ノックアンロック~盗賊とお姫様が生きるの貪欲な世界

風野レノア

ペルペトラ王国編

第1話 目が覚めても冥界にいる

「何も、見つからない…」


足を運び、歩み、生き延びても自分が見つけたい答えが


「無い…」


毎日だだの空回り…森の中、廃墟の住処すみか、盗賊どもの居場所、迷子どもがいる教会に全部答えなどがない…


俺がいるような場所は真っ暗同然な森林だ。ここにある自然はきれいなもんに満ちあふれてはいない。汚いものしか残っていないさ。他に行けるような街もない。ただの森林とポツりとと残ってある廃墟だ。そんな奴に人権あると思うのか?


そんなものはない。錆た鉄以下のものしか残ってはいない。それは、森林に見える場所は生きている感じがしない。木が強く立っているだけだ。人が意地を張って強がっているようなもんだ。そんな森林に居心地が良いって思う人の方が少数派だ。


ここに住めるような奴はお宝欲しさに残っているだけだ。

盗賊には群がっている奴らも多い、その中で森林に眠るお宝は存在する。

なら良いって思うかもしれないが、そんな単純なものだったら、盗賊になんかなったりはしない。


だったら、あの人種差別するような王国にでも住むか?それも無理だ。


王国になんて俺の居場所が無い…


それはそうだ、しかも今じゃ盗賊だしな。ここら辺では盗賊は人間の身分はまんざらないさ。なぜなら、貴族や平民以下の身分のような奴がなるようなもんだぜ盗賊っていうのは。そんな奴に王国を引き受けるどころか、罰することになるだろう。拒絶されたから盗賊なんだ。


それは仕方ないだろう。俺を人間として見られないようなやつに仕事をくれるわけねぇ。


盗んでも、盗んでも俺の答えがない。

俺はこんなのしたくてやっているわけではない…

しょうがないじゃなか。だって俺がこれをしないと俺の欲しいもの手に入れることはできない。それは誰だって嫌だだろう。


自分が生きられるには奪うしかないって思ったら誰だってそうする。国で住めないということはそういうことになる。政治の後始末って話だ。


希望が欲しい?

希望なんて追うやつだっていない。こんな場所にどんな希望がある。虚無になるほどの景色を見て、希望とほざかないで欲しいわ。それが欲しいんじゃないか?


自由が欲しい?

何が自由だ。そんな言葉を口になんかするんじゃねぇ…

何事も縛られたままで自由なんて存在はしない。それはただの幻想であり、戯言だ。


俺はなんでここにいるのだろうか。

わからない。それがわかっていたら、俺はやりたいことを今やっているだが、それをじゃましているものがあるんだ。俺はそれを言葉にできないほどに感じている。


人は誰だってそういうところはあるって思うぞ。

それにだ、人が必ずしも幸せに暮らしているって思わないほうが良い…



俺は何を肌で感じている?

感じたくもない、そんなのを感じたら狂ってしまうだろう。


俺は何を見ている?

見たくもない、見るほどのもんもないから。


俺は何を匂う?

匂いたくもない。息苦しい方が生きやすい。


俺は何を味わう?

味わいたくない、なにを食べても感じはしないだろう。


俺は何の感情を今、思っているのか?

………


じゃあ、言葉にしてみようか。


---



 …

 ……

 ………

 …………

 ……………

 寒い…

 速い…

 脆い…


 汚い…

 情けない…

 醜い…


 五月蠅い…

 響かない…

 騒々しい…


 嗅げない…

 苦しい…

 臭い…


 上手くない…

 応えない…

 満たされない…


 だるい…

 うざい…

 嫌い…

 収まらない…!


 動かない…


 感じない…

 ………

 辛い…

 …………………

 …………………

 …………………

 …………………

 …………………

 …………………

 …………………

 暗い……………

 …

 …

 …



---


 雷鳴が轟く。


 嵐が呼んでいる…いや、これは叫んでいるのか?

