第149話 巨大不明生物(魔物) 上陸
『シンガポールに続き、香港に出現したドラゴンは港湾地域に多大な被害を齎してまたも姿を消しました。中国当局はこれに対し……』
『えー、今回もやはり巨大な魔物の発生した後にドラゴンが現れましたね。これはドラゴンが魔物を狩ることを目的として存在していることを意味していてですね……』
『ドラゴンの発生と、えーっと国際的にはなんて呼んでるんでしたっけ?
まーまー、なんかドラゴンがいきなりアジア圏に出現したとかで最近のニュースはそれ一色です。
いや、ニュースどころか……。
「ですから、ドラゴン出現前に現れる魔物の対処はこちらでやります。しかし、ドラゴンの正体も掴めない状態で魔法少女達を総出撃させるなんてリスクが高すぎると申し上げてるのです!現にフランスとシンガポールでは動員された魔力保有者にかなりの犠牲者が出ていますし、そもそも通常兵器でも対象にダメージを与えられるのは香港での戦闘で証明されているはずですが?」
ほら、シンガポールと香港ってフランスから海路で日中韓に来る場合の寄港地じゃないですか。なので、政府の上の方が日本襲撃もありえる!えらいこっちゃ!って大騒ぎしてましてですね?
「巨大不明生物に対する自衛隊の出動は前例がないから不可能って、魔生対にだってそんなものありませんよ。防衛出動に当たるか議論が必要って、怪獣王の映画と違って事前に備えられるんですよ!?その議論を今やるべきじゃないんですか!?」
はい、自衛隊が巨大な生物に対して出動するための法律が無いとかで魔法少女でなんとかならない?って話が来てるのをザマさんがぷじゃけるなよこの野郎って言い返してる所ですね。
いや、シンガポールは突然の出現で被害を抑えるのに必死だったみたいですし?しょうがないと思うんですが……。
香港襲撃は一部で予測されてましたし、そもそも中国には魔力可視化装置を渡してあるはずなんですよ。
国内のテロ鎮圧に手一杯で来るか来ないかわからない香港に防衛部隊を回してなかったとか、ちょっと色々不安になりますよね。
いや、実際に中国で
でも、一応大国の面目は保ったと言うか、ドラゴンに対して戦闘機によるミサイル攻撃が実行はされました。
……大半が空中に展開されたバリアに落とされるという、ドラゴンの脅威度を挙げるだけの結果に終わってしまったのが悲しいところですが。
一応ですね、バリアの隙間を通り抜けてドラゴンに命中したミサイルもあって、これはしっかりとドラゴンに損傷を与えました。
そう、通常兵器であるミサイルが効果を上げてしまったんですよ。
これによって、ドラゴンは魔物ではないって論調が強まっててですね。
対不明現象由来生物、魔物相手なら自分達しか有効な手段が無いので出撃しますって話で魔法少女を戦わせてる魔生対としては、通常兵器が有効である巨大不明生物相手にうちの娘達を矢面に立たせる理由あるの?って話になってるわけです。
めんどくさっ!
まあ、個人的に気になってるのはドラゴンの上陸地ですよね。
なんで船便の寄港地と重なってるのかって所ですよ。
つまるところ
なんて、ザマさんの執務室で激論を交わすザマさんを観察しながら先日買ってきた福岡銘菓ひよ子を頭からかじっていた所で……。
──神奈川、鎌倉市沖にて魔物発生。通常体、蒲……四肢と尻尾のある深海魚・ラブカに近い形状、ただし非常に巨体で複数人での対処を推奨します。魔力保有量も多く特殊能力を持つ可能性も考えられます。解析班からはチームセヴンスでの対処を提案します。魔法少女の皆さん、対応お願いいたします──
アナウンスと同時に、ザマさんのデスクのモニターに遠景で撮影された映像が映し出されました。
これ、どう見ても蒲t……いえ!四肢の生えたラブカ型ですね!
って、シン……な怪獣王の第二形態ですよね!?なんで第四形態上陸地の鎌倉を選んだんですか!?蒲田じゃ駄目だったんですか!?
