第2話 憧れ by瑠禾

ある日突然思った。この人は、自分にとっての目標なんだと。さらさらと流れる銀髪、名前の通り濡羽色で時折白藍びゃくらんに煌めく瞳。スタイル、顔立ちは整っており高嶺の花のような人だったはずが…不意に地上へと降りてくるかのように。

コシュマールという最大派閥に所属しており、ものの数年で三大幹部・蒼玉そうぎょくに上り詰めたさきに。彼女がいた。「やあ、あんたが次の蒼玉?可愛いじゃん。」逆ナンじみた言葉を掛けてくる。「誰だよ?お前。」「あー、知らない?ならいいや。白雨しらめさんも雑だなー。」白雨、というのはうちの首領ボスのことだ。ほんとに誰だよ、こいつ。「私はねぇ、濡羽。名前くらい知ってるんじゃない?ん?」濡羽。それはコシュマールで聞かない日はない女の名前。「お前━いや貴女が濡羽?すみません、知らなかったもので。」「そういうのいいって。茉仁荼まにと大量発生とか嫌だもん、適当でいいよ。」「じゃあ、いつも通りにさせてもらいまぁす。」きゅるん、と効果音が付く可愛さ。「マジ?瑠禾ってそういうタイプ?可愛い…。」何かに打ちひしがれているようだ。「よろしくお願いするよぉ、濡羽!」「これからもよろしくね。」この後様々な人物が加わって物語は加速する。

舞台は今から一年後━━二人の友としての物語。

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