 俺にはそう思う。そして俺は、顔にかかった水しぶきを眼を拭いて、様子を眺めた。


 それにしても今日は雨がいつにも増して激しい、この地域ではいつもこのような天気が最近になって続いているが、本当はこんな長く続かない。でも明らかなのは、寒い時期を乗り越える頃なんだ。でもまだ肌寒いと感じるのはなぜだろうか。


「なんか嫌な予感しかしねぇぜ…」


 っと口ずさんでしまう。でも矛盾する気持ちもぬぐえねぇ。今日は不思議な日になる、きっと俺にも予想できねぇことが起きるかもしれん、だからこそ用心しなくてはな。


 そしていつも思うが本当にこの辺にある木は揺れても本当に元気なもんだ、俺もちょっとはその元気を貰っているかもしれない。


「だからこんな程度じゃ済ませねぇ、今度こそ手柄をとってやる!」


 そう嵐の中で不思議と思えてきた。

 その前にどう考えても風邪ひくだろうと思うかもしれないが、こんな程度じゃ引かんわ。こう見えて結構体はなぜかしっかりしているらしい。俺でもびっくりするほどにな。


 昔から結構妙にも思っていた、本当に俺の体は馬鹿みてぇに頑丈だ。頭から足まで打たれ強い。よくある鉄板の頭突きももちろんできるが、歯も硬いものを無理なく噛めるのだった。


 それはさておき、今の怪談染みた呪いのような言葉の並び、どうた!

 結構心に効いたろ。まあ、無理もないさ。こんな派手なメッセージを聞かせたからと言って俺を恨むなよ。なんか俺がそのような言葉を書いたのは意味があるって思っているかもしれないが、安心して欲しい、決してそのようなことはない。


 で、そんなびっくりするようなお話が大好きな俺は、こんな日に高い屋上で偵察をしている。やっぱり天気に限らず気になるのだ。


 まあ、高い屋上といっても想像している半分の高さって考えていい。ここら辺の建物は言うほど高く作られていない。その必要性がなかったからというのが俺の見立てだな。だがその話はちょっと置いとこうか。


 いつも高い場所で思い出すのは、若い頃に木登りや、眺めの良い場所を登った記憶だな。一番上に着いた瞬間、俺は自由な気持ちになれた。そこから見た景色の数々は、儚いぐらいに綺麗だった。どこか魔法にでもかかったのか、と思うぐらい忘れられない思い出なのだ。その場所を教えてくれたのはある親しみやすい爺さんだった。その爺さんは普通の人でも教わることのないものを教えてくれた。だがその爺さんは変な奴の扱いを受けていた。でもなぜみんながそう思っていたのかが分からない。だが、その爺さんはある当たり前だが、意外と人が見逃してしまう教えを俺にしてくれた。


「ドーレンの坊主よ、人が必要とされていることを求めてはいけない、必ず自分が心から欲しいものを求め、そしてやがて自分にとって必要なものが見えてくるのだぞ」


 正直、それを飲み込むのに何週間経ってからやっとあの爺さんの言っていることの半分は分かった気がする。今は6割ぐらいかもな。だが、自分らしく生きるには、まずは自分から探し求めるのが必要だとその頃から染み付いている。



これは本当にどうでもいい話だが、俺は偵察をして初めての発見をしているのだ。

まさか手を腰に当てて、仁王立ちしている太っちょなおっさんの像を森の中を眺めているうちに見つけたんだ。


なんか色んな意味ですごいだろこれ…しかもそいつの姿はなんと裸だ!下の方も長く出ていらしゃる。いや誰得だよ…流石にみたくねぇ。目に焼き付いてしまうではないか。


 それはともかく、察したやつもいるかもしれないが、そう…俺様はすんげぇー直感の持ち主だ。そう直感と勘両方の意味で言っている。俺がこんな風に言うと馬鹿だろと思うかもしれない。もしくは俺の野生の勘が自慢のように思えるが、本当に嫌ってほどその勘とやらに振り回されている時があるのだ。


---


 この間もそうだ、


 森の中をとっつき歩いたら、本当に嫌な予感が当たった時がある。教会の外で彷徨っているやつを尾行していたら、三流の盗賊がかなり離れたところから大声


「命が欲しけりゃ金をだしやがれ!!」


 っと叫んで、あわよくば、俺が尾行したことがバレて、厄介な奴に付け回される羽目になったんだ。そしてその日、結局晩飯は抜きだ!その馬鹿な盗賊のせいで。


 時間が無駄になるわ、金もとれないわの状況で大叫びして教会の輩から盗むやつどこにいるよ!本当にこの辺でしか起きえないことだぜ。


 幸いなことに、少なくとも俺にとっては幸いだが、そいつは粘りににばったが、少し時間が立った時にはその厄介な人たちに捕まったのを聞いた気がするけどな。未だに思い出しても痛くも痒くもない。むしろ、捕まっていないなら他のことをやりやがれ!


