theater5: 怪談あるある・実話系 

■<様式美かテンプレか>■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「俺さ、前から思ってたんだけど」

「うん」

「昔やってたテレビの2時間ものの推理ドラマってさ、なんで最後は断崖絶壁で犯人と対決すんのかなって。突き落としてくださいって言ってるようなもんじゃん」

「それなー。オレもそう思って観てたけど、まあ、アレだ。様式美ってヤツだろ」

「様式美?」

「テンプレっつってもいいんだけどさ、お約束上等!というか」

「ああ、『どうせ刑事が来て後ろから犯人を羽交い絞めするんでしょ』っていうアレ」

「安心して観てられるw」

「うん」

「ビルの屋上パターンもあるけど、やっぱ海だよな!」

「灰色の空、舞うカモメ、激しく打ちつける高波ww」

「主演はあの男優と女優で決まり!ってか、それしか思い浮かばねぇ」

「www」


「ところでさ」

「うん」

「オレたちも今、『休暇で帰省した地元での飲み会で盛り上がった挙句、酔った勢いで心霊スポットに行ってみようぜという話になって実行しちゃうおバカな学生とその友人』っていう様式美にのっとって、町外れの廃屋に乗り込んでるわけなんだけど」

「うん」

「だからさ」

「何だよ」

「そのおバカな学生と友人はオレとお前の2人だけじゃん?さっきからオレらの後ろで『うん』って言ってるヤツ……誰?」

「……言うなよ……せっかく気づかないフリしてたのに」

「…………様式美的に、ぜってー振り向いちゃいけないパターンだよな、これ」

「………………でも、様式美的に絶対振り向いちゃうよね?」

「………」

「………」




    「うん」


      

            ( There is another one ・ Fin )


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