閑話 さあ、お前の罪を数えろ……なんてね?
『お、ワンハンドレッド、お前宛に荷物が届いてるってさ』
アベンジ・ストレングスことイザベルが魔生対から届いた小包をボクに放り投げる。
いや、中身が精密機器だったりフィギュアだったりベルトだったりして落とすと大変なことになる場合があるから丁寧に扱ってほしいんだけど?。
『ベル、あの箱の中に貴方が大好きな魔法使いのフィギュアやベルトが入ってたらどうするの?サクヤが掴みそこねて落として壊したら後悔するのは貴方よ?」
『Oh……確かに。コイツぁアタシの考えが足りなかったかもね。ごめんなワンハンドレッド、で、中身は何なのさ?」
ココさんにツッコまれて反省しつつも、中身を気にしてグイグイくるイザベル。
ふっふっふ、ボク経由で沢山マスクドライバーグッズを買い集めてるからね彼女。中身が気になるのもわかるよ。
『開封してみないとボクにだってわからないよ。というか、魔生対からボク宛って初めてだよね?』
ベルトやらフィギュアやその他諸々のグッズは魔生対側がチェックを入れるけど、基本はお店やメーカーさん名義で届くものだし……。
やや疑問に思いつつ開封してみると、中身は丁寧に固定されたピアスとが一つと、やたら分厚い説明書、あとウサギの落書きがされたメモ書きが何枚か。
……多分だけど、この分厚い説明書は雛ちゃんが書いた必要な情報を一文字も逃さないようにびっしり書き込んだヤツで、メモの方は白さんが使い方だけ書き出したヤツだと思う。
えっとなになに?このピアスは根源を二重に展開出来る強化アイテムで、ふむふむほむほむ……。
って、強化アイテム!?
いや、そりゃ魔法少女的にはなんだかんだ1~2回は強化変身があるものだけどさ?郵送で送ってくるのは風情が無さすぎないかな!?
と、ちょっと思ったけど、平成一期のマスクドライバーシリーズの強化アイテムもそこそこの確率で宅急便だったのを考えればボクはこの扱いでいいのかも。
あ、でも装備したら勝手に新フォームになるドライバー達と違って魔法少女は自分で強化フォームを作らなきゃいけないんだ?
いや、ボクは勝手に強化フォーム作れない魔法少女だからなぁ……。
まあ、色々試してみよう!
『サクヤに郵送で強化アイテムが届くって劇中まんまじゃね?ウケるwww』
『大丈夫?サクヤ、ピアス、自分で空けられる?』
事情を把握したイザベルは明るいブルネットの髪を振り乱して爆笑してるし、ココさんはちょっとボリュームの少ないボクの耳たぶをふにふに触ってくるし、ふたりともだいぶ遠慮が無くなってきたよね?
で、それから3日後。
ちょっと考え方を変えたおかげで強化の方はバッチリ成功。
まあ、ボクの場合は強化というかアタリの確率を増やすみたいな感じになっちゃったけどね。
あとは実戦で効果を確認するだけってなってたところに魔物の出現報告が入った。
『今回の敵は背中からマシンアームを4本生やしたよくある
望遠カメラで撮影された映像に映し出されてる魔物はでかいゴーグルで顔を隠したちょっぴり丸い体系の人型の魔物。ただしその背中から4本の機械の触手が生えてて、エンパイアステートビルの壁面をほいほいと登っている。
って、タコ博士じゃん!
うん、この国で魔物が発生するとそこそこの確率でコミックの
まあほら、日本と違ってこの作品の敵はコイツ!って固定されてる感じだからイメージされやすいんだろうけどさ?
さて、今日はボクの新しい力のお披露目かつアメリカで戦闘する最後の機会になりそうなんだよね。出撃枠譲ってくれないかな?
そんな事を考えながら、勢いよく拳を天へ突き出す。
ジャスティン大佐もボクの事情を汲んでくれたらしくって、今回はボクがメインアタッカー、ココさんがサポートという形での出撃になった。
メインアタッカーとサポートっていうのは、今回はビルの上かつ相手はその壁面を自由に移動できる
近接戦闘が強いメインアタッカーと、それをヘリの上からサポートするもう一人って形式での戦闘になるんだ。
あとは、可能ならビルから落下してもなんとかなる人を選びたいって感じかな?
え?ボク?今日のボクなら大丈夫だよ。だって、風が吹くからね!
☆★☆
ということで、エンパイアステートビルの屋上に居座ったタコ博士をヘリから見下ろせる位置までやってきた。
というかさ、なんであの
あ、タコ博士型は親愛なる隣人を最初に探して、見つからなかったら女の子を襲いに行くんだ?