 ふと思い出したが、その盗賊も「いい波がくるぜぃ!ぜってぇにな!」ってほざいていた人種だっけ。それが、普通のを勘違いする馬鹿としか言わざるを得ない例だ。やっぱこの二つの例えを書くのが面倒だから予感、直感と勘は一緒の意味とするわ。


 俺にとっての勘とは行動とその瞬間に起きている出来事に対して、どんな風に立ち回るかというのが、俺の基本的なセオリーだ。その中から取捨選択をして、一番可能性のよさそうなものを選ぶ。それに尽きる。


 まぁややこしくなったが、俺様の勘は面倒なぐらいすごいのだと覚えればいい。


 恐らく誰にもそういう呪いであると同時に、強いものが秘めているのだろうっと勝手に思っている。俺は勘や直感を自慢している馬鹿と違い、かなりの確率で当たるんだ。それでも信じないなら別に構わない。


---



 あっ、大事なこと忘れていたな。こんなハンサムな俺様はだれかって?

 では紹介しよう、俺の名はドーレン・アイセルドだ!この地域をこよなく制圧し、盗賊の生き様をマスターした、ドーレン様だぁ!


 そして俺は最高で最凶の盗賊、そして近いうちに伝説を創ると約束した男だ!


 俺はこの地域で最も、恐れている、一番の、盗賊様だ!


 俺はまず初めに他の有象無象の盗賊どもより早く、王国の秘宝を手にする。

 覚えとけ!

 ...


 どうだ! かなり圧倒するだろう。


まあそれはいい、

いろいろと思い出すうちに雨も少しだけ軽くなった。

 

俺は偵察をしている内にランタンの光が少しずづこっち側に迫っている感じがした。いや、結構こっちに近づいているな。う~ん、やはり嫌な予感がする。でも今はまだ様子見でいい、とは思う。ていうか、こんな荒れた町にくるような馬鹿はどいつだぁ?よほど死にたいとしか思えねぇ。


「どれどれ、俺様が見てやるよ。」


 ほう、これはこれはお二人さんいらしゃる用で、一人は臆病そうに隠れている。まあ、それが当然の反応だ。


 で、この二人目はどんなやつだぁ?


 おいおい、こいつは結構若いんじゃねぇか?というのも王国から来たにしてはという意味だが。おまけに美男子プリティーボーイの顔だぜ。どうせ結構良い人生送ってるんだろう?

 服装からしてかなり地位の高そうな服をしている。なおかつ聖騎士っぽい感じで、紋章などを付けている。もしくは冒険者なのだろうか、確かに納得は出来そうだ。だがそれにしてはあいつの剣が聖騎士っぽくねぇつうか、まあだがそこまでおかしくはない形なのか?剣の幅は絶妙にその金髪にフィットしている、何故だか言語化はできないが。しかし、そのカッコ良さは否めないな。俺でもそんな剣手に入れることが出来たら面白そうだ、後はスタイルに合うかどうか次第で使いこなせるようになれば…いや、それはさておき、髪は金髪か、で顔をよくよくみると、かなり冷酷な顔をしてやがる!あれはかなり修練積んだ顔のように思える。そして怒りが滲み出ている、なぜかは知らんが。

 あんな裕福な所に住んで、どうなったらあんな顔になるんだぁ?


 やっぱ恨んでいるやつでもできたのか、ここら辺に?

 まさか俺じゃねーだろうな?俺はこいつらに何の覚えもない。それに追ってたとしよう、なんでこんな所まで足を運ぶんだ?もしかして誰かに頼まれているのか?だとしたらここまで来たのは運の尽きだな。ここにそんな派手なお宝なんざ持っちゃいない。だか俺はそんな人生上がりみたいなお宝を一気にもらえることをどれだけ願うことやら。


「やっぱこの状況は気に食わないぜ…」


 とりあえず廃墟に入ったらこっそり見守るとするか。運が良ければ、他の盗賊が入っておこぼれが貰えるかもしれない。


 と思ったその時、冷酷をしたやつは堂々とに歩み寄ってきやがる。心のどっかで、どうでもいいって思って来てるんだろう。どこか哀愁のあるような表情もしているのは気のせいか?


