1-2
「言っとくけど成人するまでにそこまで揃えてもらえる冒険者は少ないからな?」
カルムさんがそう言うとマリクとリアムが確かにと頷いていた
「実際、俺らのパーティーメンバーには羨ましがられてるな」
「マリクたちのパーティーって孤児院の出身者だっけ?」
「ああ。昔からよく遊びに行ってたせいか、ギルドで会って自然と一緒に組むようになった」
カルムさんとナターシャさんが孤児を養子にしている関係で、マリクたちはよく孤児院に顔を出していた
そういう、どこかでつながりのある人とパーティーを組めるのは羨ましいと思う
俺たち兄弟は年とレベルが一致してないせいで、中々いいパーティーに巡り合えない
とりあえず3人でパーティー登録をしたけど解消することがあるのかは疑問だな
そもそも俺たちは普通ではありえないステータスを持ってるらしいから、それを説明するのもめんどくさい
わざわざ隠すのも結構神経使うし、かといってすべてを明かせるほど信用できるやつがいるかって言われたらNoだ
「とにかく、揃えてあげたものを生かすも殺すもあなた達次第だからね」
「うん」
「分かってる」
2人は大きく頷いていた
『サラサー、サンドイッチもうない?』
突然空気を壊す発言をしたのは神獣、ナインガットのカーロだ
母さんの契約獣のなかで最上位
なぜだか母さんの作ったサンドイッチが大好物
「ごめんカーロ、もうなくなっちゃったみたいよ?」
『え~』
カーロの9本の尻尾が一気に下に向いた
その姿はある意味可愛いし見ていて飽きないけど…
「カーロおいで」
俺はインベントリから以前母さんからもらったサンドイッチを取り出した
『シア~!!』
「うわっ…」
それを目にしたカーロが飛びついてきて押し倒された
この光景も珍しいものじゃない
物心つく前から俺はカーロと一緒にいた
多分面倒見てくれてたマリクたちよりもカーロとのつながりの方が強いと思う
「カーロってお母さんの次にシアが好きよね?」
「父さんのことも好きだろ?」
「そりゃそうよ。カーロを見つけたのはレイだからね」
「でもカーロが食いついたのはサラサのサンドイッチだったろ?」
ナターシャさんがいうとアランさんが思い出すように言う
「そうそう。確かネコ科の大型を契約獣にしたいって、サラサの希望をかなえるために連れて帰ったんだよな」
「誕生日プレゼントにするためにレイはカーロとかなり交渉してたはずだ」
「そうだったの?」
『サンドイッチ食べれるように手配する約束したぞ』
カーロが言った
母さんの飯は確かに上手いけど交渉材料にするほどなのか?
俺は一気に混乱した
「サンドイッチ云々よりカーロはサラサの魔力が好きなんだよ。だからシアの事も好きなんだろ?兄弟5人の中で一番強くサラサの魔力を感じるからな」
『そうだよ。シアはサラサの魔力が9割くらい、ルークとシャノンは7割、スカイとケインは5割くらいかな?』
それには母さんと父さんはじめ皆も驚いていた
「何か3人が規格外な理由に納得が行ったわ」
メリッサさんがしみじみ言う
え?改めて言うほどの事なのか?
「レイも大概だから仕方ないとは思ってたけどな」
「まぁわからなくもないわよね?ルークとシャノンがお腹の中にいる時妖精の動きが普通じゃなかったし」
「妖精さん達私たちが生まれる前から側にいてくれたの?」
シャノンが驚いたように尋ねた
「そうよ。あなた達が双子だって教えてくれたのも妖精たちだったわ」
「僕がシナイと契約を結んだのもその時だったな」
バルドさんがそう言いうと、肩にいたシナイがバルドさんに頬ずりしていた
妖精は気まぐれだから契約するのは珍しいんだって
でもシナイは自分からバルドさんと契約を望んだらしくて、その後はずっとそばにいる
子供のころからその仲の良さに憧れた
俺も妖精を見ることも話すことも出来るけどそこまでの絆を結ぶことは出来てない
「そういえばあの時に沢山祝福を貰ったわね」
「2人が生まれた時も貰っただろ?」
「そう。みんなが祝福してくれたのよね」
「妖精が祝福…」
「彼らはあなた達の力になってくれるわ。だからこれからもいい関係を築いていかないとね」
俺もルークもシャノンも思わず頷いていた
2人の誕生日は俺も知らなかった色んなことを知る日になった
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