第2話 君を繋ぎ止める

次の日から私は桜並木が並ぶ道から登校していた。


「す〜な〜ちゃん!!」


いきなり後ろから元気な声で自分を呼ぶことに気づいた。


(あぁ…最悪だ。周りのみんなから見られてる。)


「もうっ!無視しないでよ!」


「…ごめんだけど。私、一人で行きたいから。」


私は冷たく突き放した。


(…たくさん声をかけたら、もっとお話してくれるかな!?よ〜し!絶対に仲良くなるぞ〜!!)


かなではガッツポーズをした。


周りの人(何だあいつ…やばっ)


そこからは時が進み、昼になり、下校時間になり、そしてまた朝が来て、昼が来る。

そこからの私はというと、彼女からの猛突撃を必死になって避けていた。


(いや、…なんかめっちゃ来るじゃん!かれこれ1週間続いてるぞ!諦め悪ぅぅ!)


そう実はここ1週間くらいはもうずっと、いきなり突撃からの猛振り切りの鬼ごっこをずっと続けていたのだ。


「あぁ〜!!いた〜!」


「はぁ、もういいか…何?なんでずっと追っかけてくんの?」


「おぉ〜!やっと話してくれるようになった!いや〜時間をかけたかいがあったな〜」

私の目の前には嬉しそうな表情を見せる彼女がいた。


「…で?何のよう?」


「いや〜もっともっと仲良くなりたくて、話しかけようとしたら逃げるんだもん。だからさぁ〜…」


「いや、そんな建前いいから。何か他に話でもあるんじゃないの?」


「…ふ〜んわかっちゃう?でも仲良くなりたいのも本音だよ?」


彼女はにこやかな笑顔を見せた。


「…ねぇ、なんであのとき一番最初に話しかけに来てくれたの?貴方の席の周りにはたくさん人がいたのに」


「あぁ、それはね。入学式で私が代表で前に出たとき、見たことない色の線が見えたの。なんだろ。なんとも言えない色の線の繋がりが見えたんだよねぇ〜」


(あぁなんか人の繋がりが線となって見えるみたいなこと言ってたな)


「で?それがどうしたの?見えたから何。」

「いやだから、それがうちらの間に見えたんだって!いや〜なんか運命感じたなぁ〜」


思い出して味を噛み締めるように語る彼女に飽き飽きした。


「そう、じゃあ帰って良い?早く家に帰りたい。」


「い〜〜や〜〜だっっっめ!今日こそは一緒に帰るよ〜!!いつもいつも見つけたと思ったらフェードアウトするんだもん。今は絶対に逃さない。」


(うわぁ目がかなり本気だ)


「まぁ良いよ帰ろ。」


「やっっった〜!!これから毎日一緒に帰るからねっ!絶対なんだもんね〜〜っだ。」


(ふふっ子供かよ。これもこれで楽しいかもしれない。)


その日の帰り道はいつもと違う感じがした。

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