第46-3話 夏至祭りの奇跡 グレイトニッキー視点

 俺はグレイトニッキー。錬金術師としては超一流だと思っている。他の錬金術師たちからは、伝説級の実力者だとも認識されていた。だから、大抵のエリクサーを作れるし、また解毒も容易にできるはずだった。


 しかし、ライオネル殿下の記憶は未熟な錬金術師によって、脳内の特定の神経回路にブロックがかかっていた。未熟な錬金術師がエリクサーを調合する場合、適切なバランスとプロセスが欠けており、効果を打ち消すために必要な正確な魔法や材料の組み合わせに不備が生じる可能性がある。


 また、未熟な錬金術師の手によって調合されたエリクサーは、解毒する際に望ましくない副作用を持つ可能性が高い。これは記憶を取り戻す代わりに、さらに混乱を引き起こすか、身体に害を及ぼすかもしれないことを示唆するのだ。このため、アルケムスのエリクサーの効果を打ち消すには、その副作用を管理する方法も考えなければならなかった。


「ふぅーー。やっかいなものを盛られたもんだ」


 ライオネル殿下はメドフォード国の宝だ。しかも、俺が仕えるビニ公爵家の令嬢といっても良い立場の方の恋人だった。なんとしても、記憶を元に戻さなければならない。それには時期を待つ必要があった。


 夏至祭りの日は、自然界と魔法界のエネルギーが特に高まる日であり、俺はそのエネルギーを最大限に利用してエリクサーを調合するつもりだった。太陽が最高点に達した瞬間、神秘的な儀式において、エリクサーは特別な魔法陣の中で輝きを放ち、夏至の日の特別な魔法がエリクサーに宿るのだ。


 夏至祭りの夜は奇跡が起こる神聖な晩となるだろう。

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