欲しいものを欲しいままに

あんちゅー

少しだけでいい

1人の人間の一生なんて、短くてくだらないもの。


だから私達は必死に生きている。


毎日の出来る限りを必死に


週末には辛うじて


毎月覚えられない日々を忘れ


年末には話の種に思い返す。


人間50年


そうやって人々が謳った時代から何百年


今では幾分長くなった時間の中で


手に出来るものは増えていて


変わったものは何?


変わらなかったものは何?


手に出来たものは何?


失ったものは何?


満たされた日々に、あの頃の人々の情動や熱気はどこかへ逃げてしまったのかもしれない。


充実した日々に


満たされた時代に


人々は満足出来ぬ人生を送っている。


それは必ずしも


人のせいではなくて


収入のせいでもなく


もしかすればこの世界のせいかもしれない。


望めば手に入るそれらが私達の欲望を奪い取って空っぽにしている。


まるで搦手で人を誘う魔女のように。


悪辣としたそれらは


人々の満たされた欲かもしれない。


欲しいものは欲しいままで


控えめに


恣に生きてしまえば


それは際限なく人を食い潰すことになる。


堕落し、欲に忠実に、理性など抑え込んで


怪物になるのも


襟を正し、理性的に、欲を取り込んで


人として生きるのも


許されているからこそ


少しだけ、少しだけを大切に



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