転生少女の異世界放浪

夜椛

第1話 事後報告

『本当に申し訳ございませんでした!!』


「何?」


もしもの話だが突然夢の中の登場人物が土下座をし出したらどう思うだろうか?


「え、怖っ。夢の中の筈なのに何も無くなった。悪夢かなー。」


夢を夢の中で夢と認識できている時点でちょっとおかしいんだけど…。


『いやー、普段なら下界の下等生物に頭を下げたり話しかけたりする事はあり得ないんですが今回ばかりは完全にこちらのミスでして、上からもお前がどうにかしろとの指示が出てますし屈辱ですが仕方なし。』


「どう言う状況?」


『えー、端的に言うと貴方の魂を弄って遊んでいたら消滅させちゃったんですよね。たまに適当に手に取った魂を弄る回して醜い化け物を作るのが趣味なんですけど、力加減を間違えまして消滅させてしまったんですよねー。破裂や破損、消失やエネルギー化ぐらいなら問題無いんですけど、消滅するとこの循環し続ける輪廻の輪から外れまして不具合が起きるんですよ。…手元狂って完全に消滅させてしまうとは歳はとりたく無いですねー。」


「消滅と消失は同じ意味では?」


『全っ然違いますよ。消失は形を保ったまま消える事で、消滅は壊れて消える事です。前者の場合輪廻の輪が勝手に見つけ出して元に戻してくれるんですけど、ぶち壊して完全に消し去ってしまった時に使われる後者の表現は結構ヤバいんですよ。』


「それで?」


『輪廻の輪にどんな影響が出るか分からないから急いで破片探し集めて再結晶したんですけど、まー、それでも不具合が解決しないんですよー。なので、貴方の存在自体を別世界に捨てる事にしたんです。あ、拒否権はありませんし向こうで死んでもこちらに戻ることはできません。』


「は?」


『簡単に言うと貴方の魂と言う存在と存在したと言う事実を輪廻の輪の記録部分から消すんですよ。機械の初期化みたいな感じです。それをするにあたり、並行世界も含めたこの世界から追い出さなきゃいけないんです。つまり、島流し的な?まぁ、下等生物が妄想するようなチート能力とかの付与はしませんがね。一応、島流しすると向こう所属の魂になるんで、こっちには戻って来れませんって事ですよ。だから安心して向こうでも死んでください。』


「勝手に…。」


『はい、勝手ですよ?実験用ラットをどう使おうが我々の自由でしょ。まさか、貴方達が妄想するような聖人君子な所謂神様が居るとでも思いましたか?下等生物である貴方達の中にすら聖人君子が居ないのにそれの創造主である我々がそのような存在であると思える程頭ハッピーなんですねー。』


「人間を何だと思ってるのよ!!」


『実験用ラットだって言ってるでしょ。これだから下等生物は困るんですよ理解が遅すぎる。我々の中にも実験用ラットをペットにする変わり者も居ますがそれは気に入ったラットだけですし、そのような方も含めて我々の認識は実験施設で繁殖及び消費されているラットでしかありません。でもまぁ、これでも私が直接再結晶したんで多少は通常と違う挙動を起こすかもですがまぁー、私の管轄外ですしどうでもいいです。では、必要な説明は終えたんで切りますねー。永遠に会う事はありませんがさようならー。』


「ちょ、は?」


『あ、ご安心を。元の世界の肉体は死体になってるので関係者を心配させる事はありません。一応、向こうで同じぐらいの歳の肉を生成して貰えてると思うんでそちらに入れ物が移る形になってます。では、生き残れるように精々頑張って下さい。』


それを最後に私の意識は完全に途切れてしまった。

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