抜き打ちテスト

その日もいつも通り朝のHRが終わった。


俺は特にすることがなく。


久しぶりに教科書、ノートを開いて復習をしていた。


やっぱり、最近勉強をしていなかったものだから、わからない問題が結構出て来ていた。


「おはようございます」


そう声をかけて来たのは最初に組織に入らないか声をかけて、賛同してくれた中企業の娘さんだ。


「おはよう。どうかしたの?」


「いえ、今日は勉強をなさっていたので珍しく思いまして。気分を害してしまったなら申し訳ございません」


「全然気にしなくていいよ。最近ちゃんと勉強ができてなかったからね、やばいなと思ったんだよ」


確かに最近はあまり学校で勉強をしていない。


それは周りの人と仲良くなるためにいろいろな人に話しかけていながらだ。


「楓さんでもちゃんと勉強はなさるんですね」


「ん?どういうこと?」


「いえ、楓さんといえば勉強しなくても点数を取れる完璧な方だという印象がどうしてもありまして」


なるほど、いつも勉強してないのにテストでいい点をとっているからそう見えるのか。


でも、小テストは基本的に前日に習った問題ばかりだから、授業を聞いておけば取れるような気がするが。


「そんなことないよ。わたしだって勉強しないと点数は取れないよ」


「少し意外です。でも、そういう楓さんも素敵です。一緒に頑張りましょうね」


「もちろんです。頼りしています」


「じゃあ、わたしは自分席に戻ります」


「わかりました。お互いに勉強も頑張りましょう」


そう言って、俺は勉強も再開した。


周りからの視線もたくさんあったが、家ではあまりする時間がないので今のうちに頭に入れておこうと全力で勉強した。


やがて、チャイムが鳴り先生が教室に入ってくる。


しかし、先生はたくさんのプリントを抱えていた。


俺はそこまで気にしていなかったが、急に周りが騒ぎ出した。


「え?今日?」

「勉強してないけど、どうしよう」

「すっかり忘れてた」


などいろいろな声が飛び交っていた。


俺はなんのことかさっぱりわからず、周りをキョロキョロすることしかできなかった。


先生は教卓に立って、手を叩く。


「はい、静かにして。朝のHR始めるよ。日直挨拶」


「起立、礼」


「おはようございます」


そう言ってみんな座ると先生が


「じゃあ、まずに今日は抜き打ちテストの日です」


と言ったのだった。

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