終わらせたい

 ボロボロの姿で、泣きそうになりながら仕事から帰ってきて、本当は夕飯を食べた方がいいのだろうけれども、なんだか一向に食べる気になれず、薄暗い部屋の中で、一杯のハイボールを作って、冷たいフローリングにべたりと座り込み、膝下までのストッキングをのろのろ脱ぎさろうとしていたら、スマホに一通の通知が来て、開いてみればそれはVの推しで、今まさに配信が始まったらしく、スマホの音量を上げたら、小さな画面の中で彼はひらひら楽しそうに笑っている。

 私は思わず、声が出て、次に涙が出た。別に何か柔らかい言葉をかけられたわけでも、慰めてくれたわけでもないのに、ただそこで、同じ時間を生きていると知っただけで、こんなにも胸がほぐされるものなんだと、思いました。久しぶりに観た配信でした。

 本当は生きてなんていけないけど、これで無理やり、繋がされている。

 泣きながら飲んだハイボールは、鼻が痺れた。マスカラが目尻を流れた。

 こうやって生きてゆくのか。私はまた明日ボロボロになって仕事から帰って、泣きそうになりながら、彼を観る。すると推しは、ひらひら楽しげに笑っている。

 これを最期に見る光景にしたく思って、ほんの一瞬よくないことがよぎって、もういい、いいじゃないか。推しは確かに背骨となり得るのかも知れない。背骨となって、形を保たせてくれている間に終わらせたい。

 がははっと大きく声が上がり、笑顔が相変わらず可愛くて、死にたかった。

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