もしも願いが叶うなら〜思ったことが口に出るので、とりあえず女の子のおっぱいを揉んでみせることにしたっっっっ!!!!〜
月影 弧夜見
恋の始まり、そして俺の終焉。
人間界より、魔術が扱える人間や、体術に長けた人間が選び出され、その人間たちで構成された『人界軍』。
その人界軍や、15才を超えた人間が就くことのできる職業である『勇者(冒険者)』らが、魔王の繰り出した魔族の軍勢である『魔王軍』と戦っている現在。
そんな現在において、現勇者でもあるこの俺、ガスは何をしていたかというと……
「おっ…………おっ、おおっおおおおっ……!
俺と、付き合ってくださいっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」
告白を、していたのだ。
2週間前、突如人界軍の『近衛騎士』、その団長の座に着いてみせた、レイ・ゲッタルグルトという名の少女に。
余談だが、この後この言葉は、果たされることなく終わってしまう。
———それはそれとして、なんでこうなったかって?
それは———数時間前。俺とそのパーティの一員は、冒険者として、未知のダンジョンの開拓依頼を受注していたんだ。
……その時のことだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「い~やあの、なんなんですかこのダンジョン。暑いんですけど、めっちゃ暑いんですけど。氷魔法ぶっ放してもいいですか?」
……そうだ。俺たち一行は、とあるダンジョンにまつわる依頼を受けている最中だった。
「やめてくれサナ! そんなことしたら面白くないだろ!」
「……ならな~んで……私みたいな超凄腕魔法使いなんかパーティに入れちゃったんですか……」
自分で言うあたりツッコミどころしかないが、逆らったら何されるか分からないのでこれでいいだろう。
……オマケに顔もチョー美人。360度、どこから見てもあまりにも美人すぎる顔だった。ぶっちゃけ一目惚れしそうなほどに。
ちなみにコイツと付き合う気はない。コイツは既に彼氏持ちだ。俺の予測によるとな。
彼女の名は『サナ・グレイフォーバス』。元々は別のパーティにいた魔法使いの少女だが、そのパーティがとある事情で瓦解したが為に、今は俺たちのパーティに入ってもらってる。
……もらってはいるが、はっきり言うと大抵の依頼はコイツ1人で片付くんだ。
なにせコイツは、超弩級(=超ドラスワーム級)とつくほどの、最強魔法使いだから。得意魔術属性は氷魔法と、幻術(幻想顕現魔術)。
コイツのもたらす氷の魔力の波に触れれば、それだけで身体の中から氷の結晶が出来上がって、相手の体を中から突き破ると言う。なんと言う怪談か。
まあ、そんな噂が若干広まるぐらい、強いし有名ってわけだ。俺たち冒険者———勇者の中では。
「ジェールズ、なんか……その、金属物とか探知に引っかかったか?」
「何も引っかからねえ……やっぱりこの霧のせいかな、兄貴……」
「魔術を阻害する霧……か、強い魔物が中に住み着いてそうだな、このダンジョンは……!」
今、俺が話しかけたのはジェールズ。
俺のことを『兄貴』だと慕う、年がら年中半袖の青いシャツを着た、肌の黒い大男。
そのおっかない体型とは裏腹に、意外と人懐っこくはある性格だ。突如俺のパーティに入れたサナとも、すぐに打ち解けた。
得意魔術属性は……なんか測定不能らしい。それも、既存の魔術の『型』に当てはまらない魔術が得意らしくて……それこそ、今やってる『探知』とか。
敵性を持った魔物や、なんか貴重そうなものに当たるとピリッと来るらしい。こう、ピリッと。魔術使いならみんなできる『魔力反応の探知』とはまた違うものだ。
「…………でもさ、霧なんてどう払うのよ?……私の氷魔術で強引に吹き飛ばす……なんて、そんな芸当はできっこないわよ。
いくら私が、超弩級ウルトラスーパー最強魔法使いとは言え、ね!」
「できそうにないのならそんなに強がって言うな……
……と言うか、今が俺の得意魔術の使いどきだろ!
スモール・サイクロンッ!」
そう俺が口走った瞬間、狭い洞窟内の通路に、真後ろより突風が吹き荒れる。
そう、これこそが俺の得意魔術属性、風属性魔術だ。
どう言う魔術かと言われると……簡単だ。その場に風を起こす、ただそれだけ。
魔術そのものが『使用者のイメージに合わせた事象を、魔力を引き換えに再現する』なんてものだから、魔術本来の用途にかなり近い魔術とは言えるものだ。……しかし、実戦で使うにはあまりに弱すぎる。
……実戦で使わなくとも弱いし、使い所がないのがこの魔術だ。ジェールズのようにダンジョンで使えるものでも、サナのように敵を氷付けにできるわけでもない。
……俺だけの、無価値な、魔術。
だからこそ。
「おぉっ?! 見える……見えるぞ、後ろの方からそそ~っと……!」
そう、俺はこの魔術の最適な使い方を探した。その果てに! 俺が見つけた最強の使い方!
それはっ!!!!
「……ふう、だいたい収まってきたわね、霧も晴れたし、そろそろ進みま…………しょ……?」
「あ、あ、は、はは、別に見てたわけじゃないんですよ、こっちは後ろから襲いくる突風からあなた様を守ろうと———盾になろうと思って、後ろに……」
そう、この風が吹き荒れている間に。
女の子の
パンツを!
覗くことを、覚えたのだっ!!!!!!
王都でやった時は完璧だった。突如吹き荒れる突風、誰のものかも分からないまま、ひたすらにスカートを抑える女性たち……しかしっ!
しかし、俺の眼は確実に、そのスカートの下にあるパンツを! 確実に捉えきっていた! それも、見た本人にバレずに!
……だからこそ、今回だっていける、と思ってしまった俺がいたらしい。
何より、今回ばかりはあまりに自然な流れだった。絶対にイケる、俺ならばイケると思ったんだ。
「……なんで、私の、後ろに、いるんですか?」
「……だから、言っただろ? お前を突風から守ろうとして———」
「なんで、姿勢を、屈めてるんですか?」
その笑顔が恐ろしい。
「……その、スカートを———守ろうとして」
胸を張って、キリッと言い切ってみせた。
「見た?」
「見てません」
白状したところ、視界が白に包まれる。足の方から、指の先から徐々に感覚が途切れていき、全てが断線する。
「や……やべ、やべ……て……見ました……見るつもりでじた、だからやべて……」
「言わなかったら、そのまま氷付けにしてぶっ殺してたわよ」
冷たい声だ。本当に、どこまでも冷たくて、聞いているだけで凍りつきそうな……現に凍りついてるけど。
「……二度と、しません……誓って、魂に……誓います……!」
一瞬だけだが、この体にかけられた氷魔術。
その余波にふらついていた俺に、突如としてソレは降りかかった。
ガチャン、と。
まるで何かが落ちるような、そんな音がしたのだ。
「……兄貴ぃ、それ……」
「ねぇ、ガス?……あなた今……何踏んだの?」
「え?」
足の感覚がマトモにない状態の俺が気付けるはずがなかった。
今俺が足で踏んだ床が、このダンジョンの罠だったことを。
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