第6話 ~風の帰還~

〜朝〜


この世界は混沌と化した。


「自分は風に見えていたということは、なんとかできないかなぁ」


タビロドは渾身の思い力を込めるがそよ風が吹いただけだった。


ヒブサメ:「何か起こっているんだ..」

ソラカケ:「もう防ぎきれない…」

チカサカケ:「もう疲れてしまったなぁ…」

ミヌオウモノ:「限界か…」


あと数分でこの世界は覆い尽くされるだろう


「そうだ。どうせ滅びるんだったら。最後にみんなに会わせてあげよう」


タビロドは光の速さとなって4人の元へ行き

地上と空と海と森の境界地に集まるように伝えた。


ソラカケ:「みんな!」

チカサカケ:「お母さん!お父さん!」

ヒブサメ:「無念だがしょうがない」


ミヌオウモノ:「どうせ死ぬなら、みんなで最後の力を込めて矢を射らないか?」


4人は小さく頷き、草と土と雲と水が混ざったような

黒い竜巻に矢を射った。


矢は竜巻にヒットしたが、何事もなかったように

竜巻は世界を侵食し続けている。


「ダメか…」


諦めかけたその時。竜巻の色が無色に変わった。



〜昼〜


竜巻の中には歩く人影が見え、その人物が内側から

矢を射つ続けているのが見える。


ヒブサメ:「もしかするとだが…矢を射続けよう!」


4人は竜巻めがけて矢を射続けた。


するとタビロドはどこからか声が聞こえた

「ここへ来てくれないか?」


その声は4人は聞こえていないように見えている。


タビロドは声の聞こえる竜巻の中へ向かった。


そこには1人の老人が矢を射続けていた。

「おお!君か!こっちに来てくれ」


「私はブウシャ。君は外の世界から来たのじゃろう?」

「はい。そうです。」

「この世界はどうじゃった」

「いや、そんなこと言っている場合では…」


「見てみろ彼らを…必死にこの世界を守ろうとしておる。

この竜巻はわしが起こしたんじゃ」

「なぜこんなことを!?」


「わしはそろそろ年老いてこの世界からは消えてしまう。」

「だから私無しでもこの世界を守れるか彼らを試したんじゃ」

「そうだったんですか」


「彼らと近くにいてどうだった?」

「みんなお互いを信頼していて、自分のすべきことを全うしていました。

でも、それぞれが離れ離れなのが寂しそうだなぁと」


「どうすれば良いと思う?」

「わからないです…」


「彼らは一緒にいれば、こんな大きな竜巻も抑えられる。」

「そうか!ずっと一緒にいればこの世界も守れるし、」

「そうじゃな」


「では。わしの仕事は終わりとするよ」

ブウシャはゆっくりと歩きながら風の核を打ち、

竜巻は収まった。


そして世界は風の力によって元に戻った。



〜夜〜


ヒブサメ:「なんとかなった」

ソラカケ:「そうね」


チカサカケは疲れて眠っている


ミヌオウモノ:「自分だけかもしれないがブウシャの姿が見えた気がする」

ソラカケ:「あのブウシャさんが!?」

ミヌオウモノ:「うん。さて、これからどうするか」


ヒブサメ:「そうだ。4人一緒にいれば今回のような事態も抑えられると思うんだ。」

ミヌオウモノ:「確かに。そんな気がしてきた」

ソラカケ:「じゃあこれからはずっと一緒にいれるってこと?」


ブウシャ:「そうじゃ」

ヒブサメ:「ブウシャさん!今までどこへ?」

ブウシャ:「わしはこの世界の真実を見た。だから逝かねばならぬ」

ミヌオウモノ:「いくって!?どこに?」

ブウシャ:「この世界の外じゃ」


するとブウシャから光が溢れ出し、姿が消え一本の弓矢が残された。

ヒブサメ:「消えた。」

ソラカケ:「これって風の矢…」

ミヌオウモノ:「わかった。これからはブウシャさんの矢と共にこの世界を守っていこう」


タビロドはその様子を遠くから見つめ、そっと目を閉じた。

すると懐かしい音楽が聴こえてきた….


〜第1章 完〜


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【Music & Movie】

Music of Delusion - ブウシャ / Windstrider

https://kakuyomu.jp/users/Bobty/news/16817330664100111752

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Music of Delusion Bobty @Bobty

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