 どうでもいいと感じてしまうことに関しては俺もなんか似た何かを感じる。もちろん今はそうは思ってはいない、だが悪いが時々頭をよぎる、 嫌って程にな。


ま、俺の場合は教会から布切れを追い剝ぎする時ぐらいにしかよぎらないがな。そんで、追い剝ぎと言っても、人が裸になるまで脱がせたりはしない、俺が欲しいのはたったの紙切れ一つ分ぐらいだ。


 盗まれている奴も「え?これだけ?」とかいって、で俺が「そうだ!お前の裸なんぞ見たかないわ!」と言う程だ。なぜそうするかって?そうした方が結果的に多く盗めるからだ。


それに、俺は服装の中からある素材が欲しいだけだ。俺は奴らの金を半分ぐらいにとって、そして盗まれた奴が他の奴を紹介してもらうのさ。そっちの方が確実にに金を盗める。


ことに関しては、悪徳騎士を奇襲して大金を盗めることもある。それが出来た流れは清々しい気持ちになる。


もちろん命は見逃してやったぜ。残念ながら最近の金の流入はさほどない。だが、それはお金がここに来るまでの時間が長いことを含める。


 とその瞬間、金髪の冷酷野郎がこの廃墟に着いた頃には周りの盗賊どもに囲まれた。


「おい兄ちゃんよぅ、命欲しけりゃ金をさしだせ!」

 と雑魚っぽいセリフ吐く盗賊だったが、金髪の奴は無視した。その金髪の奴は廃墟の中をまだ堂々と歩いていた。どうやらそいつらには興味がないらしい。


 無視された盗賊たちは舐められないように、その金髪野郎を足止めした。


「おい!無視ってことはねぇだろよ、なぁ!なんか言いやがれ!」


 その金髪野郎はため息をつく、そして盗賊を煽った。


「俺は雑魚相手にしている暇はねぇ、誰か探してんだよ、失せろ。」


「ちぃっ!もういい、後悔しても知らねぇからな、お前らコイツにかかれ!」


 そして盗賊たちはあらゆるところから現れ、奇襲しようとした。だが、俺にはもう伝わった、これは負け戦だと。


 金髪の野郎は手を広げながら、手に吸い付くように集めた力の集合体を手のひらに溜め込んで、揺らぎと曇りみたいな見た目をしていると同時に、煌めく光と雷の組み合わせ《コンビネーション》が引き寄せられる何かを感じた。


それでも上手く説明しきれていない気がする。本当に魅力的だ。ていうか、まさかこれがか!?俺はそんな物目の当たりにした覚えがない。少なくともこのスケールのでは見た覚えがない。圧巻しか感じない…


と思った瞬間、金髪は盗賊に拳を1発を放った。その盗賊もその魔法のアートの一部になった。


やつが吹っ飛ばされた瞬間に、雷の縄みたいなものが他の盗賊に伝染して、複数の盗賊を気絶させた。ていうか、こいつらなんで死んでないんだ?


「ちっ、めんどくせぇ…」


 不服に思っていたが、かなりの数を仕留めたように見えた。おそらくこの盗賊たちを魔法の実験台にしているのだろう。なんて恐ろしい奴め。


 そして奴は破天荒なくせに、整った剣の使い方をしていた。剣捌きが尋常じゃないほどに正確だった。全部峰打ちで済ましていることがより侮れない。ほんとに器用なやつなのかもしれない。


だが、こいつは魔法の使い方や盗賊を投げ飛ばしたりしているのは荒っぽいが、自分自身のになっている。その型とやらを崩しながらも、自分なりの答えを探したようだった。


こいつを恐れるべきなのに、こんなにも見入ってしまう格闘を見たことがない。そうか、これが騎士の戦い方か。確かにそこだけ尊敬してもいいところだ。はキビキビと盗賊どもを倒し、ワルツという名の踊りを戦いの中で披露した。いや、なワルツと名乗らせて頂こう。


 そしてあっという間に金髪の彼は盗賊全員倒した。


「お…覚えていろよ!この…クソガキがぁ…」


 それが盗賊どもの最後の言葉だった。


 あ、そうだった、こうしている場合じゃねぇ!それが終わったってことは俺もここから離れないと!何見入ってんだ!この金髪から速攻で逃げるさせてもらう!

