嫁は肉体にいる
星耕雨読
エピローグ
行ってきます
「行ってきます」
そう言って写真の前で手を合わせて出発する。誰もいない家の鍵を閉め学校へと『大鎌』を背負って向かう。
俺、
「おはよう男やもめ」
「おはようご遺族」
こいつらは俺を馬鹿にしているやつらだ。だが、名前も知らない。覚える暇があったらダンジョンの玉石混淆な情報をすべて覚えるほうが効果的だ。
「おはよう病みっち」
「おはようスケベ」
こいつはある程度俺に理解がある悪友スケベ……下関佐之助。なんか知らんが急にお前病んでるから病みっちな!と言われたときは驚いたが、理解してくれた大切な友人だ。だが、とにかく変態だ。盗撮しようとして警察にお世話になるくらいには変態だ。変人くらいしか仲良くなれないのか……
学校についてもほとんど腫れ物扱いか、からかうやつしかいない。
「おい、闇雲止まれ」
風紀委員のなんだっけ?佐藤だか斎藤だか。
「どうしました安藤先輩」
「近藤だ!お前人の名前を間違えるとか舐めてるのか……それは置いといてお前指輪外せ。アクセサリーは禁止しているはずだぞ?」
「これは結婚指輪です。学校でもアクセサリー類は禁止ですが、この指輪は特別に許可を担任にはもらい今学校としての対応を会議中ですよね?」
「会議中?んなもんしらん!それに1年以上そのままじゃないか!嘘をつくな!それに、俺が駄目と言ったらだめなんだ。指輪の前は男女交際を堂々としてお前はいくら風紀を見出せば気が済むのだ!」
「会議しているという体で黙認してくれているんだと思いますね。ほんとありがたいですよ。それに先輩自分彼女と不純異性交遊したことないですよ。手をつなぐくらいしかしたことなかったんですから。」
これは事実だ。最期に別れのキスをしたくらいしか粘膜接触はなかったのだ。
「もういい!先生に放置していることを抗議してくる」
あ〜つかれた。ただでさえ、ダンジョンへ行く時間が短くなる忌まわしき学校で、精神的に疲れたら注意散漫でモンスターにやられて終わりだろうが。
俺は毎日ダンジョンに通っている。1年前にできたダンジョンという構造物。その中にはモンスターが居て、希少な宝石があり、中にはいると魔法などの特別な力が使えるというアニメのような世界が広がっていた。
ダンジョンの特性上死と隣り合わせのため18歳からというルールのせいで最近まで潜れなかった分早くダンジョンに慣れたいのだ。
学校が終わったと同時に教室を飛び出してダンジョンへ向かう。これがルーティーンだ。校門を出たらその瞬間から高校生ではなく、探索者なのだ。
「あっ攻略者様」「あ、イケメン」「サインください」
黄色い声が聞こえるが俺には玲歌しかいないからアウトオブ眼中だ。探索者なのになぜか攻略者と言われるが気にする暇があったらダンジョンへ。俺には玲歌とダンジョン以外頭に無い。対応している暇があったらダンジョンへ向かうが、探索者の場合は少しは対応する。探索者なら見返りに情報をもらえるからだ。
無事ダンジョンについた。今日はギャラリーが少ないな。これならすぐにダンジョンに入れる。
俺は、ダンジョンでとにかく敵を倒した。ドロップしたノーマルアイテムなど気にもかけずとにかく鎌で切り裂き続けた。今戦っている敵はレアアイテムがドロップしたことないため未知のレアアイテム以外は眼中にないのだ。効果の分かるレアアイテムに意味はない。未知のアイテムにしか興味ない。
あたり一面の敵を殲滅したがレアアイテムはドロップしなかった……生活費くらいにかさばらないアイテムを拾って帰る。換金所で換金し全速力で家まで帰る。愛の巣が待っている。それだけで世界新記録出せるのでは?と思えるくらいの速さで走れる。
「ただいま〜」
返事はない。写真に手を合わせる。ただいまから手を合わせるまでが、帰ってからの流れになっている。
換金した金で買ったコンビニ飯を食べ宿題を済ませたら、最新のダンジョン情報を調べる。あ、今日倒しまくってた敵のレアアイテム出たんだ。へぇ魔力アップね。いらね。明日は違うダンジョンの敵を殲滅するか〜ダンジョンのことを考えているうちに眠りに落ちる。いつものパターンだ。
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