第3話

「大丈夫。必ず見つかるから」


 迷子をあやしている。少しして、親らしき人間が合流。事なきを得たらしい。


「わたしに用ですか?」


 おっ、と。近付きすぎたか。


「あ、いえ。ビールのいい匂いがしたので」


 あ。ビールか。はなが利くな。


「失礼しました。私はこういうものです」


 いつもの事務所の名刺、の、コード付きカード。


「港南相談事務所の、浅鎖あさつかさん」


「はい。え?」


 いや。コード付きカードを出しただけだぞ。


「あっ見ればコード読み取れるので」


 いやいやいや。ただコードが書いてあるだけの紙なのに。いくらなんでもそこから何か読むのは。


「あ。ええと。読めます。目で見ればサイトが頭のなかで開くので」


 えっ。


「ロボットみたいですね」


「ええ。ロボットですから」

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