第101話 伊達男

翌週、センター入試が終わり良くも悪くも結果待ちって状態。

果報は寝て待てなんて言うけど3年生の先輩たちはホッとした表情。

お疲れ様です、大変だったよね。

…そう思わせない先輩も居る…。



差堀『あー!辛いわー!昨日センター入試2時間しか寝ないで受けたからさー!

あー辛いー!』


差堀先輩その人である。今日はなんか顔が中央に寄ってそうな雰囲気である。

校門から玄関へ向かう間に見かけた、永瀬さんも一緒だった。



差堀『大変だったんだよ?受験!

聞いてる?綾ちゃん?』


永瀬『…はは、大変でしたね…?』


差堀先輩はご機嫌で、永瀬さんに話しかけてる。

永瀬さんの顔が引き攣ってる。

こいつ本当に面倒くさいなぁ。



『永瀬さん!1限目の件でクラス委員長の高橋さん探してたよ。』

(目配せ)


永瀬『あ!あー!あの件だなー!じゃ先輩私行きます!』

(ありがと!って目配せ)


差堀『えー…残念…。

俺もうじき卒業だから、今は側に居てあげたかったなぁ。』


いらないでしょ?

そう、思うけど口には出さない。

でもそうか、もう時期卒業だから永瀬アプローチが酷いんだ?


差堀『…な、宏介。

俺がなんて呼ばれてるか知ってるか?』


顔だけは無駄に良い。

勿体無い。


…?

でもなんだ?



☆ ☆ ☆

以前にGW忙しかったマネージャー陣に愛莉先輩は自宅に他の女子マネを招待してすっごいおもてなししてくれた!って同級生の一年女子マネが感激して言ってた。

同じ日差堀先輩は部費で預かったお金でお使いに行き、買った物に紛れ込ませて自分のアイスを買った事で罵られていて?


『愛莉はもてなす!差堀はぼけなす!』


ってバスケ部員に言われてたっけ?


☆ ☆ ☆


『…ぼけなす?』


差堀『お前は俺の何を見ている…!』


間違ってはいないと思うのだが…?


差堀先輩の評判と言えば、軽率でお調子者。怠け者で気分屋で?

ケチで自分勝手な女好きの浮気者って印象なんだけどな。

良いところは要領が良くて、天性の身体能力と陽気なとこ。


差堀『俺?いや何故か九頭と山本合わせて3人でひとくくりにされんのよ?』


ナルシストっぽい差堀。

何が言いたいんだろ?

埒が明かないから話を進めよう、


『…なんて?』


かー!聞いちゃう?

差堀の言葉にイライラがどんどん増えてくる。

差堀は芝居がかかった仕草で、


差堀『俺が言ったんじゃ無いぜ?

…なんか俺たち…伊達男だておとこ!って呼ばれてるらしいんだ…照れちゃうよな。』


伊達男?!

goo辞書より…人目を引く、しゃれた身なりの男。 また、侠気 (きょうき) のある男。 侠客。 男だて。


多分伊達政宗由来な言葉なんだろう。

承が喜びそう。


『…伊達男ですか?』


差堀『まあ?俺オシャレさんだし?見た目イケメンで派手で目立つかも?

…わかっちまうんだなぁ…!』


差堀は嬉しそうに呟くと三年棟へ向かって歩いて行った。

…振り返って俺に向かって言う、


差堀『背中追ってもいいぜ…?』


なにかにカブレれてるのかな?

なんか呆然と教室へ入り、隣の席の永瀬さんに挨拶する。


『永瀬さん、おはよう?』


永瀬さんはびっくりして、


永瀬『さっき会ったよ!私を差堀先輩から逃してくれたじゃない!』


『…その後の意味の無い情報量が多くてそれ以前が思い出せない…。』


差堀のまったく意味の無かったトークに色々持っていかれてた…こわあ。

ふと、思い出して聞いてみる、


『差堀先輩が最近積極的なのは卒業を控えているから?』


永瀬『…たぶん。

『俺、北翔に忘れ物して行きたくなぁい!』

って、なんか酔ってた。

どうしたのかな?前はもっと器の小さい男の人だったのに最近中身の無い大きい事言い始めたんだけど…。』


『…ほっとけ。』


前も言ったかもだけど、愛莉は仏、差堀はほっとけはバスケ部の合言葉。


『でもさ、さっき聞いたんだけど。

差堀先輩たちって伊達男って呼ばれてるって知らなかったよ。

差堀、九頭、山本で3人ひとくくりにされて?伊達男って呼ばれてるって本人が照れながら言ってた。』


永瀬さんはぽかんとした顔して笑い出して、ハッと表情を固くした。


永瀬『差堀先輩たちが?伊達男?

…それ多分ダメ男だよ?w

…私に言い寄って来るのホントダメ男ばっかりなんだ…。』



ズーンって暗くなる永瀬さんにドンマイって声かけて、HRが始まったんだ。


☆ ☆ ☆

伊達男3人組

差堀…センター試験あやしい。まだ何かありそう。

山本…実家スキャンダル、留年確定。

九頭…不純異性交友で停学、評判最悪。


確かにダメ男なんですよね…差堀先輩が一応1番害が少ないかも?










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