第161話 ごちゃごちゃ

小佐田『…一昨日の朝、早めに登校したら斉藤くんの靴箱になんか入れてる人…女の子居たけど?

告白とかされたの?』


小佐田さんからもたらされたのは意外な情報。

俺は慌てて振り返る!本当?!

口を開くより早く、


『…なんか違う?

告白されたとかじゃそんな切迫詰まったリアクションはしない…?

何かあったん?』


涼の前じゃしない冷静な顔、人を見抜く冷たいと言っていい目線…。

俺の勘は間違いなくこの娘なんか知ってるって警鐘を鳴らす。

なんでだ?そこまで深く関わり合いは無いし、知り合ったのも秋だし割と最近だよ。

出来るだけ表情に出さないように、


『…実は俺今ちょっと困ってるって言うか?気に掛かってる事あってさ。

小佐田さん?知恵貸してくれない?』


少し微笑みながら俺はお願いしてみる。

…勘が外れても彼女はキレる、絶対に力になってくれるはず…。

…最悪は彼女が警告してきた犯人、投稿者で俺はいいように誘導されてしまうことが怖い…。

でも情報が少なすぎる今は迷ってられないだろ。


小佐田さんは困った顔して、


小佐田『…うーん。私今案件抱えて忙しくって…。

ちょっとね?』


小佐田さんは渋った。

怪しいって思いが急激に強くなる。

それを口に出す瞬間、



小佐田『…詳しくは田中くんに聞いて?私色々処分しなきゃいけなくて…ね?』


小佐田さんは向こうから涼が来るのを見つけてそちらへ移動しながら、


小佐田『そっちが終わったら協力する。

…涼が気にしてるからだからだよ?勘違いしないでね?』


小佐田さんはニコニコ去って行った。

わかんない、まったくわからない。


敵なの?味方なのー?

明日涼とご飯食べに行く約束しているんだが…相談してみようか?

…とりあえず小佐田さんの言う案件を田中くんに聞く事が先決だ。



☆ ☆ ☆

田中くんは汗をかきながら目を逸らして、


田中『いやぁ?あのね?別に秘密にしてたわけじゃ…。』


田中くんが言うには、あの九頭くん…が色々やらかしていて?

成績も悪くなんとか2年に進級したけどそろそろ調子に乗ったあの屑を…ふふふって笑っていた。


田中『それで?僕が撮影した、内偵した証拠で小佐田さんが…。』


脚本、演出、主演小佐田恋

撮影、構成 田中

ってタッグプロジェクトを進行してたって…全然知らなかった…。

何それ大丈夫なの?


田中『うん、小佐田さんと利害一致したから協力する事になった。

宏介くんに黙ってた訳じゃないけど…言いそびれてしまって…ごめん。』


…きっと、ゆかりさん絡みで俺の代わりに九頭を…。

ふう、俺はため息ついて田中くんに気を使わせたって謝る。

田中くんも謝りながら、小佐田さんは怖いし、正義の味方では無いけど自分の芯を持ってる子で味方なら心強い娘だよって断言した。


様子を見て、必要なら小佐田さんに相談しようって事になった。


☆ ☆ ☆

北翔への招待   side立花望


テニス部顧問『のぞみー!あんた宛に手紙!』


私は中3になった。でも別に変わらないよ!

ノリノリで歌いながら受け取る。


『望ちゃんたら読まずに食べた♪』


た♪で横の親友sに振る!


親友1『しーかたが無いのでお手紙かーいた♪』

親友2『さっきの手紙の♪』

親友3『コンソメ味無い?』


芹『オチ弱く無い?』


ゲラゲラ笑って部活中に顧問から受け取った手紙を開封する。

送り先は北翔高校だったけど…?


あたしが読み進めると…それはテニス部の練習招待の手紙だった。

強豪校だから夏に向けて忙しくなる前の春のうちに特待生候補の中学生を招待して一日練習、設備見学をランチ付きで招待してくれるのだと言う。

受けない理由が無い。希望者は返信後月末の日曜日に北翔高校で練習参加になるらしい。


望『先生!あたし行きたい!手続きお願い!』


私は一も二もなく参加を決めた!

特待生じゃ無きゃうちは私立なんて行けない!

北翔は去年から声かけてくれた、感じ良ければ最高だよね!


部活の帰り道、

親友sは私を心配していた。


親友3『望ひとりじゃ心配…。』

親友2『…猛獣だし…。』

親友1『確かに…。芹着いて行けないの?』


揶揄うでも無くまじ心配してる?そんなに心配?

あたし普通のJCだよぉ!


芹『手紙には練習参加者のみの招待だからね…。付き添いや飼育員は入れないよ。』


『飼育されてねぇわ!』


キャッキャ笑いながらの帰り道、毎日楽しいけど遂に中学生最後の年になっちゃった。

2年前に香椎先輩や兄ちゃんが皆んなとの思い出にこだわってどんなイベントも一生懸命に頑張ってた理由を感じる。

…わかってたつもりだけど今痛感している。


部活も学校イベントも受験も精一杯やりきりたいよね?

芹たちとそんな話しをする事が増えてきた。

まずはこの練習招待上手く行けば一気に進学(特待生入学)有利じゃない?そんな前振りされるから、


『手始めに進学先になる(予定の)北翔になぐりこみだー!』


芹『北翔志望の子に迷惑かかるから!』


『わかってる!同じ特待生候補どもをぼっこぼこにしてやんよ!』


親友3『…心配だよぉ、でもめっちゃ見物したい。』

親友1『わかりみ。』

親友2『望の空気読んだ上でおじゃんにする絵が見える(笑)』


芹『わかってない!

大丈夫かな?行儀良くして行って欲しいけど…。』


親友1『望、絶対他の特待候補に引いちゃダメだよ!』

親友2『…日和って愛想良くする必要も無いし!』

親友3『望の好きなアレでしょー?』


『退かぬ!媚びぬ!省りみぬー!』


芹『それ悪い人のセリフでしょー!』



5人で笑い合いながら家路に着く。

今日もいっぱい笑ったね?

そうだ!月末まで時間あるから宏介くんに北翔のこと色々聞いてみようっと!


あたしは中3になって早々早速進路に影響するイベントが発生した!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る