第115話 突然の接触

バレンタインも終わり、2月も下旬。

いよいよ3学期の期末試験が近づく。


3学期の試験を前回程度取れれば2年生に進級時特進クラスへ入れる。

現在2年生で特進クラスの愛莉先輩から特進に関する事色々聞いてやっぱり入りたい。

大学受験に有利な事が多く、特典も多いし。


正直する事は変わらなくって、勉強と部活の両輪を回し続ける日々なんだ。


そんな中、俺は呼び出された。

朝、ご丁寧にシューズボックスに手紙が入ってた。

…なんだろ?


一日中その事が頭をよぎる。

なんかボコられる?それとも告白?それは無いか(笑)

相手男だし。



放課後、屋上。


そこには見知った顔があった。


差堀『…宏介。』


『差堀先輩?』


お前指定校推薦取り消されて、ランク下げた大学受けてその結果待ちでしょ?

俺に構うヒマなんて無いでしょ?


差堀はいつに無く真面目な顔で、


差堀『お前さぁ。俺に憧れるのはわかるよ?』


『ちょっと何言ってるかわからない?』


のっけから食い違う会話。

俺と差堀似た言語だけど細部が違うみたいなヨーロッパ圏の言語みたいに共通項があるけど語尾や発音やニュアンスが違うみたいな言語の食い違いでもあるのかな?

例 Henry(人名)

英語読みだとヘンリー、フランス語読みだとアンリ、ドイツ語だと語尾足してハインリヒ みたいな。


差堀『聞いてんだよ!お前最近…いや結構前から愛莉と近いだろ!

愛莉は俺の女だ!』


エキサイト差堀。

近いけど…別にナニがあったわけじゃ?


『愛莉先輩は誰に対しても優しいし、近いですよ?

俺は個別メニュー組んで貰ってます。』


最近愛莉先輩は姉!って主張してる。

なんで姉なんだろう?


差堀『お前がいつも愛莉に近いって聞いてるぞ!

お前、俺に勝てないからって!』


『いや、先輩に負けて無いですし?』


イラついて言っちゃった。

俺は続ける、

こんな練習不足で必ずスタミナ切れ起こす選手に言われたく無いし、

指定校推薦を取り消しになって三流大学すら怪しい先輩に言われたく無いし、

愛莉先輩ほどの良いお嬢さん居て浮気して下らない犯罪ひっかかる男に言われたく無いし。


差堀はキレながら、


差堀『…てめぇ。事実並べてどうゆうつもりだ!』


『…事実だってわかるんかい。』


思わず突っ込んじゃった。

差堀はとにかく愛莉先輩執着してて、着拒で学校でしか会えない!

家行くとお手伝いさんに冷水浴びせられる!ってぐちぐち言ってて。

なあ、宏介どうしたら良いと思う?とか俺に聞く始末…。


『せめて、大学受かってからアプローチした方が良いんじゃ無いですか?

出来たら良い大学…?』


とりあえず不可能な事を言って?言外に諦めた方が?って伝えるけど、


差堀『…確かに良い大学受かれば見直してくれるか?

…いや、愛莉なら良い大学目指すって言ったら応援してくれないかな?』


くずだなぁ。

言外じゃダメだねこの人には。


『…先輩、愛莉先輩だってもうじき大学受験なんです。

…そこ考えてくださいね?いや迷惑かけるなって言ってるんですよ?』


多少圧をかけて言う、


差堀『…。俺と愛莉のことだ。

お前に言われる筋合いは無い。』


は?こいつマジ自分勝手だな。


『愛莉先輩が嫌だって言ったらバスケ部はみんな愛莉先輩の味方ですよ?』


差堀はそれはどうかな?って顔で、


差堀『俺に味方する奴、尊敬してる奴も多いはずだぜ…?

お前らは俺を追っているかもしれないが、

お前らが見てる場所に俺はもう居ない!』


『見てないし、大体斜め下に居る感じですよね?

わかります。』



差堀はやれやれって肩をすくめて出て行った。

…あれ本当に卒業後進学先が絶望的な高校3年生なの?

何にそんな自信があるのだろうか?

差堀と話すと自分の感覚がエラーを起こすから本当に嫌だ。


そもそも、あいつ何でこんな所に居たんだろうか?

俺はすぐそこに居る、外を見てる人に声をかける。

差堀の何倍も丁重に、



『お待たせしてすいません。何か御用でしょうか?』


彼はちょっと震えてる。

ツボったらしい。


?『…いや、盗み聞きするつもりは無かったんだけど…。

通訳付けなきゃニュアンス伝わらないのかもよ?』


『…彼に通訳できても彼の言葉を通訳出来る人が居ませんよ。』


?『違いないね。初めましてだよね?』


『そうですね、一ノ瀬会長?』


差堀は本当に邪魔。

俺を呼び出したのは二年の現生徒会会長の一ノ瀬先輩。

先輩は整った顔をくしゃくしゃにして声を出さずに笑ってた。


成績優秀,品行方正、冷静沈着なんて言われてる、貴公子なんて呼ばれる学校1の秀才。

そのメガネをかけた美形はまだ差堀の言動で笑い続けていた。

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