第2話 説明回





 ことの起こりは、深刻な地球温暖化をはじめとする環境問題だ。


 人類は地球温暖化に歯止めをかけることができず、破滅への道をひたすらに歩んでいた。


 それを憂いた神々が作ったのがダンジョンである。


 ダンジョンからは様々な物資があり、それを求めて現在、ダンジョンに多くの人(通称、探索者)が潜っていく。


 もちろん、神々はそのことを推奨し、また多くの国々も探索者を支援している。


 だが、神々は地球温暖化の問題が解決したわけではない。


 神々はただダンジョンを作っただけなのだ。


 ダンジョンに湧いて出る魔物を倒し、その死体から魔石を繰り抜いたソレが、地球温暖化に拍車をけていたエネルギー問題を解決したのだ。


 それだけではない。宝箱から出るドロップアイテムには、多くの環境問題を解決するものがあったのだ。


 もちろん、環境問題とは関係ないものなどもでるため、比率的には10:1(後者が環境問題を解決するもの)と、少ないがどちらにせよ人類破滅の危機は遠ざかった。


 さて、これで人類の繁栄は約束されたと、そうは問屋が卸さない。


 定期的にダンジョンの魔物を倒さなければダンジョン内から魔物が溢れ出すスタンピードが起こる。


 普段、ダンジョンから魔物が出てくることはない。


 しかし、ダンジョンの魔物の数が許容量を超えると、ダンジョン外に魔物を放出する。


 そうなると、そこら一体は地獄と化す。神々は気まぐれで、人々に希望だけを与えることはなかったのだ。


 まるで、パンドラの匣のように、希望と絶望がダンジョンにはあるのだ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 それでは、この物語の本題に入ろう。


 第一話で散々なめにあった男がいたが、この男を貶すような者、擁護するものなどたくさんいた。


 それらは、このダンジョンにあるとある機能が関係している。


 ダンジョン配信。神々曰く『面白そうだったから』といった理由で付随されたこの機能だが、簡単に言えば、インターネット上(どういう経緯か知らないが神々が管理しているWebページ)に生配信という形で公開されているダンジョンを探索している人の様子を写しているのである。


 ダンジョンに入った一人につき一つ、配信の枠(アカウント)が作られる。これを偽装することはできない。


 ダンジョン内だけでの配信だが、逆に考えるとダンジョン内であれば一切機材なしで配信ができるというわけだ。


 探索に注力する人にとっては煩わしいものかもしれないが、配信者を目指す人にとっては垂涎ものであった。食いつかないはずがない。


 斯くして、ダンジョン配信はダンジョンが誕生して数十年、多くのユーザーを獲得するに至ったわけである。





 



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