盲目の私は約束をした

ミギニール

第1話 後悔は先に立たない

 私の前には全てが広がっている。

 草原? 森? それとも海? もしかしたら何も無いかもしれない。

 それでも私にはどうしても見たいものがある。だから進むことにした。

 全てが広がっている闇の中を私はたった一人の案内人とともに。


「今更ですが本当に良かったのですか?」


 歳は20前後だろうか、はっきりと聞こえるさわやかな声。耳に心地の良い彼の言葉に私は笑顔で答える。


「ええ、私にはどうしても見たいものがありますから。ここに居てはその目標を達成する事など無理でしょう? それにもう帰る場所などありませんので。それよりも早く行きましょう。どちらに進めばいいのか教えてください」


 私は決して振り返らない。彼の指し示す先だけを進んでいく。

 そこに何があり、私に何が降りかかろうとも後悔はしない。

 何故なら後悔は先には立っていないのだ。もう振り返らない私には後悔なんてものはこの先訪れる事はない。


「ではここからまっすぐ道なりに進みましょう。足元にお気を付けください」


 彼の言葉に私は一つ返事を返し、ゆっくり歩き始める。

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