。姉さんの喘ぎ声が」


どんだけデカい声出してるんだ玲奈さんは!? …もしかして、そういうプレイ?


「玲那。確かに私が男を連れてくるのはHのためだけど、貴弘君は違うのよ」


「違う?」


「そう。“彼に女慣れさせてほしい”って綾に頼まれたの。今日はその一環よ」


「何で須藤君にそんな事させる訳?」


「綾は『社会に出た時に困らないようにするため』って言ってたわ。今は昔と違って、働く女が多いでしょ? だからよ」


「一応筋は通ってると思うけど…」

考え込む白鷺さん。


頼む、ここで引き下がってくれ。内容を訊かれたらマズイからな。手を握るぐらいはアリだろうが、玲奈さんの胸に触れたのはどう考えてもアウトだ。


「男好きの姉さんが何をするか気になるけど、アタシがどうこう言う事じゃないか…」


よし、納得してくれたか。これで一安心だ。


「静かにやってくれれば、アタシは何も言わないから」



 話が終わり、白鷺さんが席を立とうした時…。


「待って玲那。良ければだけど、玲那も須藤君の“女慣れ”を手伝ってよ」


玲奈さん、どういうつもりだ? せっかく丸く収まろうとしたのに…。


「何で? アタシ関係ないわよね?」


「私だけだと、年上の練習しかできないじゃない? だから貴弘君のクラスメートである玲那の力も借りたいのよ」


「……」


「そもそも、玲那だって男に慣れてる訳じゃないでしょ? お互いがお互いをフォローできれば良いと思うんだけど…」


「一理あるわね…。須藤君、姉さんにどんな事してもらったの?」


「最初は緊張しないように、自然な挨拶の練習をした。それからは…、手を握ってもらったな」


練習なんて大層なことはしてないが、ちゃんとやってるアピールのために嘘を付いた。


「何で手を握ることになるの?」

白鷺さんは玲奈さんを見る。


「悪い女に騙されないためよ。初めて手を握られた貴弘君は凄く緊張してたけど、悪い女はそこに付け込むの。『これやっといて~♡』とか『お金貸して♡』とか」


「…その悪い女って、姉さんのことじゃないわよね?」


「私はそんな事しないって。もししたら、男が逃げちゃうでしょ?」


「はいはい」


白鷺さんの表情はやわらかく見える。これはもしかして…?



 「気が向いたら、アタシも手伝っても良いわ。別に男に興味ないから、本当に気が向いたらだけど」


「玲那、助かるわ」


まさか白鷺さんがOKするとは…。玲奈さんはどうして白鷺さんにあんなことを言ったんだろう? 後で確認しないとな。


「これから私の部屋でやるんだけど、玲那はどう?」


「パス。今は気分じゃない」


「そう…。貴弘君、待たせてゴメンね。私の部屋に行こっか♪」


「はい…」


俺は先に立ち上がってリビングを出た玲奈さんに付いて行く。

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