っと、思わずツッコんでしまいましたが巨大な魔物が発生して海から市街地へ向けて進行しているのは対処しなきゃならない現実問題です。
解析班からもご指名頂きましたし、ぬるっと現場へ潜航して蒲t……四肢のあるラブカ型魔物の対処といきましょう。
人や建物が周囲に存在しない大型の魔物1体とか、本来であれば青杜さん、流星の魔法少女の独壇場なんですが残念ながら彼女は今アメリカですからね。
あとはまあ、巨大な魔物が発生したってことはお約束のように出てくるんでしょうね、ドラゴン……。
まあ、対処は実物を見てから考えましょう。
特に深く考えず、出撃のために退室しようとした私の手をザマさんがひっつかみました。
「スネ希、あんたは自分と魔法少女の子達の安全を第一に考えて動いて。魔物はともかく、ドラゴンを倒す義務は無いって事、理解してる?」
「わかってますよ。手を出さないってわけには行かないでしょうからどうしても戦闘自体は発生すると思いますけど、ヤバそうだったらすぐ逃げますから」
私が笑いながら答えても、ザマさんは手を離してくれません。
「ドラゴンは魔物じゃないんだから、拐うために無力化するんじゃなくて殺しにかかってくるのよ?実際、それで何人も死んでるの!だから、可能な限り水流崎さんの藤御簾の中から攻撃すること。良い?もし死んだらアンタの黒歴史全部ネットにばら撒くからね!?」
あ、これガチなやつです。というかザマさんが知ってる私の黒歴史は某サイトに誤投稿されてた小説の比じゃないんでやべーことこの上ないです。
「大丈夫ですよ。今の身体なら頭が無事なら内蔵がイっちゃってても平気なんでなんとか帰ってきますよ」
それでも不満げなザマさんの手を引き剥がして、笑います。
「お土産、希望はありますか?」
☆★☆
ということで、七里ヶ浜海岸?にぬるっと影から登場です。
いや、荷重がすごかったとです……。
理珠さん、ミラさん、エラさん、雛わんこの4人になったのはまあ、別に良いんですよ。
問題は……。
「ふあー!◯また君だよ!セヴンスさん!ミラ!あれどう見てもか◯た君だよ!」
怪獣映画から実物登場でめっちゃめちゃにハイテンションなそこのエラさんの装備重量ですよ!
なんですか魔力メーザー殺獣光線砲って!そりゃ、ドラゴンが生物だって前提なら傷口自体を焼いて血液等が飛び散らないようにする熱光線兵器は血液内の病原体等による汚染を防ぐ目的でもめちゃめちゃ有用ですけど!
さて、問題のラブカ型四足獣は……。
短い四肢で身体を引きずるように歩き、今海岸に到達したところです。
「ん、蹴ってくるね?」
そして、気楽な態度で走り出してあっという間に砂浜を駆け抜けてラブカ型の顎の下へと到達し、それを思いっきり真上へと蹴り上げる雛わんこ。
顎を跳ね上げ、真後ろへと倒れ込みながら弦楽器を引っ掻いたような鳴き声を上げる魔物……。
まあ、魔物自体は問題ないんですけどねぇ……。
どのタイミングでアレがやってくるかですよねぇ。
きらきらとおめめを輝かせて怪獣を見つめてるエラさんは置いといて、理珠さんとミラさんへ視線で突撃する旨を伝えると私も海岸へと駆け出しました。
とりあえず、著作権的によろしくないんでラブカ型の魔物には早めに退場してもらいましょう。
☆★☆★☆★☆
鎌倉から上陸する蒲田くん。
蒲田に上陸したから蒲田くんなのであって、鎌倉から上陸したら鎌倉くんなのでは?
というか、魔生対って名前自体シン・ゴジラの巨災対オマージュしてるよね?
というシン・ゴジラネタは置いといて……
対ドラゴン戦の前座です。
多分適当に雛ちゃんがべちべちやってたら終わります。
さて、対ドラゴン。ドリルさんが必殺すれば終わりでは?説に関しては次のお話で。
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