第11話 絶体絶命

「君はどの廃墟にするんだぁい?」


「僕は廃墟の周辺を見回っています。何かあれば無線で連絡しますよ」


「はいはい、じゃあ仕事の時間だねぇ」


二人の男は別行動をする様だ。一方その頃。


「あー、小便したいし小腹空いちまったな、コンビニ行くか」


レイは寝袋から出てコンビニに向かった。近くのコンビニで用を足し、サラダチキンを買って公園に立ち寄る。ベンチに座りチキンを食べながらボーっとしていた。


「夜空が綺麗だなー、いつかはあの星にも行けんのかな」


足音が暗闇の向こうから聞こえてきた。


「んあ?」


「......君、少し良いかい?」


スーツ姿の男だ。エクソシストとも思えるが、スーツ姿だけでは判断が出来ないのでライガーは悩む。


「う〜ん、俺ね、知らない兄さんとは喋らないんだ、わりーな」


ショートヘアの黒髪で青い瞳をした、高身長でガタイの良い男だ。


「僕は正直者だから本音で言う。君、奈落じゃないのか?」


ライガーは焦る、何故ならミライさんやライガーに、絶対に目立つなと言われているからだ。エクソシストと戦うなど以ての外だ。


「.....なぁんでだよぉ〜、夜に公園にいちゃ奈落なのかぁ?」


「肉を食ってるな。こんな寒い季節なんだ、ピザまんでも奢ってあげるよ。だからコンビニに行こうか」


「く...!しつけーんだよ!エクソシストは警察じゃねーんだから職質すんな!」


「法が変わって今は警官の権力も有している、テレビを見ないのか?それとも、そうゆう環境にいないのかな?」


「どーゆう意味だよ!」


「ここから遠くない犬神神社という所で、役所の人間と警官が殺された事件があったんだ。その後何者かが住んでた家が突如空き家になった。近所の人が言うには「金髪の若い少年と犬が暮らしてた」そうだ」


「.......はいはい、で、金髪繋がりで俺ってか?!き、金髪ならそこらに沢山いんだろーがよ!」


「さぞ不憫だろうな。奈落なんぞに落ちる屑人間に飼われてた犬は」


「...あ?」


「飼い主は選べないからなぁ。いや、類は友を呼ぶとも言うから、飼い主と変わらないダメ犬だったのかもな、いや、これはただの独り言さ」


そう言い終わると同時にレイは鋭い爪でエクソシストに飛びかかったのだ。


「やはりか!フンッ!」


エクソシストは身をかがめ、低い姿勢からレイの顎を蹴り上げた。


「...!!!」


レイは空中でバク転をし着地する。


「俺はなぁ、俺を馬鹿にされんのはまだ許せる、でも、ポンタを馬鹿にしたてめぇだけは許せねえ!!!」


「悪かったとは言わんぞ。貴様は祓うべき奈落だからな。それに貴様如き、応援を呼ぶ必要もない様だ」


「ああ?!こちとら毎日ケイコしてんだよ!その判断後悔すんぜぇ!オラァ!」


レイは間合いを詰め殴ろうしたその時、赤い棍棒がエクソシストの手から瞬時に現れ、それで殴り潰された。レイは潰れたカエルの様に地面に埋まった。


「グエッ!!!」


「俺の天子は猫又だ、こいつは奈落へ怒りの鉄槌をくだす」


「知るかバーカ!!!」


レイは埋まった状態から勢いよくタックルをするが、棍棒で防がれてしまう。レイは咄嗟に棍棒を掴み、片手でエクソシストを殴ろうとする。だがエクソシストはその場で高速回転をし振りほどかれてしまった。


「クソが!これはどうだ!」


レイは地面を蹴り土煙をたてエクソシストの周りを回転し始めた。


「ほう、良い作戦だ」


「かわしてから偉そーな事ァ言え!!!」


エクソシストの周りは土煙で覆われた。その瞬間、レイはエクソシストの背後から飛びかかった。その時


「グッッッ!ハッ...」


レイは再び地面に殴り倒されていた。地面には深い穴が空く。レイの胴体はちぎれていた。


「ふぅ、惜しかったな奈落」


「(血を流し過ぎたせいで回復出来ねえ)...俺の名前はレイだバーカ...」


「そうか、俺の名前はシズクだ、お前が冥土のみあげにもって行けるのはそれだけだ。じゃあな」


再び棍棒がレイの頭上に振りかざされる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る