 っと思った瞬間、大きい音を立てた。そして…俺の勘は当たってしまった…


「や、やっべぇ…」










---



 金髪の野郎は俺のいる屋根に視線を向けた、っと同時に怯えて廃墟の安全なところで金髪と一緒だったひ弱そうな奴も出てきた。


 今俺の勘を使って逃げたことができたのではないかっと思っているのだろうが、勘っと言ってもいつも自然にできるわけではない。これには少しだけ集中

 が必要なのさ。


だが俺は好きになれそうにない奴の戦い振りに関心してしまった。これが俺の不覚であったのだ。


「隠れても無駄だ、俺がキレねぇうちに出てこい。」


 怒ってない癖になんて怖く感じるんだ。だがせめてできることは男を見せるしかねぇ。とは言っても覚悟が必要だ。今までの予感とは桁違いのレベルに達している。ここでなんかまずい行動すればここがどうなるか分からない。だったら出るしかねぇだろう!


「へい、へい。分かりやしたよ」


 っと俺は顔を出した。


「ちゃんと顔を見せろ、めんどくせぇことをするな、そしてさせるんじゃね」


「わ、分かった、俺はなんも変なことをしねぇ。約束する」


 本当にこいつは気に食わねぇ。が、あんな痛い目に合うぐらいならここは見逃してもらう方が良いかもしない。

 ひ弱なやつが少し離れたところから俺は見て、なんかわざとらしく驚いた。


「はぁ!こ、こいつです!僕の知り合いを殺したのは。」


「は?なんの話だ?」


 人殺しだと?俺はそんなことに見覚えはねぇぞ、何言ってんだこの野郎。本当に殺してやろうか。


「本当にこいつなんだな?」


「は、はい、確かにこの目でみました!」


「おい、てめぇふざけんじゃねーぞ、俺は」


「盗賊が言い訳か?いいご身分じゃねーか。」


 それでも洒落たことを言ったつもりかよ?本当に笑えねぇ。だが状況は少し分かった、このひ弱な野郎はただ人を探していたのではなく、ただ犯罪者を捕まえる報酬が欲しいクズだったのだ。


恐らくここに住んでいる奴なら誰でもよかったのだろう。そしてわざわざここにしたのもどっかの噂かなんかで聞きつけた。


ここら辺は盗賊はいるが、ちゃんとしたがいないんだ。だからこそこのクズはわざわざここにしたということか。ますますきにくわねぇ。


 だとしたらどこでここの噂を耳にしたんだ?ここは王国から比較的に離れている場所だぞ。まあ今考えてもしょうがねぇ。


「あのな、俺みたいなやつが人殺しすると思うか、兄さんよ?さすがにあんたでもおかしいと思うはずだ」


「あぁ、というと?」


様、いや様こんな盗賊に騙されないでください、嘘をつくのがこいつらの手法です!自分が助かるためなら人を誤魔化し、果てには不意打ちまで狙うでしょう。」


 それはお前だろ!俺にはこんな事は関係ねぇ!っと言いたいところだが、それはこいつの思惑通りだ。本当に面倒なことをしやがる…


「だからだな、不意打ちとか、あんたから物を盗むどころか俺は上で見張っていただけだ。しかもあいつらとは関係ねぇ。」


 窓からちょっと音がした。


「なにいってんだあんた?あたしは見たわよそいつらとつるんでいるとこ」


「はぁ!?てかあんた誰だよ!話に突っ込んでんじゃねー、このクソババァ!てめぇの目が悪いだけだろ!」


「見たものは見たのさ、しょうがないでしょう」


「このババァ…!」


 金髪の奴は俺の方に険しい視線を向けてきた、これはかなりまずい…俺はなんでこんな厄介な奴と絡まれる


 ていうか、このババァいつも都合のいい時に現れてきやがる!こいつははなっから頭のおかしいババァで、みんなが避けてしまうぐらいだ。


だが何よりも厄介なのは、いつも俺が追い込まれる時に現れるのだ。本当に余計なお世話だぜ。しかも安全に住んでいる癖に話に突っ込むな!


「ほ、ほら見たことか、それがこいつらの本性なのです。心の隅々まで汚いのです。本当に私もこの人たちを哀れに思いますよ」


「おい、それは押し付けにはほどがあるだろ!ていうか、俺は人殺しするぐらいなら、俺はこの金髪の旦那を狙って逃げるだろうが!」


「そ、それも作戦のうちなのだろう?騙されてはいけませんぞ」


 金髪は頭を抱えて深く考えていたように思えた。


「やっぱめんどくせぇからお前をぶち込んて王国の奴らに決めてもらおう。どうせ盗みをやった時点で罪人なんだからよぉ」


 金髪のやつは王国ってことを口にして瞬間、少し躊躇い《ためらい》を感じた。やはりあのところでなんかやべぇことが働いているのか?それはむしろ危ねぇーだろ!結局こいつ破天荒なんじゃねーか!?そんな何されるか分からないところで好き勝ってさせられるか。俺は聞いたことあるぜ、盗みですらやっても問答無用で拷問を働くって話。それが本当なら何が何でも辞めさせなければ…

