彼との夢物語。

白井 あい

出会い

  彼は、王子様みたいな人だった。

  初めての一目惚れ。

  大好きだった。

  あなたに出会えてよかった

  ありがとう。


  半年前、私は研究発表会に参加していた。運良く選ばれた私は、学校のOBやOGの方々の前で発表する機会を設けて頂いた。そして発表後、1人の男性に声をかけられた。

 「本当に凄いね。僕じゃ思いつかないや。」

 「え?!」

私は思わず声に出してしまった。高く整った鼻、ぱっちりとした二重、ぷくりと膨れた涙袋、そして日に焼けた肌。ドタイプだった。急いで返答した。

 「あ、すみません!すごく嬉しいです。ありがとうございます。」

 「ごめんごめん!驚かせちゃったね笑」

彼の笑顔に私の胸が高鳴っているのが分かった。そんな彼は、人気者だった。1人のおじさまが声をかける。

 「舜くん、久しぶりだね。国体の方は頑張っているかね?」

 聞くところによるとどうやら彼は、県で1番有名な選手だという。

  はあ、まじか。存在遠すぎるでしょ。

 

 この時の私は、もう2度と彼に会うことはないと思っていた。なんせ、住んでいる世界が違うのだから。

彼は、東京の大学生。私は、田舎の高校生。

彼は、「今」県1位の国体選手。私は、「過去」県1位の落ちこぼれ。

彼は、笑顔が輝いている人。私は、笑顔が似合わない人。


釣り合わない。だけど、だけど。

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