昔クリアしたRPGの世界に飛ばされた

まろまろ

第1話

 ここはどこだろう…

気がつくと俺は天国のような場所に立っていた。


 俺の名前は竹本 耕太。

28歳のサラリーマンだ。

平日は建築関連の仕事をして休日はアニメを見るかゲームをしているだけ。

平凡な生活で人生に少し飽きていた。


 そんな平凡な社会人がさきほど交通事故で死んだ。通勤中に歩道を歩いていたら車が急に突っ込んで来たのだ。運転手は飲酒運転か居眠り運転でもしていたのだろう。


 自分は70歳くらいに病気で死ぬと思っていたので驚いたが、人生に退屈していたのでまぁいいかと気楽に考えた。


 そんなこんなで天国のような場所にいて、目の前には天使のような女性が立っているのである。


「ここは天国ですか?」

俺は天使のような女性に話しかけた。

「はい、そうです。あなたは交通事故で亡くなり天国に送られました。私は天使のエミリと申します。」

「竹本様は生前の行いが良かった事や不慮の事故により亡くなられたという事でこの先の進み方を選ぶ権利があります。」

「どのような選択肢があるのでしょうか?」

俺はエミリに問いかけた。

「3つほど選択肢がありまして、1つはこの天国で永遠に過ごす事。2つ目はまた人間として生まれ変わり生活をする事。この場合は今までの記憶は無くゼロからスタートすることになります。

どこの国でどんな家庭に生まれるかは指定出来ません。」

「3つ目は異世界に送られるというものです。この世界は魔物なども存在するファンタジーの世界で竹本様は勇者として世界を救う冒険をすることになります。この場合は現在の記憶を引き継げますが、冒険者の身体でスタートする事になります」


 正直どの選択肢も魅力的であったが俺は生前人生に退屈していた事、アニメが好きで異世界ものを良く見ていた事もあり3つ目に強く惹かれた。

「では3つ目の選択肢でお願いします。」

「畏まりました。それでは異世界に送らせていただきます。始まりの冒険者の街からのスタートとなりますのでまずは街の中で色々な情報を聞いたり仲間を集めると良いでしょう」


 天使は手を俺の頭の上に乗せよくわからない呪文のようなものを唱え始めた。

これが異世界に送る為の儀式なのであろうか。


 突然目の前が真っ白になった。

気づくと俺は商店街のような場所に立っていた。


 だが俺は周りを見渡して驚いた。

それは今までに見た事がない異世界だから驚いたのではない。異世界のはずなのに何故か見た事がある景色だったからである。


「ここってサラペッタじゃないか?」

 俺は思わず一人で呟いてしまった。

だが勘違いの可能性もある。


 俺は確認する為に近くに立っていた女性に声を掛けてみた。

「すいません。私はこの街に着いたばかりなのですが、この街はなんていう名前なんですか?」

「ここはサラペッタという名前の街よ。」

「ありがとうございます」


 俺は女性にお礼を言ってその場を離れた。

この時確信した。俺が飛ばされた異世界は子供の頃にクリアしたRPGの世界だったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る