 だから俺は速攻で頭をさげた。


「ま、参った!俺はあんたらの邪魔なんかしねぇ、約束するそこの若い旦那」


 俺は顔を合わせないまま頭をさげた状態にしていた。頼む、こいつとは戦いたくはねぇ…そしたらその金髪の野郎は少し近づいて…


「顔を上げろ」


 そして俺はそのまま従った。


「お前に騙されると思ってんのか?」


 奴の顔は一段と怯えるほど怖かった。俺には理解できなかった、なぜこいつはそこまでムキになるのかと。


「いいか、お前には2つの選択肢がある。俺に大人しく捕まるか、それとも俺と戦って捕まるか」


「それは一つの選択肢じゃないか!お願いだ、あんたらの邪魔はしない、だから見逃してくれ」


「いい加減に…」


 金髪の野郎はひ弱の言葉を止め、考えを整理して、笑みを浮かべた。


「面白い。確かに、おまえには戦う意志はないようだ、ならもう一つ提案してやる、俺に一撃でも当てることが出来たら、見逃してもらう。それでいいな?」


「いやなんで…」


「いいな…」


「はぁ、分かった、やればいいんだな」


「あんたは下がってろよ」


「は、はい、頼みましたよ様」


喧嘩話になるのは何なんだ、まったく。強い奴は全員こうなのだろか。


余計に戦いたくなくなるだろうに普通は。しかし、一撃?そんなの無理だろ!なんでこいつはこんなことをするんだ?俺には理解が出来ねぇ。


そこまで言われてもらっちゃここで終わることできねぇのも分かっている。だからある作戦を立てた。


この金髪を森の中に引っ張って逃げる。それしかこれの展開を打破できない。俺はこいつのように真正面に戦うことはできない。


よって引き付けて身を隠すしか方法はない。だがどうやらそこまで好感度を下げてもらってないようだ、あまり恨まないだろう。


「じゃあ、いくぞ!」


 金髪は脚力を使って風の勢いに乗せて俺に向かって猛突進した。その時、俺は勘に向けて集中を尖らせた。集中をする時、上手く説明できないが、視界が普通よりも視線が遠く感じ、螺旋状らせんじょうのように広くなって開くのだ。未だ慣れねぇが十分使うことはできる。分かりくいかもしれないが、これが感覚的に感じるものだ。そして、俺の目の前に分岐するルートのようなものが見える、そしてどっちが良いかを選別しなければならない。今回はこいつの癖を利用して右上にいくっと見せかけて左に移動した。金髪の野郎は少し驚きながらも軌道を修正をし始めた。


「ほう、思ったより骨があるじゃねーか」


 だが、俺の目的はこいつを倒すことではない、逃げることなのだ。だから、攻撃を

 避けて、かわして、距離を取った。まだ俺が立っていることに驚いてる。


普通ならあの盗賊どものように倒されるべきだ、だがまだ攻撃を食らってない。1秒、2秒が異常に長く感じる。だが、この金髪野郎はスバ抜けたパワーだけでなく、体力も化け物じみている。


なかなか戦略が思い通りにならない。だから一か八かの勝負に出た。煙玉を足元に投げ、逃げることに賭けた。



 だがその瞬間その金髪野郎は視覚を犠牲にして飛び込んだ。そして奴はあの光の魔法を俺の腹に向かってありったけのパンチを披露した。


「チェック」


 その痛みは一瞬だった。腹の中から燃えるように熱く、そして何よりも痺れた。だが不思議と悪い感触ではなかった。風の音とともにノックアウト寸前にされたのである。そして俺の体が止まったことに気づく。


「マジで最悪だぜ…」


「いや、なかなかだったぞ」


俺が最後に観たものはあの金髪やろうの関心っぷりで、それは俺にとって輝いているものではなかった。

そしてすべてがブラックアウトした。


------------------------------------------------------------------------------------------------


ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。まだまだ学ぶことはありますが、定期的にものを書けるよう更新致します。


もし良いと思った方はフォローや応援をお願い致します。


MFブックスコンテストに参加しております。

























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る