第3話 ソフィの息子は (ラザフォード視点)
※ラザフォードが話している言葉は、大人には赤ちゃんが意味のない言葉をしゃべっているようにしか聞こえません。猫もニャンと言っているだけです。
୨୧⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒୨୧
僕はラザフォード・ビニ。ビニ公爵家の長男なんだ。生まれて半年経つ僕には秘密がある。それはね、妖精が見えることなんだ。それから動物の言葉がわかる。ビニ侯爵家で飼われているロロの言葉も当然わかるけど、あいつはちょっと生意気なんだ。
「にゃあーー。やぁ、弟君。俺様はビニ公爵家の長男だぞ。なぜなら、ライオネル様がソフィ様にそうおっしゃったんだからね。にぁーーんっ!」
最初にロロは僕にそう声をかけてきたんだ。
「違うよ。僕はこれからとても大きくなるし、なんでもできるような格好良い男になるんだから、ロロが僕の子分だよ。僕はね、お父様みたいに芸術に秀でた麗しい男になるし、カーマイン伯父様みたいに剣や弓の達人にもなるよ。それから、えぇっと、エルバートお祖父様みたいな頭脳明晰で思慮深い大人になるんだ!」
「にやぁーー。それは凄いな。ラザフォードは天才なのか? だったら、子分になってやっても良いけど。ところで、俺様のあごの下をコチョコチョしてくれない?」
「いいよ。コチョコチョ。どう、気持ち良い? そう言えば、幸せの鳥がビニ公爵邸の裏庭に巣を作ったことは知っている? 僕と同じ日に雛が生まれたんだって。親鳥が教えてくれたよ」
「幸せの鳥? ・・・・・・それって美味しいの?」
「美味しいか美味しくないかは知らない。でも幸せの鳥は食べちゃダメだ。わかった?」
「わかったにゃん」
ロロは僕の子分第一号になって、今の僕は新しい子分を絶賛募集中なんだ。
「ロロは子分だよ」
「はいはい。そうよ、これはロロっていう名前の猫よ。ラザフォードのお兄ちゃんね」
お母様に「子分ができた」と自慢したつもりなのに、ロロをお兄ちゃんと紹介されて心外だった。僕の頭の中では難しい言葉も容易に話しているつもりなのに、この赤ちゃんの身体ってば、まるでちゃんとした言葉が話せない。
「早く大きくなりたいな」
「なぁに? オムツが汚れたのかしら。今取り替えてあげるわね」
お母様が僕のお尻を持ち上げてオムツをはずし、新しいオムツに替えてくれた。ビニ公爵家にはナニーもいるけれど、なるべくお母様は自分で僕のお世話をしてくれる。お父様も仕事が終わると、僕を抱っこしながら楽器を弾いてくれた。お父様のフルートの音色は最高に綺麗だ。
ボナデアお祖母様はお母様をすっごく愛していて、いつもお母様のことを気にかけているみたい。そして、僕のこともとても可愛がってくれる。僕を抱くたびに「嬉しくて泣きそうよ」と言うんだ。
なんで嬉しくて泣くんだろう? 悲しい時に泣くんじゃないのかな? でも、ボナデアお祖母様が嬉しいなら僕も嬉しいから、ニコリと笑ってあげた。
「優しくて綺麗なお母様。大好きだよ。僕はお母様の子供に生まれて幸せなんだ」
僕はお母様に、いつも感謝の気持ちを伝えるよ。
「これほど可愛い素敵な赤ちゃんは、この世にあなたしかいないわよ。私とライオネル様のもとに生まれてきてくれてありがとう!」
お母様は僕の頭を優しく撫でた。僕の言葉がわからないはずのお母様なのに、たまにこうやって会話が成立するのは面白いよね。
僕の二歳のお誕生日が盛大にお祝いされた日、お母様はとても嬉しい報告を皆に発表した。
「実はね、また妊娠したの。きっと、今度は女の子よ」
どうやら僕には妹ができるらしい。どんな女の子かな? 僕のように妖精が見えるのかな?
色々考えていると、お母様のお腹から声が聞こえた。
「おにいさまぁーー。わたし、たぶん妖精が見えると思うし、お話もできるわよ」
え? もしかして僕の妹って念話ができるの? まだ生まれてもいないのに?
僕は妹を子分第2号にしようと思ったけれど、手強そうなので諦めることにした。
「ぷぷっ。おにいさまってこどもねぇ。子分だなんてわらっちゃう」
くすくすと笑う声がお母様のお腹から聞こえた。
まずいぞ。急いで大人にならなきゃね。僕は妹とお母様を守らなきゃいけないもん。
妹よ、安心して生まれておいで。僕がいつも守ってあげられるように、強くなるからね!
「おにいさまぁ、大好きよ」
妹が嬉しそうに笑った。
୨୧⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒୨୧
えぇっと、なんか童話的なお話になりました(..;)
可愛い優しい世界でメルヘンな感じになりました。
なんだろう・・・・・・いろいろおかしい・・・・・・💦
これからソフィの子供が無双しそうです(;´Д`)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます