仕返し屋 ─あなたの仕返し代行します─

HIROKI526

第1話 仕返し屋

        登場人物


愛梨 ─ この話のヒロイン 男子からはクラス1可愛い、セクシー、と人気者。同じクラスの聡子に目をつけられ、嫌がらせを受けている。


聡子 ─ 愛梨のクラスメイト 以前好きな男子に告白するも、「愛梨の事が好き」と振られた事がある。その時より愛梨に嫌がらせをするようになった


菜々、芽衣 ─ 愛梨、聡子のクラスメイト 嫌がらせをする聡子をよく思ってはいないが強くは言えず、聡子と行動を共にしている




   ─愛梨、聡子 学校 放課後─




キーンコーンカーンコーン…


聡子「…はあっ、やっと終わった…」

  「ねえ、今日カラオケ寄ってかない?」


菜々「いいよー、行こ行こ」


芽衣「いいねー、行く行く!」


愛梨「……」


聡子「…あ、ねぇ、愛梨ぃ、私達これからカラオケ行くんだけどさ…」


愛梨「…あ…いや…わたしは…」


聡子「いや、そうじゃなくて笑 誘ってるんじゃないから笑 わたし達、金欠でさー、お金貸してよ笑」


愛梨「…え…いや…」


聡子「少しでいいからさー。いっぱい持ってるんでしょ? ちょっとカバン貸しなって!」


愛梨「あ!だめ!待ってー…」


聡子は愛梨のカバンをあさり、サイフを探す─


聡子「…あ、あった!…ほら!たくさん持ってるじゃーん。1万円みっけ!借りるねー!」


愛梨「待ってよ!ダメっ!お願いっ!」


聡子「うるせーな!いいから貸せよ!」


愛梨「…っ…」


聡子「…また季節外れのプールで泳がされたい?」


菜々&芽衣「……」


愛梨「…それは…イヤだけど…」


聡子「じゃあ、借りてくねー。ありがと!

ちゃんと返すよ。気が向いたら笑」


愛梨「…ううっ…そんなっ…」


聡子「…なんか、納得いってなさそうだね…」


愛梨「…えっ…いや…」


聡子「ちょっと一緒にお外行こっか─」




 ─聡子にプールに連れてこられた愛梨─




聡子「プール開いてたね」


愛梨「…あの…」


聡子「泳いでいいよ笑」


愛梨「え…いやー」


聡子「いいから入りなって笑」


愛梨「きゃあっ!!」


突如、聡子は、愛梨をプール水面に向け突き飛ばした 驚いた愛梨の悲鳴と共に水飛沫があがる─


愛梨「つめたいっ!なにすんのよっ!!」


聡子「あははっ!ほら!泳ぎなって!笑」


聡子は愛梨の髪の毛を掴み、水の中に押し込んだ…


愛梨「…もがっ…もごごごっ…っっ…っはぁっ、はあっ… やめてよっ!やめてってばっ!」


聡子「あははっ!見て!菜々、芽衣! この子、生意気に黒のブラジャーなんかしてるよ! エッロいな〜…そうだ! この子のセクシー写真とか撮ってネットで売っちゃう?笑」


愛梨「…ひぃっ…」


菜々「…いや、ちょっとそれはさすがに…」


芽衣「…そうだね!…それよりもカラオケ!早く行こうよ!」


聡子「…そう?まあ2人がそう言うなら… じゃあ、行こっか。じゃあねー、愛梨!風邪ひかないようにねー笑」


愛梨「…ぅぅっ…ぐすんっ…」


3人はそのまま去っていった─




       ─愛梨部屋─




愛梨「…ぅぅっ…ぐすんっ… もぅ、やだっ! もうムリだよっ! …言い返したらヒドイ事されるし… やり返したらもっとヒドイ事される… どうしたら…いいの…?」


愛梨「…!…?… なに…コレ…?…」


現実逃避をするように推しのアイドル動画を見ていた愛梨─ 表示された広告で、あるサイトが目に止まった─


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


        仕返し屋


   ─あなたの仕返し、代行します─


        ENTER


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



愛梨「…仕返し…屋? …あなたの仕返し…代行します…? …ちょっとだけ…」


─悪魔に誘い込まれるように…愛梨はつい、ENTERをタップした…─


愛梨「…っと…なになに?… …報酬金額に応じた匿名での嫌がらせ、仕返しを承ります。…ご連絡、ご相談はこちらまで─ …か」


愛梨「… すっごいざっくりだな… …報酬金額に応じた…って事は…安くてもいいのかな?

……相談、その後のやり取りは…チャットなんだ……ちょっと…相談だけ…」


愛梨はサイトの問い合わせプラットフォームに足を踏み入れた─


愛梨「…仕返し依頼、考えてます… 料金システムとか、詳しく知りたいです…っと。…よし送信! ……ってなにやってんだ、わたし…」


ピロリンッ♪


愛梨「えっ、うそ…もしかして… 運営さんからだっ、返信はやっ!」


仕返し屋運営

「名無し様 お問い合わせありがとうございます。仕返し屋運営です。当局の料金システムは、最低金額を1,000円とさせて頂いてる以外、当局側で特に定めた金額はございません。あくまで、お客様から頂いた金額に応じたサービスを提供させて頂いております。」


愛梨「……って事は、金額が大きくなればなるほど、動いてもらう規模も大きくなるって事ですか?…っと。」


ピロリンッ♪


運営「おっしゃる通りでございます。最低金額は1,000円と、お求めやすくさせて頂いておりますので、一度お試しいかがでしょうか?」


愛梨「(…とりあえず1,000円ならいっか…)

…わかりました。それじゃ、1,000円でお願いします…っと」


運営「ありがとうございます。それでは──」


─────


愛梨「…ふぅっ……申し込んでしまった……1,000円分の仕返しか… どうなるんだろう… ……って、ほんと、わたしなにやってんだか…」


ピロリンッ♪


愛梨「…あ…運営さんから?…」


運営「仕返しが実行されました。動画をご確認の上、評価と承認をお願い致します。」


愛梨「えっ!もう??はやいっ!!」


愛梨はおそるおそる動画を再生した─


─────


そこはカラオケ屋だった─

聡子、菜々、芽衣の3人が見える

そこにドリンクと食べ物を持ったスタッフが入った──と思ったその時だった──


聡子「きゃあああぁーーーっ!!!」


ガッシャーンッ!!!


菜々「だっ、大丈夫っ??」


芽衣「…っ、聡子っ!大丈夫??」


店員「もっ、申し訳ございませんっ!!」


店員は何かにつまずいた様子で、持っていた3人分のドリンク、ポテト、お菓子などをすべて聡子にぶちまけた…

聡子は頭から3人分のドリンクをかぶり、濡れた髪の毛からソフトドリンクを滴らせていた─


─────


愛梨「……うわぁ…最悪…ぐちゃぐちゃ…」


愛梨「…もしかして…これが、1,000円分の仕返しってこと??」


愛梨「……あはっ…あはははっ…あははははははっ! 最高かも! 聡子、ぐちゃぐちゃ笑 いい気味だよ笑」


愛梨「…あ!評価と承認だったよね。もちろん、⭐️5の承認だよ!」


愛梨「おもしろかったな笑 癖になりそう笑

 ……え……?」


─動画の最後、店員がカメラ目線でニヤリと笑った 愛梨はカメラ越しにの店員と目が合い、一瞬店員に自分の姿が見られているような感覚を覚え、身震いした─


─そして─


この時、愛梨はまだ想像もしていなかった─ 自分が既に、決して関わりを持ってはいけない闇の組織に関わりを持ってしまったことに─


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