1人の朝と友達

朝、起きてリビングへと向かうとそこには朝食と朝食の上に【朝食です。今日も頑張ってね。お兄ちゃんへ】と書かれていた。


その瞬間、とてつもない罪悪感を感じた。


俺はいつも心配をしてくれる楓に対して、感情に任せて自分の勉強不足のせいを楓に押し付けて怒鳴ったのだ。


それに気づいた俺は慌てて楓の部屋へと向かった。


ドアをトントンと叩くが中から反応はない。


「楓、いるか?」


そういうがやっぱり反応がない。


「入っていいか?」


やっぱり反応がないので俺はゆっくり覗き込んだ。


そこには楓はいなかった。


もしかして、俺のことが嫌いになって逃げ出してしまったのだろうか?


それとも何か用事があったのだろうか?


俺はいつもと違う静かなリビングに向かった。


いつもは朝食も楓と一緒に食べていたが、今日はいない。


少し冷えてはいるがそれでも味が落ちているということはないおいしい料理を食べながら、楓がいるということの幸せと昨日自分がしてしまったことに対する後悔を感じるのだった。



それからも俺が学校に行く時間になっても結局楓が帰ってくることはなかった。


本当に俺が嫌いになって出て行ってしまったのだろうかという心配を感じたまま俺は学校へと向かった。


教室へと向かう途中、靴箱の近くで人が集まって何かを見ているようだった。


俺は近づいてそれが何か確かめると昨日のテストの順位表と点数のようだった。


一位のところには栞の名前があり、二位には坪久田さんがいた。


ちなみに茜は十二位で俺はさらに下の三十三位だった。


茜はもともと百位くらいだと聞いていたのだが、ずいぶん上がっているようだ。


確かに最近は勉強を頑張っている様子だったから、当たり前か。


もしかしたら、栞が貴族じゃない人たちについたことから勉強でも勝ち徹底的に潰そうとしているのかもしれない。


俺はその4人だけ確認して、その場をさろうとすると後ろから

「楓!」

と俺を呼ぶ声が聞こえた。


その姿は見ていないが、声だけで誰が読んだのかはわかる。


それは栞だった。


栞は慌てた様子で俺に駆け寄って来た。


「あの大丈夫なの?」


「何が?」


楓はいつもの感じではなく心配しているような顔をしていた。


「あの、昨日顔色を悪くして早く帰ってだからもしかしたら抜き打ちテストの結果があまり取れなくて落ち込んでいたのかなって思って」


あぁ、そういえば昨日は栞を1人で置いて慌てて帰ってしまったのだ。


よく考えてみれば、かなり酷いことをしたな…


「うんん、それは気にしないで大丈夫だよ。最近全然勉強できていなかったから点数悪いだろうなってわかってたし」


「そうなんだ。でも、昨日の様子を見るとやっぱ気にしてるのかなって」


確かに気にしていないといえば嘘になるが、正直なところ点数より楓のことが心配であるというのが本音だ。


「まぁ、こんなに悪い点数取ったのは初めてだし、その時は少しショックだったけど、もう落ち着いたから大丈夫だよ。でも、組織のリーダーとしてもテストで一位を取らないとダメだよね」


「そんなことはないよ。リーダーもやってここまでいい成績を取るなんて他の人にはできないよ」


「ありがとう」


そうやって栞は俺のことを褒めてくれてはいるが、このままでは俺も納得ができない。


全部が中途半端はいけないのだ。


やるならなんでも徹底的にしなければ…


だから、これ以上に勉強も組織の基盤固めも本家機で寝る時間を削ってでもやり遂げよう


「それにしても茜の成績すごく伸びてるね」


「そう!今までほとんど100番台だったのにお姉ちゃん頑張ってたもん」


目をキラキラと輝かせて、まるで自分の成績が伸びたかのように喜ぶ栞を見て俺は不思議に思った。


「自分のことのように喜ぶんだね」


「だって姉妹だもん。姉妹の頑張りを喜ばない人なんていないよ」


「そう、だよな」


姉妹の頑張りを喜ばない人はいないか…


きっと俺がどんなに悪い点を取っても楓は俺を励ましたり、怒ったりするんじゃなくて褒めてくれるんだろうな。


楓は俺なんかとは違って中身まで大人なのだ。


「うん?どうかしたの?」


「なんでもないよ?」


それの顔に疑問に思ったのか、栞がそんなことを聞いて来たが俺はしらを切った。


「そうなの?でもなんかあったなら協力するからいつで言ってね」


「ありがとう」


その栞の優しさに俺は少し心が温かくなった気がした。

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