魔族マートへようこそ!

魔族のためのコンビニエンスストア、魔族マート。

そこへお使いに行かされた人間と意識高い魔族店員の

サクッとできるホラーコメディです。

だいたい8分くらいです。


※内容が変わるほどの改変不可。

※両役共に性別不問。一人称、口調変更可。


<登場人物>

・店員

魔族マートのアルバイト。高圧的、意識高い魔族。

・客

ごく普通の人間。電子マネー愛用。


----お話はここから----


-魔族のためのコンビニエンスストア、魔族マート


客:えーと、これなんて書いてあるんだろう?


店員:いらっしゃいませ!魔族マートへようこそ!


客:すみません、これなんて書いてあるか分かりますか?


店員:お客様これ読めないんですか?


客:はい


店員:最近はスマホばっかで字もろくに読めないやつ多いですからね


客:えーと…、これ本当に読めないんですけど…


店員:はいはい、ちょっとそのメモ借りるよ

イモリの缶詰、サラダコウモリブラックペッパー味、

豚の血マンドラゴラミックスドリンク、蜘蛛糸の包帯と…


客:気持ちわるっ!!


店員:その反応…お客様人間ですかー、品も知性もないから魔族ではないなと思いましたけど


客:失礼な店員だなあ…


店員:我々からしたら人間なんて知性も品位もない哺乳類にすぎませんから…おっと、失礼


客:で、メモに書いてあるものは全部ここにあるんですよね?


店員:もちろん、ここは魔族のためのコンビニエンスストア、魔族マート!!

魔界の超超超大手企業ですから!!!


客:いきなりなんだこの人!


店員:魔族マートでアルバイト経験があると、就職活動も非常に有利!

企業での面接では一目置かれますし、就職後もエリート街道を歩むことが出来る…!


店員:アルバイトも私のように意識の高い魔族しか採用されません!

魔族マートアンドホールディングスは社員教育から徹底しておりますので


客:そ、そうなんだー…

社員教育から徹底している割にはこの店員さん失礼極まり無いんだけど


店員:あなた、信じていませんね?この魔族マートで働くことがいかに素晴らしいことか!


客:あのー、買い物させてほしいんですけど


店員:おっと、失礼しました…本当空気読まないな…これだから人間って生き物は…


客:悪口聞こえてますよ


店員:あ、聞こえるように言ってます


客:なんだこの人!!


店員:人ではありません、誇り高き魔族です


客:あーはいはい…で、このメモの品物どこにあるんすか?


店員:文字も読めなければ自分で物を探すこともしないなんて!怠惰なお客様です


客:自分人間なのでー、魔族のものなんて分からないっす


店員:これだから人間は…


客:腹立つけど頼むしかないんだよな…すみません、お願いします


店員:はい、少々お待ちくださいませ


客:…にしてもこの店内、普通のコンビニとほぼ同じなんだよな

おにぎり、サンドイッチに弁当、食品にペットボトルとかの飲料…

スマホ用のケーブルに充電器、文房具

レジ前には揚げ物とかのホットフードもあるし


客:そういえば何時間も食べてないな…なんか無性に空腹感が…


店員:お待たせ致しました、


客:ありがとうございます


店員:お支払い方法はいかがなさいますか?


客:あれ?電子マネーは普通のコンビニと一緒なのか


店員:人間に出来て魔族に出来ないことなんてありませんよ


客:ペイツー払いで


店員:かしこまりました、ではこちらへタッチをお願い致します


客:おお!本当に支払い出来た!...というか価格「円」でいいのか!


店員:あなた、いま私と何語で話してますか?


客:あ、日本語だ


店員:はぁーーーー…これだから人間は…


客:…言われるまで気づかなかった…くっそ!!


店員:まあ、ちゃんと支払いはしてもらいましたし問題は無いですね


客:あとすみません、レジ横のケースにあるフライドチキンひとつお願いします


店員:フライドチキン…ですか、かしこまりました


客:それもペイツー払いで


店員:はい、ペイツー払いで承ります


客:いろいろお世話になりました、ありがとうございました


店員:礼節はわきまえているようで…どういたしまして、ありがとうございます


ー客が帰った後…


店員:そういえば先程の人間、フライドチキンと言って不死鳥のフライ買って行きましたね

人間が魔族の食べ物を食べたらどうなるか…

あの人間に買い物をさせた魔族はわざと魔族マートへ来させたのでしょうね

本当、悪い魔族が多くて困りものです


客:買い物すませて来ました!

あれ?なんか視界がおかしいな…

目が霞んで…き…て……


店員:そろそろ人間の身体ではなくなる頃かと


客:何か食べたいな…

あれ?さっき買ってきたものまだ残ってる

サラダコウモリブラックペッパー味…美味しいのかな

テーブルの上にあるグラスの赤い液体からはいい匂いがする

あれは豚の血か?マンドラゴラ?とかいうのが入ってるんだっけ


店員:魔族の食べ物は美味しいですから

私たちと同じ誇り高き魔族となるか、

人の形を失くし魔に堕ちるか…


客:なんだこれ!サラダコウモリも豚の血もこんなに美味しいのか!

魔族マートオリジナル商品…

店と同じマークがパッケージについてるからきっとそうだろう

また買いに行こう


店員:またのご来店を心よりお待ち申し上げております


-完-

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