第6話 間男(近藤)の闇(NTR強め)

 俺は、近藤誠二。この世界の中心にいる男だ。

 父親は、市議会議員。

 学業では、県内御三家と呼ばれる名門高校に入学し、所属しているサッカー部ではエース。弱小チームだった進学校のサッカー部を県大会上位に押し上げて、去年は全国大会出場を果たしたのは、エースである俺のおかげだ。


 内々ではあるが、私立大学の名門サッカー部から声をかけてもらっている。学校からスポーツ推薦をもらえれば、あとはバラ色の人生が待っている。


 プロになってやってもいい。俺の実力なら、少し頑張れば国内では敵なしですぐに海外リーグから声がかかるはずだ。ベルギーやスコットランドリーグのチームに入って、レギュラーを獲得。活躍して5大リーグに挑戦。そして、億を超える年俸をもらい美女をはべらせる。日本人初の世界最優秀選手だって夢じゃないはず。


「あー、人生楽勝」


 俺は幼少期から人とは違っていた。少し勉強すれば、成績はすぐに上位になった。身長もどんどん伸びて190センチに届きそうな勢いだ。サッカーもやわらかなテクニックという天賦てんぷの才のおかげで、どんなチームでも中心になれる。


 国内リーグの下部組織ユースから誘われたこともあったが無視した。そんなところにはいたら遊ぶ時間がなくなるからな。それでもユースの日本代表に選ばれるから誰も文句は言えない。そもそも、俺はテクニックがあるんだ。筋トレとか基本的な練習をすれば、変な型にはまってしまう。平凡な選手になるだけだ。だから、こういう弱小校の王様として好き勝手やっていた方が向いているんだよなァ。凡人の監督たちにはわからないだろうけどさ。


 こんなに才能あふれる男だから、女たちも放っておくはずがない。小学校の時からモテにモテまくった。


 初めて彼女ができたのは小学三年の時。その時から、女がいなかった時間がない。中1になったときに当時の彼女と一線を越えてから女遊びは、さらに激しくなった。


 あれは忘れもしない中2の時の話だ。

 当時同じクラスでオタクとクラスのアイドルが付き合っていた。まぁ、しょせんは中学生の恋愛で、手しかつながないみたいな時代遅れの価値観だったけどな。あいつらは、美雪と同じで幼馴染カップルで、将来結婚するのは疑ってもいないような純情バカな関係だった。


 案の定、ひたすらおだてて優しくしてやったら、女の方はコロッと俺になびいて来た。いままで運命の男だと思っていた彼氏を、裏切って悪口を強要するとあいつは背徳感と悲劇のヒロインのように勘違いして燃えていた。


「あのオタク気持ち悪い」

「あれが彼氏だったなんて人生最大の恥」


 俺と二人っきりになったときは、そう漏らすほど、俺に心酔してたな。馬鹿な女だった。


 オタク君にその音源を聞かせたら、涙を流して崩れ落ちていた。

 あの時の彼氏の顔を見たとき、俺は興奮してしまったんだよな。


「なんでだよ。なんでだよ。俺と結婚するって約束してくれたじゃないか!!」

 崩れ落ちながら、断末魔のような声をあげる男。でも、彼女はそんな男に手も貸さずに、興味もないように俺の腕をつかんでいる。


「そういうことだから、早く別れてね。私、彼と幸せになるんだから」

 俺と付き合う前に比べると、ケバイ化粧になっていて笑った。征服欲が満たされた瞬間だったな。だから、俺は人の女に手を出すのが好きになったんだ。男に知られた時に絶望する顔が楽しいのなんのって。


 ちなみに、男を絶望に落としてから1週間くらいしたら、女に別れ話を切り出したんだけどな。結局、恋愛なんて付き合う前が一番楽しいからな。


 付き合うとめんどくさい独占欲だけ発揮してくるんだもん。しょうがないよな。


「なんで。私、全部捨ててあなたを選んだのにぃ」

 半狂乱になりながらこちらにすがる女を見て、俺はこう告げてやるんだよ。


「俺、軽い女って興味ないんだよな。嫌いになったから別れよ」

 興味なさそうにスマホでもいじりながら、機械みたいにそう話すと、女も崩れ落ちるんだよ。だいたい、俺の魅力にハマってから女はたいてい勉強しなくなるし、成績は下降線をたどるのが普通。


 そうなってしまうとだいたい取り戻せないわけで。

 さらに、今までの交友関係も全部敵に回しているんだよな。特に幼馴染カップルってさ。幼稚園とか保育所から小学校、中学校の友達。全部、俺を選んだことで旧友たちを敵に回すじゃん。そういう、簡単なこともわからない女が俺と付き合えると思っているのかな。


 立場わきまえろよ。

 結局、元クラスのアイドル様は、すべてを敵に回した上に成績も落ちまくって、不登校からのバッドエンドまっしぐら。それを笑いながら眺めているのが楽しいんだよ。


 さて、次は美雪の番だな。あいつもおもしろいやつだよ。あの時、俺じゃなくて、彼氏の方につけばよかったのにさ。


 あの日、俺は面白いことを考えたんだ。男と女。どっちも人生ボロボロにしたら楽しいよなって。


 だから、美雪の腕に、DVの跡をつけてやった。文芸部彼氏君のひ弱な力じゃ赤くなるのがせいぜいだが、俺が力強く腕を握ってやったら、見事にあざができたんだよな。それをスマホで撮影して、一部始終を部活の後輩を使ってSNSや学校裏サイトに流してやった。


 その結果がこれだよ。

 あのエイジっていう男。

 そして、美雪がどこまで落ちていくのか。


 今から楽しみだぜ!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る