うーん、残念ながらボクは親愛なる隣人でも地獄からの使者でもなくて二人で一つのマスクドライバーなんだよね!
とぉーう!
飛び降りながらピアスを弾いて根源を二重にしてから変身アイテムを起動する。
マニュアルにはなんか、長ったらしい変身の掛け声が書いてあったけどボクにはちょっと関係ないかなー。
とりあえず、屋上に着地する前に変身を済ませちゃおう!
取り出すのは緑と黒のUSBメモリに似た変身アイテム。
本来なら2人で変身しないと動けないマスクドライバーなんだけど、今のボクは根源が2人分だからね!あえて言うなら、一人で二人のマスクドライバーだ。
『
風と叡智を司る右半身と、切り札の具現たる左半身。中心から半分ずつ、メモリの色と同じ色のスーツを装着した姿に変身して空中からタコ博士に向かってキックを炸裂させる。
……なんとなくだけど、
おっと、登場時の決め台詞は忘れちゃいけないよね?
「さあ、お前の罪を数えろ!」
……なんてね?
ふっとばされたタコ博士はメカ触手をフル稼働して壁面にしがみついて落下を回避。
映画内でのセリフをランダムに喋りながら再度屋上へと登ってくるとボクに向かって突撃を敢行した。
4本のメカ触手を相手に素手じゃ流石に戦えないよね?ここはボクも武器が欲しいところだし、ぐねぐねする武器はこっちだって用意できるんだってところを見せなきゃ!
『
スーツが黄金と白銀へと変わると同時に、背中に装着された長物を取り外して構える。
「てやー!」
でも、流石に4本の触手と1本で渡り合うのは手数が足りなかったかも……。
『ワンハンドレッド!?』
ココさんがヘリの上から無数の鴉を放って援護してくれたけど、ちょっとだけ遅かったなぁ……。
雷の鴉が着弾したのは、鉄の鞭をすり抜けるように直撃した触手がボクを捕まえてビルの屋上から上空へと放り投げた一瞬後だった。
エンパイアステートビルの屋上は東京タワーより高い381メートル。普通の魔法少女じゃこんな高さから落下したんじゃ即死は免れないよね。
あ、そもそも夜なら空を飛んじゃえる吸血姫さんは別だし、鬼巫女ちゃんもなんだかんだ耐えられちゃう気がするけど、普通は無理だからね?
でも今日は、こうやってビルから投げ捨てられるまで想定の範囲内なんだよね。
だってほら、原作でもこのドライバーの最強形態は高所から落下する時に変身するものだからね!
浮遊感を覚えた時点で、通常時の最強形態であるXへと変身して……。
落下の風を受けながら根源へ、ボクの中のヒーローへと希う。
うん、これがボクの強化形態。
ヒーローがよりヒーローらしくなる根源の発露!
最強形態および、劇場版限定フォームへの無制限変身がボクの二重根源状態だ!
ベルトに受けた風が力へと変わり、黄金の力が体の底から湧き上がる!
展開されるのは6枚の翼!世界を壊す一撃さえも跳ね飛ばした希望の集合体!
羽ばたきは風を味方につけてヒーローに飛翔する力を与え、投げ飛ばした敵の様子を見ようと覗き込んできたタコ博士の胴体へと最強のキックを叩き込む!
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
黄金に染まった風が突き抜け、
うっわ、これ最っ高だよ!
今まで変身できなかったはんぶんこドライバーに変身出来たのも最高だし、劇場版でしか使われなかった必殺技を使えるのもほんと最高だ!
これは、帰ったら雛ちゃんをたくさん褒めてあげないといけないね!
って、ココさん!?ボクは無事だからヘリから飛び降りちゃ危ないよ!
いや、心配かけたのは謝るからってうひゃぁ!
翌日の新聞の記事さ。いや、ゴシップ紙ではあるんだけど……。
ボクに抱きつくココさんの写真でさ?
「マホウショウジョはレズビアンの集団」って、これ偏見酷くない!?
☆★☆★☆★☆
すまぬ100号ちゃん。偏見じゃないんだ……。
ということで、100号ちゃんの強化形態はWに変身出来るようになったのと劇場版及び最強形態への無制限変身です。
あ、あと、我が魔王で二重根源状態すると姫より強くなりますね?
お仏壇フォームの描写がめんどくさいので多分やりませんが。
ということで閑話含めて3期は完結です。
ちょっと構成失敗して長くなっちゃった感は否めませんが、この作品が処女作なんで許してクレメンス。
で、次回から第四期 魔法少女ゾンビ からみてぃ 開幕です。
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