第19話 夢か現実かカレーか
「これは現実……?」
俺、重賀虎能充は可愛らしい鍋を抱えながら玄関で固まっていた。
鍋からは美味しそうなカレーの香りが漂い、夕飯もまだのお腹に強烈なボディーブローを炸裂させた。
半分硬直しながらも食の本能が体を動かし、冷凍してあるご飯を解凍して皿に乗せた。
コンロで軽く温め直したカレーをかけ。
「……いただきます」
突然色んな事が起きて頭の中がパニックである。
家に大人気アイドルがやってきて、手作りのカレーをもらった、そしてアイドルは隣の部屋に住んでいて、今度ダンジョン一緒に行きましょう?
情報量多過ぎなんですけど。
「……うまい」
人の手料理を食べたのは数年振りか、いつもカップ麺やらデリバリー、スーパーの総菜で済ませてしまうからな。
「うまいな……本当にこれ全部貰っていいのだろうか」
正直に言えばもう少し辛みが欲しい所だけれど、あの美少女の手作りかと思うと頬がにやけてしまう。
「これ、隼人に言ったらどんな顔すっかな」
幸せな気持ちになりながらスマホを開き、動画サイトを開いて検索欄に佐藤祈と入力した。
すると出るわ出るわ、関連動画から切り抜き動画、本人の個人チャンネルに平凡Dガールズの公式チャンネル。
その中から公式チャンネルを開き、ライブ映像を開いた。
ダンジョンの入口が映し出され、その後にメンバー3人の紹介タイム、それからは曲に合わせて一気に最下層を目指して降りていった。
曲名は……『ダンジョントラブル注意報』か。
アップテンポで聞いていて楽しくなる曲だな。
「佐藤さんは双剣、後の二人も近接か……ん? あぁ、なるほど……ふむ、フォーメーションもいい、連携もいい、後はアレだな。近距離なのはいいけど、タンク役がいないからヘイトが分散してるな。回復する時に守りが薄い……この感じだと中級半ばまではいいけどその後がキツくなるよな……うーん。って何を分析してるんだ俺は」
気付けば俺はカレーを食べ終え、平凡Dガールズの曲とライブを全て視聴し終えていた。
動画を見ながら分析し、誰がどこのポジショニングがいいか、などを考えてしまっていた。
「こんな事考えた所で――」
だが待てよ?
ふとキッチンに置いてある可愛らしい鍋を見た。
借りた物は返さなければだし、一飯の恩もある。
手料理という温かいモノを恵んでくれたお礼として、少しばかりアドバイスをしてもいいのではないだろうか。
しかし壁を蹴ったお詫びと言っていたし、そんな事をして迷惑がられないだろうか?
そうだ、手紙を書こう。
そしてお鍋の中に入れておこう。
その気になったらお返事ください、でいいだろう。
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