第224話 3回戦!
俺が主攻…
ちょっと緊張してコートに入る…。
4点差程度の均衡してる状態はすぐにひっくり返る。
向こうもなんか手を打って来るだろう。
…キャプテンのマッチアップの相手が変わった?
交代で入った選手は守備的な選手。
キャプテンにピッタリくっ付いて離れない。
…アレは剥がすの大変。疲れるわストレスだわ。
そしてボールが俺の手元に収まる。
相手の4番がジッと俺を見ている。
俺は左サイドに展開しつつボールを保持。
みんな逆サイドの右側へジリジリ移動している。
キャプテンや康司はこれ見よがしに目立つ動きで相手の気を引いてくれてる。
…この1on1勝てれば一気に戦況が変わる…。
視線は皆んなを見つつ…パスフェイク!からのドライブで相手の左側!アウトしちゃいそうなほどギリギリを抜く!
内側は警戒するし身体入れてくるけどサイドギリギリは抜かれてもワンチャン追いつければ…!って感じあるよね。
二歩抜けた!相手も追い縋るけど…カットインで追いつかれる寸前!こっちも二歩内側に入りつつジャンプシュート!
ぱしゅ!!音を立ててゴールネットを揺らす!
『…っ!』
小さくガッツポーズが出てしまう!
やった!初回で決まったのはデカい!
これで相手はドリブル→シュートの流れが頭から離れないだろ?
三年生『ないっしゅ!』
三年生とハイタッチ!
キャプテンも離れたとこから笑顔で頷く。
『…康司。』
康司『おう。』
『目離すなよ、早いパス出す。』
康司『楽しみにしてる!』
相手ボールで再開、4番の形相が変わる…。
4番は対抗するかのように俺に1on1で突っかける!
…きっと責任感が強いのだろう。
自分で取り返さなきゃ!って気迫がビリビリ伝わる。
こっちのゴール前に展開する相手チームのプレーヤーにこっちもマンツーマンで付いている。
ここで止められれば1番だけど決定的な隙さえ見せなきゃウチも守備は強い!
パス出しても寄せが早いからコースが無くて4番に戻されるボール。
4番も自分で持って行くことを選択。
ドリブルかワンツー?
ドリブルだ!
低く低く俺にボール取られまいと早い切り返しからのドライブ!
伸ばした手がボールにかする…!
溢れた!
俺にとっては進行方向、4番にとっては自分の後ろにボールが溢れた!
振り返り走り出す4番よりも身体の正面にあるボールだから俺のが早い!
うちも去年はまで速攻を得意としたチーム!
俺がボール持つとカウンターの気配濃厚で皆んな走りだす!
俺がボールを収めて、エリアに侵入!
すぐ横に4番!
目線でパスフェイク!
4番がフラれたとこでやや遠目だが…!
再びゴールネットを揺らした。
チームプレイは大事!間違い無い。
それでも一対一で勝てるように積み重ねた鍛錬。
この一年どれだけ鍛錬とトライアンドエラーを…
…この一年思い出すとバスケ以外の辛酸を舐めた日々ばかり思い出される…。
第二Qは俺のアイソレーションが効いて優位にゲームを進めた!
一応10点差をつけたが相手も諦めてなんかいない。
44-34
スコアより拮抗している試合だった。
愛莉『宏介くん!上出来♪』
『ありがとうございます…でもキャプテンや康司が囮になってくれてるのが効いてます。』
みんなそれは当然のこと、宏介がひとりでぶち抜いたから!
って盛り上がる。
愛莉『うん!第三Qもこの調子でね?
多分相手は宏介くんを【エース】と思って対策、訂正してくるよ!
ここまでドリブルとシュート見せたんだから…わかるよね?』
『…パスが活きる?』
愛莉先輩はにっこり笑って、
愛莉『打てば響く!
もう♡宏介くんには言わなくても伝わっちゃうね♪』
キャプテン『…そういう事だ。
…緩急付けつつ、そろそろ散らしていけ。』
※ローテンション
キャプテンはすごい。
試合中は熱くなるものなのに時々こうやって急速冷凍というか…賢者のようなクールさを醸し出す…。
チームのバランスとってるのか?
繰り返すが本当にキャプテンはすごい。
第三Qで流れはウチに来た。
ドリブル、シュート、パスどれか絞れない4番のフォローに向こうもポジションをずらす。
そうしたらパス通し放題!
4番の不調はチーム全体に飛び火する。
…俺にもそういう時が来るかも知れない。
心してプレーしなければ…。
康司とキャプテンがイキイキしてる!
第三Q終わって点数は68-48で勝ってる!
点差が付いて追い上げようと焦るとさらに失点してしまう負のスパイラル。
相手チームはそれでも足を緩める選手は居ない。
熊田もキャプテンも交代した。
康司が意外にもスタミナ保っている。
アイソレーションで第二Q第三Qは抑え気味だったので余裕があるらしい。
アイソレーション気味で俺が中央でサイドに2、2で流れてる。
4番の横をドライブで!速度上げて!
ってとこで急ストップ!
体が振られる4番は俺を止められない!
俺は康司に早く強いパス!!
それを康司はわかってたから抜け出して綺麗に決める!
康司『宏介!』
『…康司。』
ぱん!!って鳴るほどのハイタッチ!
康司『ナイスパス!これはシュート決まるわ!って感触のパスだった!』
俺は頷く、承見てたかな?
承から吸収したストップからのアシスト。
今日の4番との1on1でも承から学んだフェイクや技法が取り入れられてる。
承はバイト仲間や青井と3on3をしてるけど一対一の場面が多くてゴール下以外はボールを運ぶためドリブルとパスの技法が必要でストリートバスケっぽいフェイントや小技を承から幾つも教えて貰った。
…もちろん俺もお返しに色々教えている。
昨日の東光戦…もし承が向こうのチームに居たら燃えただろうなって昨日ずっと思ってた。
康司も会心のシュートだったらしく、
康司『…今のすっげぇ良かった。
二宮さんとか見に来てないかな?』
康司は客席を見回す。
ふふ、二宮さんは別会場の永瀬さんたち女子バスケ部の試合見に行ってるよ?
俺も釣られて客席を…承!承が居た!
楽しそうにニコニコして!紅緒さんも顔真っ赤にして!
最前列で承と紅緒さんが手を振ってる!
もう恥ずかしいなぁ。
俺も嬉しくなっちゃって承たちに小さく手を振る。
すると、勘違いしたのかな?
それとも自分に手を振ってるように見えた?承の座席の隣の女の子がこっちに手を振ってる…?
…皐月?
…ゆかりさん?
グニャって視界が歪むような感覚…。
俺はガクってバランスを崩した。
康司『宏介気をつけろ?宏介?
顔色わっる!』
タイムアウトが取られて俺は次戦もあるから交代…
…助かった…。
俺は無表情にベンチに戻る…
お疲れ!良かったぜ!今日のMVPじゃね?皆んな声をかけてくれる。
愛莉『宏介くんお疲れさま♪
宏介くん?…大丈夫?』
『…っす。』
いつもは心の準備が出来ている。
最寄り駅で会うかも?学校内で出くわすかも?
想定して、心構えして…それで普通にしている。
…会うはず無いところで急に出くわすと…なんて言うか…まだショックを受ける自分が居る。
そんな自分を変えたくて学業も部活も頑張ってきたのに…
…俺はまだ克服出来てはいない…。
ホイッスルが鳴り、試合は北翔の勝利。
これで3回戦突破。
午後の試合まで結構時間はある。
承に会える嬉しさと言いようの無い不安感が胸の中で渦巻いていた。
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