第7話

『ソヴァ皇太子殿下、ご報告がございます。

 昨日、畑を耕しておりましたら、怪しい人物を見かけました。

 殿下がおっしゃっていた人物かはわかりませんが、お知らせしたくて急ぎ文をしたためております。乱筆乱文、どうかお許しください。

 肥料を取りに小屋に向かったウドゥンがなかなか戻ってこなかったので、畑を耕し終えた私はようすを見にいきました。そこで見てしまったのです。

 小屋の中で黒ずくめの男と深刻な顔で話し込んでいるところを。

 その男は旅装のようでした。見おぼえのない顔です。身元がわかりません。ウドゥンはその男に布袋を手渡しました。なにが詰まっていたのかはわかりませんが、ずっしりとした重さを感じさせる袋でした。男はニヤニヤと笑っておりました。ウドゥンはなにか悪の組織に荷担しているのでしょうか。

 怖くなってすぐにその場を去りましたので、ウドゥンもその男も、覗かれていたことは気づいていないでしょう。これからはさらに慎重に調べてまいります。

 明日も早起きしなければなりませんので、簡単な報告で申し訳ありません。キュウリは風が強いと上手く育たないので囲いをする予定なのです。美味しいキュウリが出来たら、お届けいたしますね。すべては貴方のために。ソーキより』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る