第60話 スマホゲット
次の日の朝、相変わらず地球へと飛んだ私を待っていたのはニコニコしたミドリだった。
「はい。これ!」
そう言って四角い袋を差し出してくる。
これは何? なんてボケはしない。
昨日話していたことだしね。
「スマホだよね?」
「そう! ハルの新しいスマホだよ!」
そっか、私の新しいスマホ……ってあれ?
「私はミドリのお古を受け取るってことになっていなかったっけ?」
スマホなんて安いもんじゃない。
キャリアのロゴが入った袋の中身は明らかに新品のものだ。
箱の中身だけわざわざ入れ替えたなんて事をしない限りこれは新品だろう。
「あー、なんかお母さんがお金を出してくれたから」
ナナミさんの仕業だった。
いや、仕業というか、ありがたいんだけど。
「あ、お金は請求しないってさ」
わざわざ言うってことは無理にお金作っても受け取ってくれないだろうね。
私の許可を取る前に先に買ってしまう。
これで使わないとそれはそれで無駄になってしまう。
私は使わざるを得ない。
ほんと、私の性格わかっているよね……
「ありがとう。使わせてもらうよ。後でナナミさんのところにも挨拶行くから」
「うん」
お礼だけはちゃんと言っておかないとね。
それに、他でも何かしらできること考えないとね。
「お姉ちゃん! カナも買ってもらったの!」
カナが嬉しそうに、スマホを握りしめて私に見せてくる。
こちらも、明らかに新品のスマホ。
あー、そういえばそうだった。
昨日もそんな話をしていたっけ。
嬉しそうなカナが可愛い。
「ナナミさんに、ちゃんとお礼言った?」
「うん! ちゃんとありがとうって言ったよ!」
私は嬉しそうなカナの頭を撫でる。
ほんとナナミさんには感謝しかないね。
早速お礼を言いに行くことにしようかな。
こういうのは早い方がいいからね。
「時間的に今ってナナミさん大丈夫かな?」
「うーん、多分大丈夫だよ」
「それじゃあ、ちょっと行ってくるね」
「あ、私も行くよ! ハル一人じゃ見えないし」
「あ、そっか。じゃあ、カナ。ちょっとだけ待ってて」
「うん」
カナは自分のスマホを操作している。
説明書をちゃんと読んでいるのは流石私の妹といったところかな。
後で一応私も軽く目は通すけど。
ミドリと二人でナナミさんにお礼を言いに行き、また戻ってきた。
ちなみに、ナナミさんは
「気にしなくていいのよ」
となんでもないように言っていた。
気にしないでいいって額じゃないと思うんだけどね。
「まぁ、ともかくこれでちゃんと連絡取りやすくなったね」
「いや、連絡だけならちゃんと取れてたでしょ」
ガラケーでもメールと電話で連絡くらい取れる。
「最近は、アプリを使った無料通話とかメッセージの方が主流なんだよ!」
ミドリが胸を張って言う。
うん。まぁ、私もそれくらい知っているけれど。
前使っていた時はそれが流行る前だったから結局自分の端末に入れることはなかった。
今の主流じゃない別のやつなら使っていたけどね。
「ほら、早速入れてみようよ」
「はいはい」
「カナも入れる!」
ミドリに推されておすすめのアプリを入れる。
私とカナのスマホにメッセンジャーアプリが入った。
「それじゃあ早速、ID交換しようよ!」
ID交換ね。
自分のIDの出し方は……
これかな? こういうのはだいたいメニューで設定かプロフィールっぽいところに出るはず。
っと、出た。
おお、今はQRコードで取ればいけるんだ。
時代は進化してるね。
「QRコードでいいよね。じゃあ、これ」
「はいはいっと」
ミドリが手慣れた様子でIDを登録していく。
その間に、私はカナにIDの出し方を説明する。
私が全部やってもいいけど、カナが友達と交換する時も必要だからね。
「出せたよ!」
と無事に出せたようだ。
それじゃあ、私もカナを登録しておこう。
あ、友達登録ってやつからQR撮ればいいんだよね。
……あ、申請になるのか。
それじゃあ、申請っと。
「申請出したよ! あ、カナちゃん私も」
ミドリがカナのQRコードを認識しようとする。
「あ、ちょっと待って。ね、カナ? カナも申請出したいよね?」
「うん!」
「それじゃあ、ミドリに出そうか」
「あ、なるほど。そういうことね。それじゃあ、QRコード出すから待ってて」
カナに両方の役割やってほしかったので役割を逆にしてしてもらった。
ミドリもすぐにそれを理解して動いてくれた。
ちょうど3人で全員どっちもできたね。
その間に、私もミドリから届いていた申請に許可を出す。
これで無事に交換完了だね。
カナとミドリも無事に登録を完了したみたいだ。
これで3人の間でメッセージのやり取りができるようになった。
「あ、じゃあグループ作っておくね」
「グループ?」
「うーん、3人でお話できる空間?」
「あー、そんな機能もあるんだ」
昔のアプリにもそんなのあったかな?
あった気もするけど、使ってなかった気がする。
基本1対1だったからね。
別に一緒にやる人達がいなかったわけじゃないよ。
その後は、3人でメッセージの交換なんかをして過ごした。
こう、無駄にスタンプを連打したりとかしちゃってた。
後で振り返ってみると何がなんだかわからない感じになっちゃうね。
でも、楽しかった時間はプライスレスだよ。
あ、ちゃんとそれが終わった後に、カナにはスマホの使い方をちゃんと説明したよ。
変なアプリなんかいれちゃったりとか、変にお金使っちゃうと大変だからね。
最後に、私のスマホで写真を撮ったりしたよ。
案の定というか、私は映らなかったけども……
まぁ、幽霊ってそんなものよね。
幽霊がカメラに映るなんて話があるけど、ただの迷信だったりするのかな?
魔力操作とかちゃんとやれば写るようになったりするのかな?
普通の幽霊はどうやってその辺り知っているんだろうね。
いい幽霊とかいたら聞いてみたいところだね。
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