いつか、竜の舞う丘で。

水浅葱ゆきねこ

「ならば巫子よ、勝利への報いとして我が願いを聞き入れよ」

 〈魔王〉アルマナセルは、王女から片時も目を離さず、地の底より轟くような声を放った。

 舞い散る淡雪のように白い肌、黒曜石のような輝ける髪、深い海のような藍色の瞳を持つ、炎の国の王家が宝、王女レヴァンダ。

 そう、はるか煉獄の王、人の心を持たぬ〈魔王〉アルマナセルですら、恋の翼に触れられることからは逃れられなかったのである。


               『フルトゥナの戦い・第三章~〈魔王〉アルマナセルは如何にして王女レヴァンダの心を射止めしか』より抜粋

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