第187話 存在感?【side天堂愛莉】

田中『本当ですか!先輩ありがとうございます!

僕…彼女欲しいんですけど女の子に存在を認識されにくいみたいなんです…!』



『…そ、そうなんだ?』


ちょっと想像と違う方向のベクトルの相談に私は声が出ない…。

存在感?認識?


『そうだね…好きな娘が居るなら?

やっぱり認識して貰う為にアピールが必要なんじゃ無いかな?

もちろんし過ぎても良くないよね。』


田中『好きな娘は居ないんですけど…愛莉先輩は僕の印象どうでした?』


印象?!印象…?


『…宏介くんの友だちの目立たないメガネ掛けた男の子って感じかな。』


田中『やっぱそういう感じ…。』


田中くんは考え込む。


『いきなり全部あるがままを受け止めてもらおうって言うのはちょっと無理がある。

普段からさりげない気遣いや優しさ、身だしなみや清潔感に注意しておく必要あるね。』


一般論だよ、でもそれで良い気がする。


田中『例えば?身近な例ではどんな?』


『…例えば宏介くん…。

私を始めマネージャーがなんか運んでいる時とか作業してると黙って自然に手伝ってくれたり持ってくれる。何も言わないか、『どこ持っていきます?』とかシンプルに!

身だしなみだと…部活で汗かくからデオドラントとかキチンとしているけど部活後シャワー浴びたあとは爽やかな香りのフレグランス付けてるよね。

何気に部活で使う小物もおしゃれさんだったり…。

他には…そうだね、頑張って結果出すところかな?

勉強も特進入ったし、部活だってレギュラーになり活躍する。

それってやっぱり格好良いよね。女の子ってそういう所キチンと見ている娘多いよね。』


田中くんはニコニコして、


『全部宏介くんの良さですよね?

なるほど…参考になる!

愛莉先輩は宏介くんの評価高い!』


あ、あ、あー!

恥ずかしい!やっちゃったよ!


『一例なの!田中くんの身近で!説明がしやすい男の子でしょ?』


田中くんは微笑みながら、


田中『羨ましい、愛莉先輩にそこまで言われるなんて。』


『宏介くんは初心者で入って来て…私の指示やトレーニングを文句も言わずにこなして想像以上の頑張りを見せてくれた。

それを側で1番見てたのはわたし。

だけど…三島さんやゆかりちゃんの時何もしてあげられなかった。』


黙って聞いてくれてるから続けるわね。


『でも、宏介くんは私が差堀先輩と別れた時すっごい親身になって話し聞いてくれたし、気分転換にも付き合ってくれた。

こういうタイミングって大事なのかもね?』


田中くんは頷きながら、


田中『そうですよね。

良いことでもタイミング悪いと裏目に出たり、何気ない事が沁みたり人間って感情があるから…。』


『田中くんはそれがわかってる。それなら大丈夫じゃない?

次は本当に好きな娘が出来たら相談にいらっしゃい。

出来るだけ相手の娘の情報を持ってきてね?

お姉さんが分析して出来るだけ詳細なアドバイスするよ?』


田中くんがはにかんだ表情で、


田中『そうですよね、彼女欲しい!じゃなくって好きな娘に彼女になって欲しいが先ですよね。

その時はしっかりリサーチして相談に行きます!』


『でも盗撮とか絶対ダメよ?』


田中『…ふふふ、多分大丈夫です!』


心配だなぁ…?

その多分って発覚しないから!とかじゃないよね?


『ちなみにどんな娘が好きなの?』


田中くんは少し考え込んで…。


田中『美人で可愛くて性格が良くてお料理が上手くておp…』


『それは誰でも好きよね?』


流石に聞いてられないよ!

そういう所じゃないかな?


『好きになっちゃうとその娘がタイプになるんじゃ無い?』


田中『なるほど。』


そのあともたわいも無い男女論を交わした私と田中くん。

誰も居ない体育館に話し声だけがする。


田中『図らずも美人で性格の良い女の子とふたりきりで緊張してきました。』


『ごめんなさい。』


田中『ひどい!』


ふふふ!笑い合う。

最後に田中くんは真面目な顔で、


田中『今までのアドバイスを放り投げるようなお願いなんですけど、マジで誰か紹介してください。

愛莉先輩のオススメなら間違いないです。』


…難しい事を言うね…。

人を紹介するってしがらみや後の事考えるとよっぽどじゃないとトラブルになる可能性すらあるんだよ?それを伝えて、その上で合いそうな子…。



『身長は高めかな?勉強も結構良い方だし、部活も頑張ってる。

陽気で面白いし結構顔立ちも整ってる子…。恋人募集中だしね…。』


田中くんは乗り気…!


田中『え?良いじゃ無いですか?そんな子が…!是非!

愛莉先輩!お願い!紹介して!』



『康司くんって言うんだけど…。』


田中『知り合いだよ!宏介くん通してもう知り合ってるよ!

康司くんが僕の変わりに3対3でキャッキャウフフしてるって言ったじゃないですか!』


ふふふ!ごめんごめん。

からかっちゃった。


『ごめんごめん。

からかっちゃってごめんね?

?』


田中くんは呆けたような顔で、


田中『ほえ?』


『透くん♪』


田中『もう一回!』


『透くん♪一緒に帰ろう?』


田中『すごく良い!もっと!』


『ふふふ!これ以上は彼女作って彼女さんに呼んでもらいなさいね?』


田中『美人から名前呼び…破壊力ありすぎ!』


田中くんは改めて彼女欲しいって思ったみたい。

見つかると良いね?君にぴったりの娘さん♪



☆ ☆ ☆

タカサト ユウさんリクエストの田中くんが愛莉先輩に彼女が欲しいと相談するお話しでした。

前回の3対3から外された事の恨みから始まる愛莉先輩への相談会で宏介の頼みもあり愛莉先輩の『手紙』の件で様子見ておいて?って頼まれ見に来たって経緯があります。


そして折角だからこの機会に田中くんに名前が付きましたw

田中 透《タナカトオル》くんです。

名前の響きや彼のステルス性といいすっごいしっくりw

仲良くしてあげてください(笑)


なお172話のコメントの

@anotherbloodsanさんの投稿を採用しました。

毎回これですがよろしければリクエスト権を進呈したします。

リクエストありましたらコメントにて応相談致します(笑)

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