theater4: 逢魔が時


■<分かれ道>■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 学校からの帰り道、最後の丁字路を右に折れようとすると、少し先に黒い影のようなものがうずくまっていた。


 (あれは良くないものだ)


 怖くなって左に折れる。あれが見えなくなるところまで歩く。

 しばらく行くと四ツ辻に出た。右の道を選んで歩く。

 これで戻れるはずなのに、まるで知らない町に来たよう。

 見覚えのない家々が舞台の書割のように黙りこくって並んでる。

 今度は六差路に出た。五本に先が分かれた道の一番右端を選んで歩く、歩く。

 家の代わりにススキが増えて、アスファルトから土の道へ。

 元に戻れ、元に戻れ。念じながら尚も歩くと、Y字路に出た。右手に黒い影のようなものがうずくまっていたので左に折れる。


 どこまでも歩く。足指の爪が剥がれ、血が噴き出すのを感じながら、いつまでも歩く。どこまでも。


 (やはり良くないものだった)


 早くお家に帰りたい。


   (On the way home ・ Fin)

 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る