109.現れた
109-1
翌日、龍の鱗を思う存分眺めて満足したコーラルさんと帰路につく
一応ルーシーさんと知り合って、その素性を聞いたことは昨日の晩に報告してある
結果、何の問題もないとの返答と共に、『ルーシーさんがそこまで言うならケインへの期待が高まる』などと口にした
そのうちケインの後ろ盾迄始める気じゃないだろうな?
いや、してくれるのならその方が都合がいいのか?
ルーシーさんの素性を考えれば普通の薬師としての道なんて歩めるとは思えないもんな…
当のケインはまだ興奮状態で薬草の話をひたすらしていた
既に俺以上の知識を持ってるだけに侮れない
俺なんて鑑定だよりなのにとちょっと情けなくなったのは内緒だ
「賊だ!」
ルークが叫んだのをきっかけに臨戦態勢に入る
ルークとシャノンは馬車から飛び降りコーラルさんの乗る馬車の前に立つ
「ケイン、リトスとここで待ってろ。リトス、ケインを守ってくれ」
『わかったー』
ケインが泣きそうになりながらも頷き、リトスがすかさず結界を張った
「大丈夫だ。リトスの結界は母さんの結界並みに強力だから」
ケインの頭をなでながらそう言って笑って見せる
これで少しでも落ち着いてくれれば御の字だ
俺達も馬車から出てシャノンの側に立つ
相手は30人近い集団だ
その中にはそれなりに強そうなのが数名見て取れる
「気を付けて!元Bランクの賞金首が2人。ハゲ2人がそうよ」
シャノンは俺達に補助魔法をかけてすぐに2か所に分かれた騎士の元に向かう
同じように情報を継げているようだ
ていうかいくら分かりやすくても『ハゲ』で表すのはどうなんだ?
こんな状況なのに思わず吹き出しそうになったじゃないか
「一旦範囲攻撃で雑魚を蹴散らすからその後左右の残りを頼む。俺達はハゲもといリーダー格2人を中心に引き受ける」
「承知した!」
騎士達からの反応を確認してから俺は集団に向かって風魔法を複数放つ
半分くらいいかにも弱そうなのが倒れた
残り半分、俺達は4グループに分かれてるから単純計算で1グループあたり3~4人が相手になる
「行くぞ!ルークたちは左側のを頼む」
「はーい」
「任せて」
2人は頷き飛び出した
俺もレティと示し合わせて飛び掛かる
「シアはこっちに集中して。周りは引き受けるわ」
「助かる」
側に3人、多分Cランク相当の男たちがいる
魔物と違って厄介なのは言葉もわかるし連携もする点だ
こういう時は強者を誰かが引き付けて少しでも周りの数を減らした方が楽になることが多い
シャノン達も同じようにルークがリーダー格の男と対峙すると決めたらしい
「あ…」
ふと思いつく
これまで自分にしか使ったことがないけど広範囲の味方に使うとどうなるのかと
「シア?」
1人を物理で倒したレティが心配そうに声をかけて来る
「あぁ、ちょっと試してみたいことがあってな『マーキング・広範囲反射』
マーキングで俺の魔力を味方につなげ、その対象に反射を掛けた
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